既存の略称を分析

駅の略称によって地域に愛着が湧くことがある。東京なら「シモキタ（下北沢）」や「サンチャ（三軒茶屋）」などがそれだ。そこで今回、横浜市内に根付く駅名の略称を調査しようと思う。

調査にあたり、東京近郊である程度浸透している略称を以下のように分析する。

・ひらがな5文字以上の駅が対象
基本的に略称があるのは6文字以上の駅だが、中目黒を「なかめ」と5文字から3文字に略す例もある。しかし、ひらがな4文字以下だと略称はほぼ存在しない。

・頭文字が「上」「下」「新」「方角」の駅が対象
下北沢を「しもきた」、上北沢を「かみきた」、新百合ケ丘を「しんゆり」、西荻窪を「にしおぎ」と言うように、頭文字が上下新東西南北のいずれかだと略称が存在する可能性がある。

・漢字四文字の駅が対象
三軒茶屋を「さんちゃ」、千歳船橋を「ちとふな」、溜池山王を「ためさん」と言うように漢字四文字の駅は略称が存在する可能性がある。

・冠名が付く駅が対象
武蔵小杉や武蔵中原、武蔵新城を「こすぎ」、「なかはら」、「しんじょう」と略すように、駅に冠名が付いている場合、省略して呼ばれる可能性がある。

その他、秋葉原を「あきば」、池袋を「ぶくろ」と呼ぶなど、特殊な例もあるが基本的には上記の例を基準として調査を進めることにした。
　

分析に基づき、横浜市内の駅をリストアップした

駅の数が多いため、調査は「頭文字」編、「漢字四文字＆冠名」編に分けて報告する。
今回は「頭文字」編を報告するが、それでも18駅もあるので、ひらがなの文字数が6字以上の駅を優先的に調査した。



上が付く駅

まず向かったのは相鉄線の上星川駅。「かみほし」という略称が似合いそう…など、期待して駅を降り立ち調査を開始する。
　

閑静な住宅街、上星川駅

しかし聞けども聞けども、略称を使っている人はいない。皆「かみほしかわ」とそのままの呼び方だ。
　

駅前にいた大学生、「かみほしなんて言わないよね…」と言われた

ただ、20人ほど聞いた中に2人ほど「かみほし」と呼んでいる人がいた。ごく一部の人の間では使われる略称なのかもしれない。
ということで、上星川では「かみほし」がうっすらと残る愛称ということだ。
　

続いて上大岡駅へ

続いて京急線の上大岡駅。駅構内のショップや、コンビニの店員さん、大学生など10人以上に質問したが、皆「かみおおおか」とそのまま呼んでいる。
話の中で、駅西口に「camio」と「mioka」という2つのショッピングモールがあり、駅自体を略すと混同するのでは？という意見ももらった。ここでは、残念ながら略称が無い。



下が付く駅

ひらがなにすると5文字と短いものの、市内の駅で唯一「下」が入る、市営地下鉄下永谷駅を調査する。
　

市営地下鉄下永谷駅

下永谷駅は、地下鉄では珍しく出入り口が1つしかない。唯一の出入り口付近にも商店はなく、利用者も少ない。
　

駅前にしては少し寂しい

そんな小さな駅で老若男女の利用者20名以上に聞いてみたが、誰もが「しもながや」と呼んでいた。
略称は存在しないようだ。同時にお隣上永谷、沿線の下飯田についても聞いてみたが、こちらも略称はないようだ。



新が付く駅

新横浜に関しては、質問者の投稿にもあり、既に「しんよこ」という略称が定着しているので調査対象からは外す。また、新芝浦駅もひらがなでは6文字なのだが、利用者が最も少なく民間企業の敷地内にある駅ということで調査対象からは外すことにする。（参考：横浜で一番小さい駅はどこ？）
　

ＪＲ新杉田駅で調査を開始した

新杉田駅周辺を行き交う人に聞いてみるが、略称を使う人には出会えない。
　

駅ビルの中でも、「しんすぎた」と呼ぶ人ばかり

残念ながら、ここでは略称が存在しないようだ。
　

続いてみなとみらい線の新高島駅

新横浜が「しんよこ」なら、新高島を「しんたか」と呼ぶ人もいるのでは…と思ったが、周囲の人は誰も呼んでいなかった。
　

駅の呼び方を聞くと「もしかして、はまれぽですか？」と返してくれた

駅前で路上ライブの準備をしていた『コピーおやじ』さんも「しんたかしま」だった