「空飛ぶ宝石」、カワセミを横浜で見られるところがあるって本当?
ココがキニナル!
能見台付近にあるカワセミが来る池を探しています。緑地や公園が多くどこなのかわかりません。詳しい調査をお願いします(宮里砂智子さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
日本野鳥の会神奈川支部に聞いたところ、オススメは「長浜公園」。「称名寺」、「金沢自然公園」など、ほかのスポットも
ライター:田中 大輔
「空飛ぶ宝石」とも呼ばれる鳥、カワセミ。
背中から腰にかけて光るコバルトブルーの羽は、野鳥ファンならずとも引きつけられる美しさだ。実物を見たことがないという人でも、その姿を知っている人は多いだろう。
美しい(フリー画像より)
あれだけキレイな鳥となると、なんとなく“特別な鳥”という感じがして、身近にはいないような気がしてしまう。
でも、実はカワセミは意外と近い場所でも観察することのできる鳥なのだ。今回は、キニナルにある横浜市金沢区の能見台周辺でカワセミと出会えるスポットを探ってみた
能見台周辺にカワセミはいるか!?
まずは、そもそもカワセミがどんな場所にすんでいるのか知るべく、「日本野鳥の会神奈川支部」で探鳥会リーダーを務める権守和彦(ごんのかみ・かずひこ)さんにお話を聞いた。
権守さんはカワセミについて丁寧に教えてくれた(同)
権守さんによると、カワセミは「平地から低山地の川や池、沼、湖に生息する」とのこと。
つまりは水辺で、そういった場所でフナやメダカ、ウグイ、ドジョウ、エビの仲間、アメリカザリガニ、ヤゴなど、さまざまな獲物を食べて暮らしている。狩りの方法は、空中や水辺の枝などから水中に飛び込むというスタイルだ。
水中の魚をキャッチし、翼で水を強くたたいて再び浮上するカワセミ(同)
かつては、水質の悪化でエサとなる魚が減ったことや、巣を作るのに必要な土手や崖が護岸のためにコンクリートで固められてしまったことで、その数を減らしたというカワセミ。しかし、「今は回復しています」と権守さんは言う。
自らも金沢区に住んでいるという権守さんは、「区内の場合、市街地の公園にある池でも見られます」と続ける。具体的に聞いてみると、一番見られる確立の高い場所として「長浜公園」を挙げてくれた。
能見台駅のほか、隣の京急富岡駅などからもアクセスできる
園内に昨年オープンしたミスト噴水。夏は大はしゃぎの子どもたちでにぎわう
(画像提供:長浜公園)
長浜公園は、京急・能見台駅から海側へ20分弱歩いた場所にある大きな公園だ。園内に横浜横須賀道路が通り、それを境に北側には野球場やテニスコート、サッカーなどができる多目的グラウンド、子どもが遊べる遊具などがそろっている。
そして、横横道路の反対側には汽水(きすい:淡水と海水が混ざった状態)池があり、その周辺が野鳥観察園として整備されている。権守さんが言う「金沢区で最もカワセミに出会えそうな場所」はまさにココを指しているのだ。
いざ、長浜公園
長浜公園の汽水池は、元々は1895(明治28)年に造られた長浜検疫所の船たまりの跡だそうだ。現在は、横浜で唯一の汽水池となっている。
池の周りにはAからDまで4つの野鳥観察小屋が設けられ、そこから池に集まる野鳥を観察することが可能だ。
コチラは観察小屋B。壁にある窓から野鳥を観察する
観察小屋Dから見た池の景色。季節や時間で表情を変える
カワセミだけでなく、カモやサギの仲間やカワウなど、多くの野鳥が水辺に集まって来ている。
また、池だけでなく周囲の木々も多様な鳥たちでにぎわっている。時おり、猛禽類のミサゴも姿を現すそうで、バードウオッチングをするには持って来いのスポットになっているというわけだ。
池の中州には羽を休める鳥たちの姿
観察小屋ごとに、観察のポイントなどを紹介する看板が
長浜公園の黒瀬温(くろせ・ゆたか)さんによれば、「カワセミがよく見られるのは観察小屋AとBです。稀ではありますが、Cでも目撃されています」とのこと。その中でも、「池に流れ込む川が見られる観察小屋Aがオススメ」だそうだ。
川の淵にいくつかの止まり木や岩があるため、その辺りにカワセミが止まっている姿を見ることができるというわけだ。さっそく現地に赴き、観察小屋から川を眺めながら主役の登場を待った。
コチラが今回の本丸、観察小屋A
Aの窓から見える風景。この川が、写真奥側にある汽水池まで伸びている
取材に訪れたのは、3月初旬の午前10時過ぎ。カワセミの繁殖期は3月から8月だそうで、この春の時期は観察に適した季節だと権守さんは言う。
黒瀬さんも「冬場はエサとなる魚が減るので、チャンスも少なくなる」と話し、やはり春から秋にかけてがカワセミ観察に適していると教えてくれた。
時間については、「日中より採餌の頻度が高いようなので、朝と夕方がいいでしょう」と権守さん。黒瀬さんも「朝方の目撃情報が多い」と話してくれた。
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