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元々の住みかを失った「三浦メダカ」、野生環境で順調に数を増やす!

ココがキニナル!

京急の三崎口駅周辺の開発事業の際、三浦メダカの生息地の「三戸地区・北川」が埋め立てられました。油壷マリンパークで飼育しているようですが、もう天然物の三浦メダカは絶滅してしまった?(まさしさん)

はまれぽ調査結果!

半年前の調査に比べ、4倍近い数のメダカを確認できたが、まだまだ油断は禁物。メダカだけが住む池を整備するなど、取り組みは今後も続く

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ライター:田中 大輔

人知れず、三浦メダカを守るために活動をしている人たちがいる! とお伝えしたのが、およそ半年前の2017(平成29)年5月。

京浜急行電鉄の開発事業にともない、三浦メダカにとって唯一の自生地だった北川湿地は失われてしまったが、京急が開発とセットで計画した保全の取り組みが進められている。
 


赤丸のあたりが「北川湿地」と呼ばれていた場所(Googleマップより)

 
10月初旬、北川湿地近くに整備されたビオトープでは、メダカやほかの生物の状況を確認するため、5月に続いて今年2回目となる調査が行われた。はまれぽも、半年ぶりの調査に同行させてもらい、追跡取材を行った。
 
 
 
素人でも捕まえられるほどたくさんの生き物が
 
調査の現場、現在は非公開となっているビオトープは、北川湿地から移された動植物の新たな住みかとなっている。

調査の目的はメダカをはじめ、ビオトープに暮らす生き物の状況を調べること。前回同様、「神奈川県水産技術センター内水面試験場」、「三浦メダカの会」、現地の管理を行う「新日本開発工業株式会社」の三者が参加した。

水質の調査に始まり、ビオトープ内に複数ある池や沢からそれぞれ生物を捕獲、その数やサイズを記録に取るというのが基本的な流れだ。
 


特殊な機械を使って、水温やペーハーなど、水質をチェック中

 
2013(平成25)年に初めて三浦メダカが放流されて以来、調査は5年目。前回の調査でも稚魚が確認されている通り、この場所で三浦メダカの繁殖が行われていることも分かっている。
 


赤丸の中にいるのが、前回の調査で確認された三浦メダカの稚魚

 
調査の指揮を執った内水面試験場の勝呂尚之(すぐろ・なおゆき)主任研究員は、「(成魚・稚魚合わせて40匹ほどが捕れた)前回の数を上回れるといいね」と今回の目標を話してくれた。
 


「50匹くらい捕れたら」と話した勝呂さん


池の中に網を突っ込んで、かかったものを確保していく


捕獲後は、こんなに小さなメダカもしっかり計測

 
今回は、特別に筆者も胴長(胸の下辺りまで覆う長靴)を貸してもらい、調査のお手伝い。
 


一丁前に池を覗き込む筆者。貴重な体験をさせてもらった

 
池の底はドロなので、立っているだけで沈んでしまい、歩くこともままならない状態。それでも、すっ転びそうになるのをなんとか踏ん張って網を振るうと、ヌマエビの仲間や数種類のヤゴ、カワニナなど、さまざまな生物を簡単に見つけることができた。

メダカこそ捕まえられなかったが、エビや貝などは網を入れるたびにどんどんとかかってくる。初めてやった素人でもこれだけ捕れるわけだから、いかにビオトープ内の池に多くの生き物が暮らしているかがうかがえる。
 


歩くだけでも大変な池の中。あっという間に腰痛を発症

 
となると、当然、プロである内水面試験場の人たちはもっとたくさんの生物を捕獲していく。エビやヤゴはもちろん、ハゼの仲間やカニなど、実に多種多様。
 


こちらはモクズガニ。食用にもされる


ホタルの幼虫のエサになる巻貝、カワニナ


三浦半島では絶滅の疑いまであった希少種、ニホンアカガエルも見つかった

 
ビオトープ内は広く、陸側の上流と海に近い下流では捕れる生き物も違ってくるので、こちらでは捕れるけど、あちらでは捕れないといった生き物も多くいるのがまたおもしろい。