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自転車対策から「活用」へと踏み出す横浜市、自転車マナーは改善する?

自転車対策から「活用」へと踏み出す横浜市、自転車マナーは改善する?

ココがキニナル!

横浜市が新たに取り組む「自転車活用」計画。いったいどんな内容になるの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市は、これまでルールの啓発や対策が中心だった自転車を、より「活用」すべく計画を策定中。安全が大前提になるが、まだまだ課題は多い。

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ライター:はまれぽ編集部

いま、「自転車」がアツいらしい。
横浜市では来年2019年に「自転車活用推進計画」を策定して、自転車を通した災害、健康、環境などの施策に生かしていく考えだという。

これまで「自転車対策」を行ってきた横浜市が「活用」をすすめるということが、この新しい計画のポイントだ。
 


横浜と自転車の関わり方が変わりそう!

 
市ではこれまで、自転車のルール啓発や放置自転車の解消などに取り組んできたが、「積極的な活用」にはそれほど乗り気ではなかった。

市内や川崎市では自転車による死亡事故も起きており、路線バスの急ブレーキによる車内事故の多くが自転車の飛び出しが原因になっているなど、「自転車が野放し状態になっている」と風当たりは強い。

そのような中で、どのように自転車を活用していくのだろうか?
 


マナー違反もまだまだ多い。活用へ踏み出せるの?(過去記事より)

 


なぜ自転車?

10月16日に開かれた横浜市の「自転車等施策検討協議会」では、神奈川県警や横浜市道路局のほか、鉄道やバスなど公共交通の関係者も交えて、横浜の「自転車活用計画」の策定に向けて協議。
計画のたたき台となる構成案が提出されたが、委員からは市の自転車施策が抱える問題点も指摘された。
 


協議会では市の取り組みに対する注文も多かった

 
実は、自転車活用に関しては、国が2018(平成30)年6月に「環境負荷低減」や「健康増進」などを目的に推進計画を策定しており、各自治体に対しても市町村版の計画を作るよう求めている。いわば、国策という側面が強い。

横浜市はもともと2016(平成28)年に「自転車を正しく使って、みんなが快適に過ごせるまち」を目指すための自転車総合計画を定めているが、国の動きも踏まえてこれを見直し、より自転車の「活用」を進めることになった。
 


「活用」に関して今後はさらに踏み込むことになる(
クリックして拡大、画像:横浜市)

 
自転車は、排気ガスを出さないクリーンな乗り物であり、小回りが利くために災害時などで車が使えないときでも交通手段として使うことができることが利点。また、日常の自転車利用やスポーツとしてのサイクリングの普及が、健康増進の面でも役立つ可能性がある。

「交通の安全の確保を図りつつ、自転車の利用を増進し、交通における自動車への依存の程度を低減すること」が、国が進める自転車活用の基本理念だ。
横浜市でもマイカーに代わって公共交通や自転車の利用促進を進める立場で、今年度改定する「横浜都市交通計画」にも考えを盛り込む予定。
 


バスや電車と組み合わせて使ってほしい、というのが市の姿勢

 
横浜市の施策案では、自転車の活用に向けたポータルサイトを開設し、健康的な楽しみ方の紹介や、地域のサイクルイベントの実施支援などを行う考え。さらに、自転車通勤の推進に向けた情報の提供や、観光施設の多い都心臨海部で自転車を使いやすくするために、駐輪場の設置検討やマップの作成などを進めたいという。

しかしながら、こうした「横浜での自転車活用」に向けては課題も多いようだ。



坂が多い横浜・・・誰が自転車に乗るの?

まず問題になるのが、誰が自転車を使うのか、ということ。

横浜市では都心臨海部での自転車活用施策として、シェアサイクル「ベイバイク」を導入。どこでも利用・返却ができるポートがあちこちに増設され、観光客も快適に使うことができる環境が整いつつある。
 


ベイバイクはすっかりみなとみらいに定着した(30分162円・税込み)

 
一方で、横浜の「平野」は西区・中区などの限られた範囲にしかなく、市街地を含めて高低差が激しい地域が広がっている。
 


坂が多い横浜では、日常的に自転車を使うのが難しいエリアも多い(過去記事より)

 
加えて、利用者が増えるほどに駅周辺の放置自転車の問題などにもつながるため、市は自転車活用について積極的に取り組んでいなかったのだ。

では、スポーツでサイクリングを楽しむ人や、街へ来た観光客はどうだろうか。

以前、はまれぽでも自転車におすすめのコースを紹介したことがあるが、坂が多い郊外部が手ごたえのあるコースとして重宝されることがある一方、都心臨海部では意外とサイクリストは多くないという。
 


観光地なので見どころは多いはずだが・・・(過去記事より)

 
信号の数が多いことや風の強い海沿いであることなどが関係しているようだが、みなとみらいで見掛ける自転車はベイバイクなどを利用する観光客が多い印象だ。

横浜市がサイクリストを対象にヒアリングした「ヨコハマサイクリングMAP」では、市内北部を中心としたさまざまなエリアにおすすめポイント(写真の青いシール)が貼られ、横浜のあちこちでツーリングを楽しんでいる実態がわかる。
 


横浜赤レンガ倉庫で行われたイベントでアンケートを実施(
クリックして拡大

 
一方で、ベッドタウンでもある郊外部での自転車利用者は、通勤・通学や買い物のために自転車を使うことが多い。

海外からの旅行者を含む観光客や来街者、地域住民、そしてスポーツで自転車を楽しむ人それぞれに対する施策は異なる。
「横浜の自転車活用」を考えるとき、地域による差が大きいことや、自転車に乗る人の特性による違いをどのように捉えるかが重要になりそうだ。