日産スタジアムがラグビーワールドカップ仕様にリニューアル!? どう変わった?
ココがキニナル!
ラグビーのワードカップ仕様になった日産スタジアムも取材して下さい/日産スタジアムにある聖火台、ワールドカップやオリンピックで聖火が灯される?(ホトリコさん、ナチュラルマンさん、白マントさん)
はまれぽ調査結果!
ラグビーワールドカップ2019開催規準、オリンピック開催規準に応じたリニューアルに加え、一部設備の改装が実施されている。なお聖火台の点灯予定は未定
ライター:星野 憲由
オリンピック、ラグビーワールドカップ2019TM(以下、ラグビーワールドカップ)、サッカーワールドカップの3大会を開催した実績のあるスタジアムは世界にまだない。日産スタジアムは世界初の3大会開催スタジアムになるべく、さまざまなリニューアルを行なっている。
新横浜駅から浜島橋を越えた坂道を登っていくと、姿を表す日産スタジアム
今回の投稿は、そのリニューアルした日産スタジアムを調査してほしいという内容だ。
どんなグレードアップが進んでいるのかを調べるため、直接、日産スタジアムの管理事務所を訪ねてみた。
新横浜駅にラグビーワールドカップの装飾が
新横浜公園のビジョンにはカウントダウンも
お話を伺ったのは、横浜市環境創造局公園緑地部会場整備課長の村本義彦(むらもと・よしひこ)さん、同整備課の矢島健二(やじま・けんじ)さん、横浜市体育協会管理JV共同事業体の高橋昌広(たかはし・まさひろ)さん。
左より矢島さん、村本さん、高橋さん
今回の日産スタジアムのリニューアルについてお三方は、ラグビーワールドカップ開催会場の規準を満たすため、またオリンピック開催会場の規準を満たすため、さらにスタジアム内の一部設備の耐用年数に伴うグレードアップの3つをまとめて行っていると説明してくれた。
それでは、ひとつひとつどこが変わったか紐解いていこう。
ラグビーワールドカップ用に照明リニューアル
まずは、ラグビーワールドカップの開催規準によって、照明を全てLEDにした。これまでのメタルハライドランプが、観客にとって暗かったわけではない。昨今の高画質テレビ放送のために、さらなる明るさが求められているのだ。
今でも放送に遜色ないのだが、スーパースローモーションで再生すると、画質が落ちてしまうらしい。つまり照明のリニューアルはスタジアムのファンのためではなく、世界でテレビ観戦するファンに楽しんでもらうためのものなのだ。
円形のLED照明が場内を照らす
その副産物として、これまでの照明ではできなかった瞬時の点灯、消灯が可能となった。これまでは照明の熱を冷ますまで再点灯ができなかったのだ。実際、日産スタジアムを本拠地としている横浜F・マリノスは、音と光を融合したオープニングイベントを開催し、大好評だったそうで、演出の楽しみが広がりそうだ。
天然芝をカーペット式ハイブリッド芝へ
次に、ラグビーにおいて芝が最も大きく影響するのは、スクラムなどでの踏ん張り。スクラムというのは、ラグビーの試合中断を再開させる方法として、両チーム8人ずつ肩を組んで、前傾姿勢のまま押し合うラグビーの醍醐味とも言えるプレーだ。16人が全力で踏ん張るのだから、グラウンドにかかる力は莫大。サッカーとは比べ物にならない力が芝にかかり、これまでの天然芝では、簡単にはがれてしまう。いや、はがれまくってしまう。そこで採用したのが「カーペット式ハイブリッド芝」だ。
一見したところ天然芝にしか見えないカーペット式ハイブリッド芝
ハイブリッド芝は文字通り、天然芝と人工芝が融合したもので、さまざまな種類がある。日産スタジアムが採用したのは、表面は全て天然芝で覆われており、選手にとっても天然芝のピッチでプレーしているのと変わらない。ではどこに人工芝が使われているのか。
今までの天然芝同様に芝の下に砂が敷かれている。その砂の上に人工芝が植えられたネットを敷き、その上に天然芝を植えている。天然芝の根が生育することで、人工芝に絡みつき、天然芝がはがれにくくなる仕組みなのだ。人工芝比率は5パーセント以下なので、グラウンドが固くなり過ぎることもない。
カーペット式ハイブリッド芝の構造図
カーペット式ハイブリッド芝の断面と人工芝部分
さらに天然芝もセレブレーションという新品種を採用。痛みにくく、かつ成長が早いので痛みから早く回復するのだ。1ヶ月の間に7試合も集中的に行われても、より高いコンディションでプレーできる環境を提供できるというわけだ。
なお芝は種類だけでなく、長さも調整される。「サッカーはボールが転がりやすくなるよう短め、ラグビーはボールが止まりやすくなるよう長め」とされる。そのため大会前には芝の長さの調整もされるそうだ。
取材日も芝のメンテナンスが行われている
ちなみにハイブリッド芝設置後に、世界最高のラグビーチームと言えるオールブラックス(ニュージーランド代表)とワラビーズ(オーストラリア代表)の対抗戦「ブレディスローカップ」が開催され、両チームから芝について高い評価をもらったそうだ。芝の質については、ラグビーの世界基準のお墨付きをもらったといっても過言ではないだろう。
オールブラックス(左)とワラビーズの出場選手サイン入りユニフォーム