鎌倉の陽気な「見守りじぃじ」に密着取材!
ココがキニナル!
鎌倉市役所近くで、おか~えり~なさいという独特なイントネーションで下校する児童らに声掛けする年配男性がキニナル。児童らを名前で呼ぶ時もあり、児童たちは彼をじぃじと呼び孫のよう!(はんぐん丸さん)
はまれぽ調査結果!
「見守りじぃじ」は御年81歳。とてもそうは見えないパワーは、地域の人々との相互の信頼と感謝の心、そして空手の鍛錬が源のようだ。お孫さんの送迎がきっかけで始めた見守り活動は、まだまだ続く!
ライター:結城靖博
「見守りじぃじ」を直撃すべく、いざ、鎌倉へ!
鎌倉の表玄関ともいえる東口に対して、周辺に市役所・学校施設・住宅地などが点在する落ち着いた印象の鎌倉駅西口。
6月半ばの昼下がり、鎌倉駅西口に降り立つ
改札を出て左手を見れば、小町通りとはちがった閑静な趣の「御成(おなり)通り」の商店街がのびる。
静かな空気が漂う御成通り商店街
その商店街を横目に見ながら駅の正面をまっすぐ進むと、「はんぐん丸」さんご指摘の「鎌倉市役所前近くの交差点」に、ほぼ数十秒で到着する。
駅前通りの最初に見える交差点が「市役所前」交差点
地図で見るとこの辺り © OpenStreetMap contributors
平日の水曜日、時間は15時。ちょうど小学生の下校時間だ。きっとそこに「おか~えり~なさい」と声がけする「年配男性」がいるにちがいない。そう信じて、交差点へ向かった。だが、いくら近づいても声は聞こえず、辺りは車の音と通行人のざわめきばかり。
じぃじ不在の「市役所前」交差点
その場で1時間半ほどねばったが、ついにじぃじは現れなかった。あまり交差点付近をうろついていると、角に交番があるので、不審者と思われないか不安だ。
交差点の角にある交番
そろそろ帰ろうかと思ったとき、交差点の前の歩道で男の子が自転車で転んだので「大丈夫かい?」と声をかけ、ついでに「この交差点に見守りのおじいさんっているの?」と聞いてみた。
すると、どこからかその子の仲間たちがワサワサ現れて
「いるいる。いつでも会えるよ!」「誰にでも声かける変なおじいさんだけど、決して怪しい人ではありませ~ん!」「なんで訊くの? えっ、取材? すっげぇ~!」「時間は午後の2時から4時ぐらいまで。明日またおいで!」
「今日は学校が半ドンだったからいないんじゃない?」
次から次へと男の子たちがまくし立てて、交差点の向こうへ去っていった。
子どもたちの勢いに圧倒されつつも、とにかく今も見守り活動を続けていることは確認できた。
帰り際、せっかくなので、見守り児童の主な対象である、近くの御成(おなり)小学校に寄ってみる。そして、驚いた。
なんじゃこの立派な門構えは! さすが鎌倉・・・
あとで御成小学校のホームページを調べてみたら、毎月中旬の水曜日は鎌倉市学校教育研究会があり、授業は半ドン、生徒たちは給食後下校する日だった。下調べ不足!
ふたたび「じぃじ」を求めて「市役所前」交差点を目指す!
翌週の火曜日、ふたたび「見守りじぃじ」に会うべく鎌倉へ向かった。どこのどなたかもわからずアポイントも取れないので、今回も突撃取材を敢行だ。
前回より少し早め、14時半ごろ現地に到着。すると、いた! 左腕に黄色い腕章をつけ、交差点に立つおじいさんが。
交差点の角に、すっくと立つおじいさん
さっそく近づいて声をかけ、企画書をお見せすると「ああ、この間から『もう取材されたの?』って子どもたちがうるさくって」と笑いながら取材に応じてくれた。
どうやら前回の自転車で転んだ男の子と仲間たちとの接触が、思わぬ「打診」になっていたらしい。無駄ではなかったのだ。
ただし名前は伏せてほしいと言われる。理由は「私以外に先人たちがいるのに、自分だけ目立ちたくないから」。
納得して了解。
というわけで、取材対象はあくまでも「鎌倉の見守りじぃじ」さんということで、現場の様子を、まずはじっくり密着させていただくことにした。
取材を始めると、とにかく凄い
信号待ちする子どもたちが、続々と「見守りじぃじ」に吸い寄せられていくのだ。
この日は、御成小学校の近くでフラダンス教室のチラシが配られているそうで、子どもたちは交差点でじぃじにそのチラシを渡す。
じぃじはチラシの回収係か?
だが、じぃじが受け取るものは、それだけじゃない。
幼い女の子2人が、じぃじに道端に咲く花をプレゼント
受け取った花を嬉しそうに見せてくれたじぃじ
じぃじは花を大事そうに胸ポケットにしまった。だがその後、同じ女の子たちが、何度も何度も別の花や雑草をきりなく持ってくる。そのたびに、じぃじはにこやかに受け取っていた。
この子はポケットから猫じゃらしを出してプレゼント
さらに、この子は鉢植えをプレゼント?
ではなく、学校から持ち帰ってきた鉢植えをじぃじに見せていた。
とはいえ、じぃじは子どもたちからモノをもらうために、そこに立っているのではない。なによりも大切な仕事は、子どもたちの安全な下校の見守りだ。
交差点を渡る子どもたち全員に必ず声をかけていた
「おか~えり~!」「どこ行くの~?」
その声は、やはり大きい。じぃじの声につられるように、子どもたちも元気に挨拶を返す。
「じぃじ、ただいま~!」
ほとんどの子どもたちの名前を呼んでいた。だいたい覚えているという
なかには、じぃじの顔を見てダッシュで駆け寄ってくる子も
「なんだ、○○(子どもの名前)、一人で重そうだなぁ」とじぃじ
「だって、ランドセルジャンケンやってんだもん」
「おい××(別の子どもの名前)、力持ちなんだから今度代わってやれよ」
「ヘェ~ン、だ」
なんだか、昭和っぽい会話が展開している。