検索ボタン

検索

横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

横浜市の介護保険料が値上げするって本当?

ココがキニナル!

横浜市は介護保険料を値上げする計画をたてています、全国的にも高いうえに県下一高い保険料をさらに上げるようです。支出の削減を図らず安易に値上げすることを取材してください。(祝人さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

介護保険料基準月額4500円を5200円にというのは計画素案にある目安。市民や専門家からの意見を参考に案が決まり、市議会の議決で決定される。

  • LINE
  • はてな

ライター:吉澤 由美子

横浜市の介護保険料が値上がりするらしい。

現在の保険料基準月額4500円を5200円にするという案が検討されているのだ。
これはまだ決定した金額ではなく、あくまでも計画素案の目安。

介護保険に関しては、3年ごとに保険料を含めた総合的な計画を立てる仕組みになっている。今回は2012(平成24)年度から2014(平成26)年度までの3年間に関する「第5期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定を行っており、他の市区町村でも保険料の値上げを含めた計画を策定している。
 


介護保険基準額の推移※横浜市の資料「高齢者保健福祉の推進」


計画素案の中で介護保険料に関しては、目安となる金額が示され、それに対する市民の意見や、介護保険運営協議会で専門家などからの意見を参考に計画が検討され、かかる費用から介護保険料案が決まり、市議会の議決を経て決定される。

横浜市では、素案に関する意見を求めるために、2011年末に横浜市各区で区民説明会を行っており、市民からの意見であるパブリックコメントは2012年1月23日(月)まで受け付けている。

こういうチャンスは3年に1度。意見のある方はぜひ、横浜市に提出してほしい。

第5期 横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画 (計画期間:平成24 年度~26 年度)素案PDF
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kourei/kyoutuu/jourei/jigyoukeikaku/dai5ki-keikaku/soan.pdf

※パブリックコメントの受付先は素案PDFか、記事の最後を参照してください



介護保険ってなに?



介護保険は、2000(平成12)年にできた比較的新しい保険制度。要介護高齢者の増加、介護期間の長期化という介護ニーズの増大と、核家族化の進行、介護する家族の高齢化といった社会の傾向を踏まえて、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとしてスタートした。

高齢者や加齢に起因する病気でひとりでは日常生活を送れない人に対し、介護にかかる費用、福祉施設の利用料といった負担を社会全体でサポートする制度だ。
 


横浜市でも高齢化が進んでいるのがわかる※横浜市の計画素案
PDF


国や都道府県も費用の負担をするが、介護保険制度を管理、運営するのは、基本的に市区町村。3年ごとに行われる計画の策定も、市区町村が行う。そのため各市区町村により、納付する介護保険料は異なる。

介護保険の財源は、40歳以上の人が納める保険料が50%、公費が50%。40歳以上の人は被保険者として介護保険料を支払っており、定額ではなく個人の所得の状況によって納付する金額が増減する。

介護保険を受給できるのは、65歳以上の要介護認定や要支援認定を受けている人、そして40歳以上で加齢による特定疾病で要介護認定や要支援認定を受けている人。つまり受給資格のある年代で費用を賄うというシステムなのだ。
 


要介護認定者数の推移※横浜市の計画素案
PDF




横浜市の介護保険料

現在の4500円という横浜市の介護保険料は全国的に見て、1628保険者(市区町村)中292番目に高い。横浜市健康福祉局介護保険課では、横浜市は全国の政令指定都市と比べると中位であり、その中では主に施設系サービスの利用件数が多いとのこと。
 


主なサービスの見込量※横浜市の計画素案
PDF


神奈川県には横浜市を含めて19の市があるが、その中で介護保険料が一番高いのは横浜市で4500円。お隣の川崎市は4033円で、一番安い綾瀬市は3016円だ。神奈川県19市の介護保険料基準額をすべて足すと71779円、それを19で割ると3778円。
 


神奈川県内各市の介護保険料(現状)


横浜市健康福祉局介護保険課に問い合わせたところ、この3778円というのは決して平均ではなく、意味のない数字だと言われた。行政では加重平均のみを扱うとのこと。そして神奈川県内19市の加重平均はないが、神奈川県の介護保険料を加重平均でみると4106円だそう。

加重平均というのは、A市で2人が1000円ずつ支払い、B市では1人が500円を払った場合、2500円を3で割るという計算方法。1500円を2で割った場合の単純平均より出てくる数字は高くなる。行政が、国や県のデータとしてひとりひとりにかかる正確な負担額を知る方法だ。

それに対して3778円は、自分が引っ越しすると仮定して、県内の市では自分が払う介護保険料にどのくらいの差が出るのかを個人的に出してみた数字。実際に支払う側から考えると、隣の市に引っ越したらどのくらい違うのかがまず参考になる。こういう数字を「意味がない」として切り捨てる姿勢はちょっと疑問だ。

現在の横浜市の介護保険料金はこういった状況だが、今まで介護保険料基準月額4033円だった川崎市も、今回の計画素案では5100円程度というものを出している。利用者が増えることがダイレクトに値上げにつながる介護保険のシステム自体に無理がでてきているのではないだろうか。
 


利用者数の比較※横浜市の計画素案
PDF