なぜJR石川町駅前にはバス停がないのか!?
ココがキニナル!
横浜市内のJRの駅で唯一、駅前の路線バスの停留所がない石川町駅。何故バス停が作られないのか?過去にも作られた事はないのか調べてみて下さい。(タッカーさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
現在ある路線ができた時期、駅が完成したタイミングなどが絡み合って、作られることがなかった!今後も駅前の状況を考えると設置は難しそう
ライター:田中 大輔
駅の目の前にはバス停があるもの。これはもう、当たり前のことだと思っていた。
事実、どこの駅で降りたって「△△駅前」とか「○○駅×口」なんていうバス停があるし、大きな駅だとどれに乗ったら目的地に行けるのか迷うくらいバスが止まっているもんだ。
ところが、JR根岸線・石川町駅の前にはバス停がないという。一体全体どういうことなのか? 今回はその理由を追いかけてみた。
石川町駅前には本当にバス停がない!?
「石川町駅前」バス停がないなんて、そんなバカな、と思いつつ、まずは現地へ。
石川町駅元町口。反対側の出口にもバス停はなし
言われるまで気付かなかったが、確かにバス停は影も形もない。写真の通り、タクシーはズラリと並んでいるが、それだけだ。
調べてみると、石川町駅の最寄りバス停は「元町」停留所と「吉浜橋」停留所の2つ。元町停留所は、駅から歩いて2、3分の元町交差点を右折した先、山手トンネルの手前にある。
元町停留所。写真奥に見えるのが山手トンネル
吉浜橋停留所は、元町交差点を逆方向に曲がり、中村川を渡った先。
お隣りの吉浜橋停留所も同じ路線でつながっている
どちらのバス停も、石川町駅から歩いて10分とかからない場所にあるので、特に不便な感じはしない。ただ、お年寄りや身体が不自由な人などのことを考えると、駅前にバス停があるに越したことはない。
なぜ、石川町駅前にバス停を作らなかったのか。
現地へ行って思ったのは、駅前の道幅がせまいということ。前出の写真を見てもお分かりだろうが、車道はちょっと頑張れば飛び越えられそうな幅しかない。しかも、駅の向かい側はすぐに中村川なので、そうそう簡単に駅前を拡張するわけにもいきそうにない。
この辺りがひとつの理由になっていそうな気がするが、例えばお隣の関内駅だって駅前が広がっているわけではないがバス停はある。
関内駅から道路をはさんでいるので、距離的には羽衣町停留所とあまり変わらない
となると、別の要因があってバス停が置かれていないのだろうか。
前述の2つのバス停を含め、あの辺りを走っているのは市営バスの路線。民間のバス会社はいないエリアだ。
というわけで、市営バスを管理している横浜市交通局に取材をお願いした。
駅ができる前から存在した停留所
対応してくれたのは、横浜市交通局 自動車本部 路線計画課の2人の職員さん。
たくさんの資料を用意して対応してくれた
路線計画課は、主に新規に路線を作るときに活躍する部署。利用者数などを考慮して、どこに路線を作るか、どこに停留所を置くかなどを決めているそうだ。
さっそく石川町駅前にバス停がない理由を聞いてみた。
すると、「資料が残っていないので、推測ということになるんですが」という前置きを置いて説明をしてくれた。現在の最寄り停留所である元町、吉浜橋のバス停は「駅ができる前からある路線のものなんです」という興味深い話。
実は、1972(昭和47)年までは、横浜市内を横浜市営電車、通称「市電」が走っていた。これは、いわゆる路面電車で、年配の方なら記憶にある人も少なくないんじゃないだろうか。
市電は、1966(昭和41)年から6年をかけて段階的に撤去されたのだが、いきなり市民の足がなくなったのではかなわない。そこで、その路線にバスを走らせたという経緯があったそうだ。