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川崎大師の参道にたんきり飴屋が多い理由は?

ココがキニナル!

川崎大師にお参りにいくと参道にたんきり飴のお店屋さんがたくさんありますがなぜたんきり飴屋が多いんですか?(いぶちん☆さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

川崎大師のたんきり飴(さらし飴)は、昔ながらの味と飴切りのリズミカルな音で人気を集め、150mの仲見世に6店もの飴専門店が並ぶようになりました。

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ライター:吉澤 由美子

川崎大師は全国でも、明治神宮、成田山に次いで3番目に多くの初詣客を集めている。300万人近い川崎大師の初詣客は、軒を並べる飴屋がリズミカルに飴切りの音を響かせる仲見世を通って川崎大師へと向かう。
 


飴専門店が並ぶ仲見世。奥に川崎大師の山門が見える


店先で切られているのは、さらし飴。指でつまみ、少し力を入れて引っ張ると滑らかに伸びていく柔らかさが特徴。穏やかで優しい甘さとねっとりした口溶けに、ふんわりお米の香りが加わってどこか懐かしい。

一般的には『さらし飴』という名称で知られるこの飴は地域によっていろいろな呼び方がある。「たんきり飴」というのもそのうちのひとつ。

ところが、川崎大師の仲見世に到着して、ずらりと並ぶ飴屋さんを見て回ったのに「たんきり飴」がどこにもない! 驚いてお店のお姉さんにうかがうと、「川崎大師では、たんきり飴という名前を使っていないんですよ」とのこと。

そこで、「たんきり飴」について、株式会社松屋総本店の代表取締役、宮崎眞一さんにお話をうかがった。
 


血筋でいえば4代目。秘伝を教えてもらった順番では5代目という宮崎眞一さん




たんきり飴はどこへいった?



「飴」には、砂糖などを主原料にした固いキャンディタイプと、デンプンを糖化して作った水飴の2種類がある。

日本で古くから伝わる飴は、デンプンを糖化して作る茶色っぽい水飴がルーツ。その水飴を固めたものが、さらし飴だ。さらし飴はキャンディに比べて柔らかい。七五三の時の千歳飴も本来は柔らかくて長く伸びるさらし飴で作ることで、長寿への願いを込める。

水飴の原料は、米や麦芽。発芽時にできる自然の酵素を利用して、多糖類を分解し、粘り気のある甘い液体に変化させる。

ブドウ糖、麦芽糖、デキストリンといった水飴の成分は、栄養価が高く、飲み込むときにも口の中や喉を保護する穏やかな粘度があることから、江戸時代には漢方薬的な扱いをされていた。
 


水飴の方がより喉に優しいらしく、水飴のファンも多い


さらし飴が「たんきり飴」と呼ばれるようになった理由は、痰切り、包丁でタンタン切る、単切りなど諸説あって定かではない。

口の中で温めるとトロリと溶け出していく。飲み込む時には粘度の高い液体が喉をくるむようにして余分なものを流す。喉がいがらっぽい時や咳が続いて痛い時にも優しい。さらし飴のそういった効果から、「たんきり」には「痰切り」のイメージが強い。
 


人が多い祝祭日には飴切りパフォーマンスも盛んに行われている


ところが、現在ではこれが保健所から「薬事法違反の恐れがある」と取られてしまうらしい。

薬事法というのは、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療器具」について、安全性と、体への有効性を確保するための法律。規定による承認を受けていないものは、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはいけないとなっている。


「たんきり飴」は昔から親しまれている名称で、さらに「痰切り」以外の語源もあるものだけれど、そんな事情には構わず「違反の恐れがある」とされてしまう。

そういった経緯で川崎大師では「たんきり飴」という名前を使わず、「とんとこ飴」「とんとんさらし飴」「さらし飴」といった名前で売られている。
 


「とんとこ」や「とんとん」は、練って伸ばしたさらし飴を包丁でリズミカルに切る音をそのまま用いたもの


店頭で説明する時に「昔から『たんきり飴』と言われて親しまれてきたもの」と説明することも多いので、川崎大師といえばたんきり飴という印象が強いのかもしれない。