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危機にあるらしい龍口寺の五重塔は大丈夫?

ココがキニナル!

神奈川県内唯一の五重塔、藤沢市の龍口寺五重塔が老朽化で危機にあるらしいので、取材して欲しいです。(にゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

江ノ島駅近くにある龍口寺の五重塔は、明治時代に造られたもの。老朽化が深刻というよりは、昨秋の台風でダメージを受け、現在も補修中だった。

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ライター:吉岡 まちこ

神奈川県でただ一つの「純木造」五重塔



神奈川県には3つの五重塔がある。川崎市川崎区の川崎大師、麻生区の香林寺、そして藤沢市の龍口寺だ。
前の2つは1980年代に造られた鉄筋コンクリート造。龍口寺は明治43年(1910年)に造られた純木造・ケヤキ造りの塔だ。
 


ネットで見る五重塔は繊細で良い佇まい!(龍口寺HPより引用)


かながわの建築物100選にも選ばれているらしい、こんなキレイな塔が危機にあるという。
一体どうなっているのだろうと、不安な想いで現地に向かった。

龍口寺の場所は、江ノ電江ノ島駅のすぐ近く。湘南モノレールの湘南江の島駅からも近くだった。
 


道路を走る江ノ電が、広い交差点に出た瞬間門が見えるお寺だ


江ノ島から金色にてっぺんが光る仏舎利塔が見えるのもこのお寺だ。
 


釈迦の骨を納める仏舎利塔。五重塔はこれを日本風にアレンジしたもの


ところが、近づくと木立に埋もれて仏舎利塔も五重塔もよく見えない。だから何度門の下を通っても、今までこんな本格的な五重塔があるとは正直気がつかなかった…。

龍口寺は、鎌倉時代の龍ノ口刑場跡というイメージが強い。日蓮がまさに処刑されるその時、一筋の閃光が射し処刑を免れたという、日蓮宗では法難の霊場でもある。
今日は山門をくぐると、お坊さんに塔の状況をお話しいただく約束がしてある。
 


門をくぐるとはるか右奥に五重塔が!仏舎利塔は左手。拝観無料
 

下から見ると、五重塔は足場が架かっていた(3月15日現在)



五重塔も本堂も、9月の台風で大ダメージ!



お彼岸の準備で忙しいなか、手を止めて対応してくださったのは若いお坊さん・須藤唯心(すとうゆいしん)上人。日蓮宗ではお坊さんのことを「上人」と呼び、龍口寺には6名いるそうだ。
 


仏教を学び、初の就職が龍口寺という須藤上人
 

卒塔婆(そとうば)の文字もさすが。卒塔婆は五重塔をかたどっているそうだ


早速五重塔についてうかがった。「昨年9月に台風の暴風雨を受け、扉と瓦が破損しまして。本堂の壁の一部や瓦も飛んでしまったんです」と、須藤上人。

平成23年台風15号は、東日本に上陸した台風としては戦後最大級だったと言われている。9月21日、交通機関も色々ストップしたあの時だ。
 


大本堂の壁の一部も風で飛んでしまい、新しい木がはめられている


この日は本堂で修理の音がしていたが、「どんな工事を発注しているのか貫首(かんじゅ)さんしかわかりません」と須藤上人。貫首さんとは住職のこと。
貫首さんは自分のお寺も持ちながらここに派遣されているので、常駐ではないようだ。「会社のようなもので…」と須藤上人が話してくださった。

独立採算制なので、改修は檀家さんや参拝者からのお布施と、貫首さんの私財で行なうのだそうだ。
災害に当ってしまった貫首さんはアンラッキーだなぁと思わなくもないが、そういうものらしい。
 

「諸堂修復志納」は1口3千円だが、「台風災害修復工事 浄財勧募」は1口1万円


後日別の上人さん曰く「ここは檀家さんが少なくて」と財政難なことがわかったが、被害の実態が今一つ掴めないので、とりあえず素人の自分に何がわかるかアヤシイが塔に近づいてみることに!
 


美しさを間近にただただ眺めているだけで、何も気づかない筆者
 

塔の案内板のある正面に回ると、足場に覆われていた


見てわかることは足場にブルーシートが1枚あること、だけ。塔も危機かもしれないが、このままでは取材的にも大危機だと思っているところへ、一筋の光が…!