横浜刑務所の塀にある「オブジェ」の正体は?
ココがキニナル!
港南区役所そばの横浜刑務所の裏側で高い塀と道との間、まさに堀の様になっているところに、石と鉄らしきもので出来たオブジェが数点ありますが、一体あれはナニ? 有名芸術家の作品ですか?(massy2さん)
はまれぽ調査結果!
オブジェは現在の横浜刑務所の塀を建設した当時、職員の方が作ったオリジナルの装飾品。刑務所の西側に計5点が設置されている
ライター:はまれぽ編集部
港南区の横浜刑務所といえば、はまれぽでは以前にも年に一度の「矯正展」などでその内実は取材したことがある。
2012年の矯正展の様子
刑務所というイメージにたがわず、その敷地周辺は高い塀に囲われているのだが、その塀近くに謎の「オブジェ」があるのだという。早速調査に向かった。
市営地下鉄港南中央駅からすぐ、特徴的な高い塀が見えてくる
近づくとその存在感はかなりのもの
塀の表面には凹凸もなく、これなら登ろうという気持ちさえ起きない。塀の上部にはところどころに内側を警戒する防犯カメラが付いており、工場などではなく刑務所ということがありありと分かる。
とりあえず刑務所の塀に沿って歩いてみる
当たり前の話だが、塀がある以外はごくごく普通の街並みだ。こんなところにオブジェが設置されているものだろうか。
刑務所の西側を歩いていくと、投稿にあったような「堀」が見えてきた。
道路よりも低くなった塀の近くは刑務所の敷地内となるようだ。
ここにオブジェがあるのだろうか
まさにその堀の中に、不思議な造形物が鎮座していた。
オブジェだ!
近づくことはできないが、さまざまな大きさの石が金属製の金具で空中に固定されているようだ。無骨な造りだがそれ以外の機能は見て取れない。
そして等間隔に塀の前に並んでいる。
こちらは平たい鉄板で支えられた船型の作品
こちらは二足歩行をしそうな形のオブジェ
どれも石が支えられている構造だ
確認したところ、刑務所西側の塀に、計5個の石が並べられていた。
歩道からは離れているので近づくことはできない
刑務所の南側に来ると、石の並びは終わっている
この石、オブジェということで間違いないのか、いったい誰の作品なのか、横浜刑務所に問い合わせてみた。
担当の方曰く、「当時を知る者に確認したところ、あれは塀を建設した当時の職員が作成したものということです」。
なんと、オブジェは職員の方の手作りだった!
相当大きい石なのに・・・!
横浜刑務所の塀は、1986(昭和61)年に刑務所面積を縮小した際に新設されている。同時期に、職員の方の手でこのオブジェも制作されたということだ。
また、装飾品であることに間違いはないようだが、あくまでもいち職員ということで、「個人の特定はできない」とのこと。制作意図や作品名はうかがうことができなかった。
何かの思いが込められていそうだが・・・
自然物である石を不自然に空中で支える、金属製の支柱。人間の制御しがたい獣性をコントロールしようとする法や秩序、社会の在り方を表現しているのかもしれない。
・・・などと理屈を捏ねる必要はないだろう。見た人が感じた違和感こそがアートだ。
そして、塀にまつわるもう一つの事実が判明。
前述のとおり現在の塀は1986年に新設されたものなのだが、古い塀の一部が意外なところに残されているという。