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鎌倉の飛び出す絵本専門店にはどんな本がある?

ココがキニナル!

鎌倉に飛び出す絵本専門店があるらしいと聞きました。どんなお店なんでしょう? どんな本があるのか見てきてください。(かりんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

メッゲンドルファーには飛び出す絵本のほか、赤ちゃんから大人まで楽しめるしかけの絵本がたくさんありました!

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ライター:吉澤 由美子

鎌倉は千年近い昔に開かれた古都。そして、明治以降も政財界の重鎮や芸術家が多く住まう高級住宅地だった。そのせいか、上品でお洒落なショップが多い。

若宮大路を海の方に向かって歩いて、横須賀線のガード下をくぐった先に、カラフルでかわいい絵本がぎっしり並んだお店を見つけた。お店の看板の上の方に「しかけえほん Shop&工房」と書いてある。

よく見ると、飾ってあるたくさんの絵本のすべてが飛び出す絵本?!
 


お店の前に巨大な恐竜のしかけ絵本が飾られていた


さっそくお店に入ってお話をうかがうと、このお店は「しかけ絵本専門書店」で、看板の「Meggendorfer」は、「メッゲンドルファー」と読むそう。メッゲンドルファーは100年ほど昔に活躍したドイツのしかけ絵本作家の名前。

そして、このお店には約600種類のしかけ絵本があるらしい。しかけ絵本の世界がそんなに広いなんて驚きだ。



子どもの頃、夢中になった飛び出す絵本

一般的に「飛び出す絵本」という言葉が有名だけれど、飛び出さないしかけがほどこされた絵本も多い。

最近、ネットでも話題になったスキャニメーションも飛び出さないしかけ絵本。ページを開く動作で、馬が走り出すなどアニメーションが起こる不思議なしかけだ。
 


ページを開くにつれ、右側の窓内に描かれた絵が動き出す


そのため、なにかしらのギミックがある本は「しかけ絵本」とカテゴライズされている。

しかけ絵本は、中世ヨーロッパで占星術や医学書の解説に使われていた技術から派生した。つまみを動かすことで時間が経過した結果を見せる、また覆った紙をめくることで内部の構造を明らかにするという意図で作られたもの。
 


復刻版の「ヴェルサイユの庭園」飾っておきたいアンティークな雰囲気
 


ヴェルサイユの優雅で遠近感のある風景を覗き見るしかけ


現在では、立体的に大きく立ち上がる派手なしかけや、1見開きの中にいくつものしかけがあるもの、ページを開く途中の動きにも物語があるものなど、より楽しめる複雑で美しい絵本が多く出版されている。

100年ほど前にはドイツ、現在はアメリカの作家が多く活躍しているらしい。
 


モーリス・センダックのしかけ絵本もある! 「マミー?」


しかけ絵本は、普通の本と違い、かなりの部分が手作り。そのため、数ヶ国版を一気に印刷して製本出版していることが多い。

しかけやデザインを考えて試行錯誤する作業は緻密な設計力が必要だ。サンプルが完成すると、部品ごとに印刷してプレス機で切れ込みを入れ、抜き取る。その後、部品を絵本に糊付けし、ページを閉じた時に、部品が平面に収まるように折り目を入れてできあがる。
 


作られる様子の写真が店内に展示されていた


立体的にポップアップするしかけ絵本は3D。ページをめくる間やしかけを動かすことで時間経過を表現している内容は4Dとも表現される。

現在は、多くのしかけ絵本がアメリカでデザインされ、コロンビアの工場で作られている。そして、日本でほとんどのしかけ絵本を扱うのは、大日本絵画という出版社。

メッゲンドルファーのオーナーは、長くその大日本絵画で仕事されてきた嵐田康平さん。定年でリタイアした後、住まいの近くで土地勘のある鎌倉にしかけ絵本の専門店であるメッゲンドルファーオープンさせたのは6年ほど前になる。


店内にひしめくたくさんのしかけ絵本。全て見本がある


しかけ絵本について、歴史やそれぞれの本が持つ魅力について教えてくださったのは、嵐田康平さんの息子である一平さん。子どもの頃からしかけ絵本に親しんでこられたため、その知識は折り紙つき。


一平さんが持っているのはギフトにもおすすめの「まほうつかいのノナばあさん」


さまざまなリクエストに応えて、いくつものしかけ絵本を紹介してくださった。