横浜ポルタのオブジェをつくったグラスアーティスト野口真里さんてどんな人?
ココがキニナル!
横浜ポルタ入口のオブジェ「横濱三塔物語」やダイヤモンド地下街のオブジェなどを作ったガラスアーティストの野口真里さんがキニナリます。どんな思いで創られているのでしょう?(AniesLeeさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
野口真里さんは港南区在住のグラスアーティスト。多くの方の協力のもと、ガラスを使って儚い、しかし限りなく美しい世界の創造に邁進している。
ライター:松崎 辰彦
ポルタ前にある「横濱三塔物語」
横浜駅東口。ポルタの入り口に大きなガラスのゲートがある。レンガを土台に直方体のガラスが門を模して三つ並び、キング(神奈川県庁本庁舎)、クイーン(横浜税関本庁舎)、ジャック(横浜市開港記念会館)のミニチュアを頂上に冠している。
横浜駅東口、ポルタ前にある「横濱三塔物語」(画像提供:マリエンバード工房株式会社)
キング(神奈川県庁本庁舎)
クイーン(横浜税関本庁舎)
ジャック(横浜市開港記念会館)
大きなガラスを子細に眺めると、そこに実にさまざまなデザインが描かれていることに気づく。花、砂時計、カモメ……繊細な図柄が透き通ったガラスの世界に浮かび上がっている。
ヤマユリ。県の花である(画像提供:マリエンバード工房株式会社)
砂時計
カモメ(画像提供:マリエンバード工房株式会社)
「PORTA横濱三塔物語」──2011(平成23)年12月に誕生したオブジェである。
作者はグラスアーティストの野口真里さん。上大岡で生まれ、港南区に育ち、現在も工房「マリエンバード」を港南区港南の小高い丘の上に構えている。
野口真里さん(画像提供:マリエンバード工房株式会社)
「ここは昔、父の工房だったんです。父はもともと郵政省でデザインの仕事をしていたのですが、役所勤めがまったく肌に合わなくて私が幼稚園のころに独立し、テキスタイル(染織)を始めました。一人娘だった私は自然に自分を“父の後を継ぐ者”と考え、東京造形大学デザイン科に入学しました」
ここである異変が起きる。真里さんの大学入学とときを同じくして、父がガラスの仕事を始めたのである。真里さんのグラスアーティストとしての第一歩は、父のアシスタントとしてだった。
その後、“似た者同士”で反発も強かったのか、「勘当」されて家を飛び出した真里さんは独立して仕事をしていたが、十数年前にご両親の体調の問題もあって家に戻り、創作活動をしている。
ガラスで美しい模様を作り出す
「PORTA横濱三塔物語」に関して話をうかがった。
「あのオブジェは東日本大震災のときの仕事なんです。4月にあったコンペでほかの3社を抑えて勝ち取り、12月に完成させました。本来ならば1年以上時間をかけてもいいぐらいのお仕事だったのですが、あのときは半年足らずという短期間で完成させました」
そこには、野口さんの東北への思いが込められていた。
「今回の地震と津波は何もかも流してしまいましたが、人の心だけは流すことはできませんでした。私もアーティストとして東北を支援できればと思いました」