元は落下傘訓練塔だったという今はなき「旧江の島展望灯台」がスリリングすぎたって本当?
ココがキニナル!
江の島展望灯台が江の島シーキャンドルになる前の写真が見たい。昔は灯台に登るのには簡易的な階段があり、足を滑らせたら死ぬ!って感じだった記憶が・・・。灯台内部もどうなっていたのか!(スマイルさん)
はまれぽ調査結果!
旧江の島展望灯台は二子玉川にあった落下傘訓練塔を移築したもの。長きにわたり江の島のシンボル的な存在として愛された場所だった。
ライター:すがた もえ子
江の島のシンボルとしてたたずむ江の島シーキャンドル。建て替えられる前の旧展望灯台はどうやら別の形をしていたらしい。
現在の江の島シーキャンドル
キニナル投稿に寄せられた話によると、急な階段などがあったという。
これは、昔はどうなっていたのかキニナルところ。
さっそく現在の江の島展望灯台・江の島シーキャンドルを運営管理されている江ノ島電鉄株式会社にお話を伺ってみた。
江の島展望灯台が出来た経緯は?
こちらが江ノ島電鉄のビルだ
今回はお忙しい中、江ノ島電鉄観光企画部課長村上聡(むらかみ・さとし)さんからお話を伺った。
「江の島旧展望灯台は、もともと二子玉川にあった落下傘訓練塔を1951(昭和26)年に移築したものなんです」と村上さん。
落下傘訓練塔(らっかさんくんれんとう)とは、本来は遊園地の遊具のようだが、兵士などの落下傘での降下訓練用にも用いられるほど本格的な施設だったそう。
江の島旧展望灯台は、落下傘訓練塔をそのまま全てを移築したわけではなく、主部材のみを移築している。戦争のイメージ払拭と平和を祈念し、移築後の名称は「平和塔」と呼ばれた。残念ながら展望灯台内部の写真は残っていないそうだ。
1900(明治33)年から1910(明治43)年ごろの江の島。まだ展望灯台は無い
(画像:Public Domain:Wikimedia Commons)
1945(昭和20)年の終戦から2年後の1947(昭和22)年、江の島のシンボルとして展望灯台の建設準備に着手。当時の日本はGHQの占領下にあり、担当官から許可を得ることに苦労したと言われている。
建設には半年余りの工期を要した。現在ほど建設運送機材が発達していなかったため、移築建設工事には多大の苦労があったのだという。
また、この平和塔には立地場所として公共施設を併設することが望ましいと判断され、灯台(航路標識)が設置された。灯台としての役目は現在の江の島展望灯台「江の島シーキャンドル」にもひきつがれ、光達距離23.0海里(約42.6km)の民間灯台としては国内最大級の規模を誇っている。
旧江の島展望灯台は50年余り風雨や塩害に耐えたが、老朽化が著しくなったため、江ノ島電鉄開業100周年記念事業の目玉事業として、現在の江の島シーキャンドルへと建て替え工事が行われることとなった。
建て替え工事中は2つの塔が並ぶ姿が見られた(画像提供:江ノ島電鉄株式会社)
「私は建て替え工事の担当でしたが、旧展望灯台から江の島シーキャンドルへ灯台の光が移される瞬間はとても印象的でした」と村上さん。旧展望灯台の階段は骨組は鉄骨だったが、足を乗せる踏板の部分は木製だったのだという。
2002(平成14)年大晦日に旧江の島展望灯台から江の島展望灯台(江の島シーキャンドル)への灯具交換式が執り行われ、旧江の島展望灯台は1951(昭和26)年から半世紀以上に渡るまでの長い役割を終えた。
実際に現地に行くと
江の島へ渡る橋のたもとより見た景色。頂上には江の島シーキャンドルが見える
江の島のシンボル的存在であり、江の島展望灯台・江の島シーキャンドルは離れた場所からでもその姿をはっきりと確認することができる。
また島の各所に表示されている案内図にも江の島シーキャンドルが表示されているので、道順は困らないはずだ。
一番楽で確実に目指すならエスカーを利用しよう
1959(昭和34)年に国内初の屋外エスカレーターとして登場した「エスカー」
全区間利用で大人360円だ。ちなみにエスカーは上りのみ。帰りは徒歩となるので、がんばって歩こう。
エスカー終点出口より2分で江の島シーキャンドルに到着する
エスカーを利用すれば、上りもらくちんだ
エスカーの終点からはすぐに展望灯台と江の島サムエル・コッキング苑の入口が見える
料金は大人1名500円(江の島サムエル・コッキング苑入苑料200円、江の島シーキャンドル昇塔料300円)となる(取材時)。
手前にある喫茶店の土台に旧江の島展望灯台の土台が使用されている
江の島シーキャンドルは年間を通じて多様なイベントも開催されている。
江ノ島旧展望灯台の最後の年の植物園の来場者が14万人ほどだったが、建て替えられた2003(平成15)年度のサムエル・コッキング苑の入場者は50万人までのぼり、2014(平成26)年度には72万人まで増加。その数は毎年増え続けている。
2004(平成16)年度のグッドデザイン賞も受賞している