2015年2月の川崎市中学1年殺害事件で市が最終的にまとめた再発防止策とは?
ココがキニナル!
川崎市の男子中学1年が殺害された事件で、川崎市がまとめた再発防止のための最終報告の内容は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
長期欠席の傾向が見られた時点で理由を詳細に調査するなど、全庁横断的に対応。SNSの適正利用啓発や学校と家庭の連携も提言というも具体性に疑問
ライター:はまれぽ編集部
長期欠席児童生徒に対応
2015(平成27)年2月、川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村遼太(うえむら・りょうた)さん(当時13歳)が殺害された事件の再発防止を目指す同市の庁内対策会議は最終報告書をまとめた。
報告書の詳細について、川崎市市民・こども局市民生活部企画課の阿部克義(あべ・かつよし)課長に聞いた。
庁内対策会議がまとめた最終報告書
再発防止策は10項目で、同年3月にまとめた中間報告の内容を、有識者を交えた9回の検討会を経て深度化させたものだが、事件が起きた原因については「家庭事情などプライバシーを考慮し、非公開」とした。
その中で教育委員会は、長期欠席の可能性がある児童生徒への対応を含めた包括的な不登校対策の取り組みを強化するとした。
長期欠席の「可能性」がある児童生徒も支援
2013(平成25)年度の川崎市内の不登校児童は238人で前年対比13%増。中学校も1048人で同3.7%増と、1000人当たりの不登校数は全国平均の2.69%と比べても多い。
不登校児童生徒の川崎市と全国の比較(報告書より抜粋)
同市はこれまで不登校対策として、NPO法人「フリースペースたまりば(川崎市高津区)」とともに、同法人が運営する「川崎市子ども夢パーク(同)」で学校に行けない子どもの学習支援や保護者と面談を行うほか、不登校が長期化しないための取り組みを行ってきた。
不登校児童生徒の支援を行う「川崎子ども夢パーク」(同パークホームページより)
上村さんは継続的な不登校ではなく、2015年1月の冬休み明けから休みがちになったとされている。このため、市では理由なく7日以上欠席した場合、長期欠席の傾向がみられるとして児童生徒に対し、早期に組織的に支援するとしている。
また、上村さんは、学校以外の場所で知り合った知人に殺害され、連絡はスマートフォンの無料通話アプリ「LINE」を通じて行われていたため、学校は交友関係を適切に把握できていなかった。
SNSが交友関係の可視化にとって障害となることも(フリー画像より)
報告書では学校と家庭が連携してSNSの適切な利用について、子どもたちを取り巻く実情に即した指導やルール作りを進め、それを広く啓発していくとした。
加えて、有識者の提言を受け、市の「子ども文化センター(=児童館)」の機能を強化し、子どもの居場所を整備。市が管理する都市公園について防犯カメラの設置推進を検討することなども盛り込んだ。