横浜のアノ店の「まかない」メニューを食べ歩く旅! 自宅で楽しめる味編
ココがキニナル!
横浜市内のアノ店の「まかない」を調査する新企画。第2回は阪東橋「酔来軒(すいらいけん)」と上大岡駅東口近くのバル「HANANOKI(はなのき)」の厨房へ!
ライター:高橋 寿あま
普段は見ることのできない「まかない」を食べ歩く旅としてスタートし、2軒を訪れた前回。
第2回の今回は“知るだけではなく食べてみよう”という切り口で、自宅でも再現できるまかないを伝授してもらった!
阪東橋「酔来軒(すいらいけん)」、3代目考案のまかない麺
まずは創業77年の老舗へ。横浜市営地下鉄ブルーラインの阪東橋駅から徒歩約7分の中華料理店「酔来軒」。
以前は夏真っ盛り、冷やし中華の季節におじゃました。
横浜橋通商店街のアーケード近く
うららかな午後。とはいえ回転は速く、厨房は大忙し
取材時は、仕事仲間のグループや一人客が多くみられた。まさに息つく暇もない、盛況。
3代目、野木発成(のぎ・はつなり)さんは、快活な笑顔を絶やさず次々と料理を仕上げていく。
目まぐるしいスピードの厨房で生まれた、もうひとつの味とは
「“しそラーメン”でいい? あれなら家でも作れると思うんだ」
そう言って、厨房へと招き入れてくれた。
広々とした空間、鍋の並ぶ厨房内には
各料理のアクセントとして人気の「チャーシュー」の姿も
「用意する材料は少しだけ。あと、一瞬でできちゃうからね」と、3代目。
【材料(1人前)】
・インスタントラーメン(塩味):1包
・レタス:適量
・しそのふりかけ:適量
・ごま油:適量
(1)麺を、包装袋に記載された目安時間通りにゆでる
自宅で作る際、麺はインスタントラーメンで代用を、とのこと。
(2)麺が茹であがる直前に一口大のレタスを投入
ここで、麺を茹でている間にスープを準備
酔来軒では、何代にもわたって守ってきたスープがある。それは“鶏ガラのみ”でだしを取った、シンプルなスープ。
一時期は「なぜいまだにそんな古風なスープを作っているのか」と客に問われることも多かったそう。
現在では、真摯に守ってきたこの味を「優しくて、懐かしい」と親しむファンが大勢いる。
それこそ、酔来軒の味であり、魅力
心ともいえるスープに、少量の調味料を加えていく。インスタントラーメンであれば、塩味のものを。
(3)スープに適量のごま油、味の素、塩を加えて混ぜる
(4)ゆであがった麺とレタスをスープに入れる
ここで「しそふりかけ」が登場
(5)最後にしそふりかけをまぶして・・・完成
初公開、これが酔来軒のまかない「しそラーメン」!
「一瞬」の言葉通り、ほとんど下準備も要らず、3分ほどでササッと完成。
3代目とともに、早速実食へ。
働いてもいないのにまかないを作ってもらったうえ
図々しくも、取り分けさせてしまう・・・。
それでも、終始笑顔の優しい3代目である。「こんなの入れてもおいしいよね」と、今回は自慢のワンタンも添えてくれた。
ラーメンと、しその遭遇。味はいかに
あっさりと優しいながらも、しその風味がきりっと効いて、食欲が増す。爽やかでさらさらと食べられる。ラーメンでいて、どこかお茶漬けのような・・・。そう、3代目が「しそラーメン」の着想を得たのは、何気なく食べた「梅しそ茶漬け」。
日常の食にも常にアンテナを張って、厨房で試してみる。プロだからこそ、毎日食べるまかないに“飽き”はない。
おいしくって、笑顔! 感動で写真もブレる
ワンタンの餡は、卵の白身と豚肉を練って作る
通常、休憩に入れるのは午後3時30分から午後4時ごろ。といっても、一口放り込んでは調理、また一口・・・なんてことは珍しくない。
ほとんどの時間を、3代目と弟さんの兄弟2人で切り盛りする酔来軒。
もう一品、看板メニューとしても、自身のまかないとしても愛するメニューがあるそう。
それがこの「酔来丼(400円)」。この安さでスープ付
黄身を割って、全体を豪快に混ぜて食べるのが基本
こちらも3代目が考案。18年前、店名を冠してメニュー化すると、2年も経たないうちに名実ともに看板メニューへ。
「チャーシュー、ネギ、メンマ、モヤシ・・・ご飯に合う具材ばっかりでしょ。酔来丼だけは、何回見ても何度食べても、飽きないんだよね」
ネギとニンニクを加えて煮た自家製の醤油
思い切って混ぜるほどにおいしく!
口に運ぶたびに異なる具材の食感と、濃いめの味付け。
カラシの配合は、鼻にツンと来ない直前の絶妙な配合。また食べたい絶品!
「しそラーメン」は食べ終えるころ、翡翠のような色に
ちゃぶ台、畳、テレビの声、鍋を振るう音
安易に「レトロ」なんて一言では言い表せない、胸がぎゅっとなる店内の雰囲気。
これが“懐かしい”という感情なのだろうか。
店先にステッカーを貼っていただいた
しそラーメンの調理だけでなく、過ごした時間は一瞬に感じた。幅広い世代の人たちに、ぜひ一度、足を運んでみてほしい。