らぁ麺ランナーズ! 藤沢の「鴇(TOKI)」店主、第四走者・横山巧
ココがキニナル!
ラーメン道という果てしない道を走り続けるランナーたち。その生き様と渾身の一杯を店主同士のリレー形式でお届けしていく全8回の新企画!
ライター:はまれぽ編集部
人気ラーメン店の店主が、“感銘を受けた美味しいラーメン店”をリレー形式で繋いでいく企画、「らぁ麺ランナーズ」。
第三走者、逗子の「想~SOU~」店主、北村光太(きたむら・こうた)氏が第四走者に選んだのは、藤沢の「鴇(TOKI/とき)」店主、横山巧(よこやま・たくみ)氏。
厚木市の「麺や食堂」、西区北幸で営業していた「麺や維新」(現在は東京と品川区に移転)で修行を積み、2015(平成27)年に地元・藤沢に「鴇」をオープン。連日行列をつくる人気ラーメン店を営む店主・横山氏の真っ直ぐで飾らない素顔に迫った。
横山巧
1987(昭和62)年12月24日、神奈川県藤沢市で産声を上げた横山氏。幼いころ新横浜ラーメン博物館で、父親と初めて一緒に食べた、佐野実(さの・みのる)氏がプロデュースした「八戸麺道 大陸」でラーメンに出会う。
年齢を重ねるごとにラーメンへの愛を育てていった
厚木市の「麺や食堂」で約5年間修行し、その後、「麺や維新」で修行をした横山氏。28歳の時、満を持して「鴇」を開業した。3年目を迎える同店の前には、横山氏の作るラーメンを求めて連日列をなしている。
鴇(TOKI)
JR藤沢駅北口より徒歩8分ほどの場所にある。
東海道線沿いを辻堂方面へ真っ直ぐ進むと分かりやすい
築60年以上の建物
平日でも開店前から10人近く並ぶこともある同店。地元の人でも分かりづらいであろう場所に位置しているものの、美味しいお店に立地は関係ないのだ。
店内はカウンター7席、テーブル3席の全10席。決して広いとは言えないが、和の雰囲気で統一されており隠れ家のようだ。
「外食の非日常的な空間を作りたいと思い、和でピシッとした内装にしました」と横山氏
だからといって、親子連れが入りづらい雰囲気はない。
テーブル席には子どもが喜びそうな飾りや
日清チキンラーメンの取り分け皿も用意されている
横山氏は、「自分も小さいころラーメン屋さんに行くのが楽しみだったんです。なので、子どもたちに『鴇に行きたい』と言ってもらえるようなお店にしたいと思っています」という。
そこには横山氏の純粋な想いが表れていて、自然と親しみを覚えてしまう。お店作りにも人柄が出ているようだ。
ラーメン哲学
そんな横山氏に、ラーメンと向き合う姿勢をうかがう。
「自分は、恩返しの気持ちでラーメンと向き合っています。『こういうラーメンを作りたい』と思える職人さんの元で修行できたことに感謝して、学んだことを崩さず、教わってきたことに忠実にどんぶり一杯を作っています」と横山氏。
「当たり前のことを当たり前にやることの大切さを実感しています」
「食材、お客さんとの向き合い方、お店を綺麗にすることなど、当たり前のことを丁寧に厳しく教えてもらいました。それが今の自分につながっていると思います」と振り返る。
どれだけ忙しくても、お店を綺麗にすることを心がけている横山氏
店が綺麗だと、店の空気も良くなる。シンプルなことだが、それを続けることは容易くない。いつも神聖な気持ちでラーメン作りに取り組んでいる様子がうかがえた。
尊敬する人
尊敬する人に、「維新商店」の長崎康太(ながさき・こうた)氏を挙げる横山氏。
「助けていただいた業界の先輩方はもちろんですが、『こういうラーメンを作りたい』と思えるキッカケになったのが維新商店です。長崎さんとの出会いは、自分にとって宝」と話す。
ラーメン業界を代表する名店で修行を重ねてきた
「長崎さんにご紹介いただいて、飯田商店さんの催事をお手伝いさせていただいたことがあるのですが、食材に対する向き合い方やラーメンに対する真剣な姿勢に刺激をいただきました。そういったご縁を繋いでくださったことにも感謝しています」と笑顔を見せた。
横山氏は漫画家、原哲夫(はら・てつお)氏のファン
横山氏と話していて感じたのは、諸先輩方への尊敬と信頼の気持ちがとても大きいこと。優しい眼差しから、その本心が伝わってきた。
そんな、実直さを絵に描いたような横山氏が作る渾身の一杯とは・・・。