高騰中の鰻、横浜の名店ではどのような対策をとっている?
ココがキニナル!
横浜には鰻の名店はありますか? また、鰻の価格が高騰していますが、そうした名店ではどのような対策をとっているのでしょうか。(maniaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鰻の卸値はほぼ2倍に高騰。ミシュラン星獲得店、老舗、大衆的な人気店で話をうかがったところ、さまざまな対応で少しの値上げに抑えていた。
ライター:吉田 忍
140年の歴史を誇る老舗 「割烹蒲焼わかな」
2軒目にうかがったのは、横浜で鰻と言えばここ「割烹蒲焼わかな」
関内から桜木町方面へ1分ほど
2階店内。速水史郎氏の彫刻が独特の雰囲気を醸し出す
わかなには創業に関する面白い話がある。
江戸中期、国で待つ奥方へのお土産として参勤交代の大名に人気の銘菓「亀の子煎餅」を扱っていた「若菜屋」。
ところが、江戸時代末期の若菜屋長男「吉蔵」は生来の遊び人。家を継がず、日々博打に興じていた。そんなある日、吉蔵は金に困った若者二人を助ける。その二人がたまたま鰻職人で「旦那にご恩返しがしたい。鰻屋を始めてくれたら懸命に働きます」と言われたことから、鰻屋「わかな」は明治5年に創業した。
140年の歴史を守る6代目、橋本隆専務
横浜に日本初のガス灯が灯り、横浜・新橋間に鉄道が開通した年から続く老舗。ここでも3000円で食べられる鰻があった。
うな丼、お新香つきで、2625円。肝吸375円をプラスしてちょうど3000円
タレはキリっとシャープな味。焦げ目の香ばしさが引き立ち、鰻の香りや味がストレートに味わえる。
甘味を抑えたタレは炊き立てご飯の芯まで染み込み、独特の味わい。「鰻はわかなでなければ」という根強いファンがいるのも頷ける。
うな丼、210円だけ値上げというお知らせ
鰻高騰の今、「いらしていただけるお客様をガッカリさせたくない」とギリギリの値上げに抑えた。
創業以来、継ぎ足しで守られてきた秘伝のたれ
3階には老舗ならではのお座敷があり、コース料理で利用可能。日本画の巨匠、河合玉堂・鏑木清方・伊東深水の掛け軸がかけられていることもあるとか。
「支店を出す余裕があるなら、現在の店に全てつぎ込む」その覚悟と美意識を持って集められた芸術品の数々が飾られた店内は、目で味わうご馳走なのだ。
結納などによく利用される和室
1Fエレベーター手前にある鬼瓦のアート
鰻一筋40年、まさに職人という雰囲気の谷田川さん
わかなは、鰻の裂き・串打ち・焼きだけでなく、ご飯炊きや漬物など、それぞれに専門の職人がいる。その上で、できるだけ早く注文に応えられるよう、専務が例年のデータと勘で采配。
タイミングにより少し待つこともあるが、うな丼の魅力は焼き立て鰻が炊き立てご飯に乗ってこそ。
個性ある味と伝統を守る横浜の老舗、それが「わかな」なのだ。