産地より、食生活に合わせたお米選びを

では、同店で買うことができるのは、どの産地の米なのだろう。持田さんによると、北から順に、北海道、山形県、福島県、新潟県、長野県、福井県、茨城県、静岡県、福岡県、佐賀県産の米を常備しているとのこと。

持田さん自ら全国の米の産地へ出かけ、質の良い米を育てている農家と一定量を買い取る契約を結んでいるので、こうした販売体制が可能となっている。もちろん希望があれば、これ以外の地域でも相談可。
　

店頭で、直接米を見ながら選ぶことができる

中でもオススメは、福井産の「ピロールコシヒカリ」なのだとか。これは、戦国大名の前田利家に献上していた「お引き取り米」を、今の世に再現したもの。

かつて作付けされていた土地を調べてみたところ、シアノバクテリアという藻の一種が、土壌を豊かにしていたことが判明したそうだ。各種ミネラルや本来植物にはないビタミンの一種が含まれるばかりか、本来米は弱酸性なのに、体にやさしいアルカリ性であることなどが、その特徴となっている。
　

福井産ピロールコシヒカリ、5キロで3600円

また、「お米のおいしさ」とは、その人の食生活によっても異なるらしい。例えば、肉類などのコッテリした洋食が中心であれば、粘り気の多い「ミルキークイーン」などが合う。野菜や魚などの和食系には、淡泊な「ひのひかり」などがいい。

したがって、自分でえらぶよりも、まずは気軽に相談してほしいそうだ。「五ツ星お米マイスター」とは、まさにこうしたお米選びのために、存在しているのだ。
　

その知識を有効に活用させてもらおう

また、奥さんの怜美(さとみ)さんは、雑穀アドバイザーの資格も持ち、食材により心身バランスを整えるマクロビオティックの知識を生かして、雑穀料理教室を行っている。体にやさしい雑穀レシピを新聞・雑誌などに連載し、生活習慣病を防ぐレシピの相談なども、実際に寄せられているそうだ。
　

その人の健康状態に合わせたメニューの例

持田さんは、「米というと、銀シャリのような白い米への信仰がある。しかし、栄養面で考えたら、やはり玄米が一番」と話す。もちろん同店では、精米の度合いも調整することができる。そういったところも、スーパーとは違った、対面販売のできる「お米屋さん」の強みだろう。

マイスターが伝授する、おいしいお米の炊き方

さて、せっかく好みの米が手に入っても、上手に炊くことができなければ意味がない。
そこで、持田さんに、おいしい米の炊き方を伝授してもらった。

• まずは、米を一度水に通してから、その水を捨てる。
• 米と米がこすり合わさるように、指を使って20回程度(量にもよる)とぐ。水の中に漬けたまま、かき回すように混ぜるのは間違い。
• といだ米を、3回ほど水でゆすぐ。
• 水に浸した状態で、最低でも1時間、できれば2時間置いておく。夏場は雑菌の心配があるので、冷蔵庫に安置するのが好ましい。ザルに空けるのは米が硬かった時代の方法で、乾燥させて米にヒビを入れ、水を吸い込ませやすくするのが目的。今はしない方がいい。
• 後は電子ジャーにお任せ。実は、夏場と冬場では、水道水の温度が5度以上も違うので、炊きあがりに違いがある。冷蔵庫で安置しておけば、同じ条件からのスタートになるので、この方法がオススメ。

　

こんなやり方は、まさに時代遅れ

持田さんによれば、今年は全国的に豊作の傾向にあるのだとか。そんな中、特に福島県の農家が、風評被害を起こさぬよう、かなり熱心に米を育てているそうだ。従って、逆に例年よりいい米が育っているとのこと。
「お米のおいしさを決めるのは、やはり、農家の愛情なんですよ」と、持田さんは話す。

おいしい「ご飯」に出会うには

今回の投稿者は、お米が好きとのこと。これは、いろいろな米の種類を知りたいという意味ではなく、おいしいご飯を食べたいということだろう。そのためには、産地にこだわらず、総菜との相性や炊き方も含めて、いろいろな切り口を検討した方が良さそうだ。

日米連のサイトでは、持田さんのような「五ツ星」を筆頭に、横浜各地の「三ツ星お米マイスター」がいるお米屋さんを紹介している。ぜひ、参考にしてみてはいかがだろうか。
　

お米マイスター全国ネットワークのページ
(「五ツ星」として紹介されている「中元米穀　米の中元」は現在廃業、「ミツハシ」は卸し専門)

人を通して米を選ぶことで、新たな発見もあり、食卓に話題も生まれるだろう。そしてそれもまた、おいしいご飯の条件となるに違いない。


―終わり―

◆山田屋食糧有限会社
横浜市旭区今宿東町1626
tel045-951-0218
定休日:日曜(G.W.から11月までは祝日も休み)
http://www.yamadayakome.co.jp/