青葉区にある「ナチュラーレ・ボーノ」で食べられる、横浜産の珍しい野菜とは?
ココがキニナル!
横浜野菜(珍しい種類の野菜)を使ったナチュラーレ・ボーノというお店があるらしいのですがどんな珍しい野菜が食べられるのでしょうか?その味もキニナル(いぶちん☆さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
トマトだけでも15種類、素材が持つ多彩な色・味・香りが楽しめ、野菜は多品種であることに改めて気付かされる、おいしく学べるイタリア料理店だった。
ライター:河野 哲弥
しま模様のトマトに、赤い色のジャガイモ
農家との交流を続けていくと、同じ野菜でも、実に多くの品種が栽培されていることが分かってきた。これらの中には、市販の品種では味わえない、魅力的な風味を兼ね備えているものが少なくなかった。
その日同店にあったジャガイモだけで、こんなにも種類がある
見た目にも彩りを添えるこうした野菜が、なぜ市場に出回らないのだろう。不思議に思った植木さんが農家にたずねてみると、スーパーなどの買い手は、いわゆる「売れる野菜」を求める傾向にあることが判明した。例えば赤いジャガイモなどは、場合によっては「不良品」と思われ、消費者からクレームが寄せられることもあるらしい。
このため、農家が自分たちで消費してしまったり、直売所に買い物に来る限られた常連だけに販売されたりしているそうだ。
中央にあるのは「グリーンゼブラ」というトマト。ゼリー状の部分が多くすっきりした酸味が特徴
しかし、植木さんにとって今まで注目されていなかった野菜は、メニューづくりへの無限のヒントを与えてくれる宝物のように思えた。
「コーヒーや紅茶には、風味を整えるブレンドという方法がある。ならば、トマトソースにも、多彩なトマトを使ったブレンドという発想があってもいいのではないか」。
同時に、買い手側の都合で一方的に押しつけられていた「流通」にも、疑問を持つようになったそうだ。「野菜はもともと多品種。消費者はそれを知らずに、スーパーに並んでいるものがすべてと考えてしまう。だから、問題提起も含めて、いろいろな野菜を取り扱うようにしたんです」と植木さんは話す。その象徴が、実はよく見るキュウリなのだとか。
今のキュウリは、キュウリじゃない?
植木さんによると、市販されているようなまっすぐに伸びたキュウリのほとんどは、ナスに接ぎ木をして栽培されたものなのだとか。接ぎ木しない「自根(じこん)」と呼ばれる純粋なキュウリは、農家に直接出向かない限り、入手はまず不可能であるらしい。
本当のキュウリは、イボイボでうっすら粉が吹いている
本来のキュウリが出回らなくなった理由は、「見た目が悪い」という、買い手側の都合だ。パックなどに収まりやすいが水っぽく、風味も乏しいので、ドレッシングやマヨネーズなしには食べられない。やがて濃い味の調味料が主流になると、それに追随するかのように、味気のない野菜が増えていく。まさに負のスパイラルである。
「本当の野菜を、ぜひ一度、そのままで味わってほしい」。同店の人気メニューでもある、「バーニャ・カウダー」には、植木さんのそんな思いが込められている。
横浜の野菜などが大集合の「バーニャ・カウダー」
(ディナー単品1500円、ランチのセットで1600円)
「珍しい野菜」なら、きっと「珍しい味」がするのだろうと考えていたのだが、その期待はいい意味で裏切られた。一言でいうなら「香りが濃厚」に尽きる。そして、こんなにも種類が豊富な横浜産野菜のポテンシャルに、改めて驚いた。
「作り手の顔が思い浮かばないようなストーリーのない野菜は、味も香りも乏しい」。そう話す植木さんが渡してくれたのは、その朝採れたての生のトウモロコシだ。
夏の代表的な旬ともいえるトウモロコシ
植木さんに勧められそのままかじってみる。どんなスイーツにも負けないさわやかな甘みが口いっぱいに広がる。これが本来の野菜の味なのだ。
野菜も人も、見た目より中身
植木さんはつい先日、横浜野菜を使った地産地消の総菜店、「リバイヴ・レシピ テンゾ」を藤が丘にオープンした。
同店や「ナチュラーレ・ボーノ」で働く従業員の中には、「バイターン」と呼ばれる高校生の職業体験プログラムを利用して勤務する高校生スタッフもいる。
店名の中の「リバイヴ(=よみがえる)」には、流通に乗り損ねて出回らない野菜のリバイヴ、才能・実力があるのに十分に発揮できていなかった人材が活躍の場を得るリバイヴ、そしてその惣菜を食べた人達が明日への鋭気を養うリバイヴ、という3つの願いが込められている。
同店のfacebook ページ
「珍しい」という線引きは、「標準」というモノサシの外側で、一方的に決められてしまうものである。しかし、そこに価値がないかといえば、決してそんなことはない。むしろ魅力的でさえあるのに、私たちがそこに、気付いていないだけである。
ともすると「珍しい」は、興味本位という目で見られる。しかし、そんな色眼鏡を外すと、そこに本当の「真実」があることが分かる。野菜と人を通して、貴重な勉強をさせてもらった、今回の取材だった。
―終わり―
◆ナチュラーレ・ボーノ
住所/横浜市青葉区藤が丘2-4-3 藤が丘会館B1F
電話番号/045-978-0355
営業時間/11:30~15:00(ランチ)、18:00~22:00(ディナー) ※火曜日定休日
http://n-buono.com/