超過酷!? 横浜市民を守る「消防団」ってどんな訓練をしている?
ココがキニナル!
横浜市消防団の日常の活動について知りたいです。ご調査願います(いちやんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
消防団員の大半は会社員や自営業などの社会人。仕事が終わった夜間や土日を使って訓練、火災や水害が起こったときに出動する非常勤特別職の地方公務員!
ライター:桐生 由美子
現地調査に欠かせない「情報収集隊」の登場!
ただ放水するだけではなく、実際に「大規模災害が起きた」という設定で、火災を消火するまでに起こりうる状況想定も、訓練に組み込まれている。
そこで登場するのが西消防団に在籍している「情報収集隊」。彼らの役目は、先陣を切ってバイクで災害地へ突き進み、現場の情報を隊長に伝えることだ。
情報収集隊がオフロードバイクに乗って出動!
震災で街が被災しているため道なき道を調査する、という訓練
調査結果を隊長に報告
訓練は木造密集地での火災と断水という想定。住宅地の火災の状況や車の通行の可否、事故などはないか、けが人はいないか、ガソリンのにおいはしないか・・・など、五感をフルに使って調査し伝えることが重要になる。
左から西消防団に所属する情報収集隊の小野さん、浦辺さん、山内さん
この情報収集隊だが、実は組織の中に配置を義務付けられている部隊ではない。そのためバイクも隊員の私物だ。
ではなぜこのような部隊をつくり、その部隊に所属する人たちがいるのか?
「僕たちは、東北や中越の被災者なんですよ」と話を切り出したのは、東日本大震災が起きたときは岩手県で漁師だったという浦辺(うらべ)さん。「被災したとき、食事より何より、情報がまったく入ってこないことが一番不安だった」と言う。そしてその後横浜に引っ越した浦辺さんは、岩手での経験を生かせることができないかと、消防団に入団した。
唯一の女性隊員である山内さんは、新潟県中越地震の被災者。「当時も消防団の活動に参加していたので、横浜に来てからも続けようと思って入団しました」と言う。自動車教習所でバイクの教官をしている山内さん。どうりでバイクの運転がうまいわけだ。
「衣食住のことは多くの人が心配してくれて、協力もしてくれました。実際、数ヶ月間は避難所の板の上で寝ていました。その中で一番不安だったのは、情報がないということ。今消防団の情報収集隊として活動しているのは、いち早く情報を伝えることの重要性を知っているからなんです」と浦辺さんは言う。
放水訓練スタート!
情報収集隊が災害地の情報を隊長に報告すると、次はホースのつなぎ方の指導だ。65mmホース(細くて白いホース)を器用にスルリと伸ばし、手早く、正確に集水管(65mmホースと大口径ホースを結合する器具)につないでいく。
消防艇に接続した65mmホースを延ばす
6本の65mmホースを集水管に順番につなぐ
全部のホースを集水管につなぎ終えた
集水管の反対側に大口径ホース(オレンジ色の太いホース)をつなぐ
ここで使う大口径ホースは、通常使用しているものとは少し違い、水圧に耐える力が強く、ガラスや金属、コンクリートの破片、がれきなどに負けないゴム製の素材でできている。
ホースの接続が済んだら、消防団は防火衣に着替えて放水準備。
実際に消火活動で着る防火衣を着用
消火をする人とその後ろで補助をする人が準備体制に入る
大口径ホースの中を水が流れてきて・・・
放水開始!
水圧が徐々に上がる
表情も真剣
水が通っているホースはまるで電信柱のようにガッチガチ
身長170cm体重50+●kgの筆者が乗ってもビクともしない
※ホースに乗ることは安全面や資機材愛護の観点から禁止されているが、今回はホースの硬さを体験するため特別に許可いただいた。
団員全員が入れ替わり、数分間ずつ放水の訓練をする。水が止まると片づけを済ませて、訓練終了だ。