中区の子育て支援NPO法人の元職員が720万円を横領! なぜ起きた!?
ココがキニナル!
子育てに関わる団体の支援を行うNPO法人「神奈川子ども未来ファンド」の元職員が720万円を横領。なぜ、このようなことが起きた!?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
ファンドは業務上横領容疑で元職員を刑事告訴した。通帳管理などを含めた管理体制の甘さを認め、改善できるまで業務を中止する
ライター:はまれぽ編集部
ずさんな管理体制
ではなぜ、1年4ヶ月にもわたって犯行を繰り返すことができたのか。ファンドの体制に問題はなかったのか。
この質問に対し、馬場洋一(ばば・よういち)副理事長は「管理体制が甘いと指摘されれば認めざるを得ない」と認めた上で「関係者に大変なご迷惑をおかけした。助成を待っている団体もいる。組織一丸となって信頼を取り戻す努力をしたい」と謝罪の言葉を述べた。
謝罪の言葉を述べる馬場副理事長
馬場副理事長によると「設立当初からのメンバーで、まさかそんなことをするとは思わなかった」とし、採用に当たって元職員の経済状況などの身辺調査を行わなかったことから「問われれば任命責任はあると思う」と声を落とした。
通帳の持ち出しは入出金の記帳などを除いて原則禁止されているが、実態は違ったようだ。
ファンドの事務所があるワールドポーターズは営業時間外の入館制限があるが、元職員は入館証を持っていたため、ほかの職員がいない時間帯を見計らって事務局を訪れ、通帳を持ち出したと見られている。
管理体制の盲点をついた犯行がうかがえる
肝心の通帳の管理について、馬場副理事長によると元職員は「パワハラ(パワー・ハラスメント、職場での地位を利用したいやがらせ)まがいのことをして、自分以外に通帳管理ができないようにしていたと聞いている」と話していた。
このように「そんなことをするとは思わなかった」元職員に通帳管理を任せ、だれもチェックしていなかったという杜撰(ずさん)な体制が、1年4ヶ月もの長期間にわたって通帳の残高を確認できなかった理由になっていることを馬場副理事長は認めた。
これを受け、同ファンドは事実関係の調査を行う第三者評議委員会を設置。さらに、体制の立て直しができるまでは寄付の受け入れ・助成事業を休止することを決めた。
馬場副理事長は「このような事態を招いた責任を痛感する。寄付者をはじめ、皆さまの信頼を取り戻すよう、組織一丸で努力する」と述べた。
所轄庁はどう捉えている?
そもそも、NPO法人は「認定NPO法人」と「認証NPO法人」に分けられる。ある任意団体がNPO法人の法人格を取得しようとした際、所轄庁が認証することではじめて「認証NPO法人」となる。一般的に「NPO法人」という場合には、この「認証NPO法人」を指すことが多い。
しかし、一定額の寄付金を集められる、運営が適正であると国税庁長官が認めた場合「認定NPO法人」となることができる。
認定NPO法人への流れ
認定NPO法人は、いわば「国のお墨付き」のようなもの。高い公益性が認められるということで、より多くの寄付が集まる可能性が高まる。また、認定NPOに寄付を行った個人には税金の還付があるというメリットもあるため、さらに寄付金が集まる仕組みになっている。
横浜市内のNPO法人の活動は中区の市民活動推進センターでチェック可能
では、同ファンドを監督する立場にある横浜市は今回の事件をどう捉えているか。市民活動支援課の佐藤千鶴担当課長に聞いた。
佐藤課長によると、現在は「事実関係を確認し、ファンドからの報告書を待っている状態」とのこと。
その上で「『適正な運営』に抵触するかを検討していくが、第三者委員会も設置し、再発防止策を講じていると聞いている。現状では、回復が期待されるので、直ちに認定取り消しとまではいかないのでは」との見方を示した。
取材を終えて
どういった理由があるにせよ、他人の善意を横領するという行為は言語道断だ。また、それを許すことになったファンドの管理体制も非難されてしかるべきだろうと考える。
しかし一方で、ファンドが助成しているのは東日本大震災で避難してきた被災地の子どもや外国籍、発達障害の子どもに対する支援など、活動の理念は崇高なものであり、実績も疑いの余地がない。支援を必要としている団体はまだまだいる。
「あなたの思いを、届けます」(『神奈川子ども未来ファンド10周年記念誌』より)
一度失った信頼を取り戻すのは容易でない。口先だけでない「信頼を取り戻す努力」をしてほしいと切に願う。
―終わり―
松沢正子さん
2016年12月13日 17時10分
「なぜこんなことが起こったのか?」より「なぜこうなるまで行政(ここでは横浜市)は気づけなかったのか?」というほうが私には、疑問です。「なぜこんなことが起こったのか?」ということによってこの横領の責任の全てを「子供未来ファンド」の管理体制のせいにするのは、いかがなものか?、この事件の責任は、「子供未来ファンド」の管理体制にももちろんあるが、行政(この場合横浜市)のチェック体制が全然機能していないことを深刻に考えるべきだと思う。
Q-cahnさん
2015年06月06日 11時28分
この事件で一番損を被ったのは、支援して貰えるはずだった人。騙されたのは、趣旨に賛同して献金した人。損害金の返却と厳しい処分を望みます。
今宵月男さん
2015年01月16日 01時59分
NPO法人の理事長とかやってる人って、どういう経緯で理事長になったんだろう?NPOにかかわる人は公務員と同じ扱いでもっと厳しくしないとダメだと思うな。