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この木何の木キニナル木、イセザキ・モールの巨木メタセコイアが突如伐採された理由とは?

ココがキニナル!

伊勢佐木町にある生きる化石、メタセコイアの巨木は?/なぜ切り倒された?/スクランブル交差点の横断歩道を遮るチェーンに囲まれた場所は?(Ichiさん、横濱マリーさん、Aloha.Rickyさん)

はまれぽ調査結果!

約57年前に植えられたメタセコイアは、近くの建物を傷めてしまう上、成長が早く手入れが大変なため、2014年10月に伊勢佐木町3丁目共栄会が伐採

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ライター:山崎 島

街のこれからを見据えて



伊勢佐木町3丁目共栄会会長の牛山裕子さんの事務所へお邪魔しました。
 


牛山さんは横浜市初の女性商店会長でいらっしゃる(提供:伊勢佐木町3丁目共栄会)


もともと街づくりを本業とされ、街づくり法案にも関わられていたそう。残念ながら、この日お写真を撮るのはNGだったが、凛としていて気品漂う方でした。背筋がピンとします。さっそく「メタセコイア」についてお話をお伺いした。

すると「あの木はねえ・・・本当に大変だったのよ」と牛山さんは語り始めた。大変とは・・・一体どういうことなのでしょうか?

1981(昭和56)年にモール化された伊勢佐木町。365日24時間歩行者天国の現在のイセザキ・モールが誕生した。伊勢佐木町は1~7丁目まであるが「私はお嫁に来たので詳しいことは分かりませんが、昔から住んでいらっしゃる方からお伺いしたのは、せめて1・2丁目よりも高い木を植えたい、ということで成長が速く大きくなるメタセコイアを植えた、とのことです」と牛山さん。
 


1978(昭和53)年ごろのイセザキ・モール1・2丁目


思いっきり予想外の理由でした。「なんであの場所に規格外の大きさのメタセコイアが??」と思った方、この理由なら、なんか・・・なんか合点がいきませんか? 確かにあの木は人目を引いたしなあ。理屈じゃないんだなあ。

そんな理由から植えられた「メタセコイア」。やはりぐんぐん大きくなっていきます。あっという間に15メートル以上に。そんな大きなのっぽの「メタセコイア」は、こんな特性があり、牛山さんたちを困らせたそう。

「あの木は幹が細いうえに良くしなるんです。風の強い日なんかは、しなって隣のビルの窓ガラスや外壁を叩くんです。あの木のそばのビルは古くからある建物だったから、その衝撃で傷んじゃうんですね」
 


「メタセコイア」があったすぐ隣のビルをよく見てみると
 

たしかに痛みが目立つような・・・


「それから『メタセコイア』は秋になると葉が落ちます。その葉がビルの屋上へたまり、排水管に流れて、ビルの壁の中を通っているパイプが詰まって水が漏れ、これまた壁を傷めてしまったんです。それに根も太いから、地下室の壁を押したり、盛り上がったりして通行するにも危なかった」と牛山さん。

山崎の親戚は植木屋さんをやっていて、木と一緒に生きていくことに手間が必要なのは想像できる。緑があふれる街は確かに理想的だけど、その環境を整える側ってものすごく大変。通っているだけではわからない、事情があったんですね。
 


生き物だもの


育ちまくった「メタセコイア」に約15年前から困っていた牛山さんたち。当時あった横浜市緑政局へ剪定(せんてい)や伐採をお願いしたが「商店街の方でやってくれ」と断られ、年に一度、高所作業車を持ってきて自腹で剪定していた。が、費用もかかるし、365日24時間歩行者天国のイセザキ・モールでの剪定作業は難しく、中土木事務所に伐採を相談。
 


中土木事務所でござい


「切るのは良いですが、費用は出ません」と言われたが、これからのことを考え「それでも切ってしまった方が良い」と役員会で伐採を決議。町内会の方々に事情を説明し、費用を集めた。費用は公表できないが、ウン十万。

「3丁目の方々は困ったことがあると、自分の損得を考えずに協力してくれる方々です。この件でもみなさん非常に協力的でした」と牛山さん。

伐採作業は事前に警察署へ許可を申請し、2014(平成26)年10月、午後10時から翌日午前8時の時間帯で行われた。牛山さんは全て立ち会ったそうで「何か起こった時に全て把握した上で対処しなければならないので」と凛とおっしゃいました。
 


写真奥のメタセコイアをイセザキ・モールのシンボルツリーだと思っている方も


「私のところにも『なぜあの木を切ってしまったんですか? 散歩のたびに眺めるの楽しみにしていたのに』というご意見も寄せられましたが、これからの商店街のことを考えると、やはり切るしかありませんでした。商店街の方からは『見晴らしがよくなったね』と晴れやかなご意見が多いです。ちなみに、3丁目のシンボルツリーは『メタセコイア』ではなく、もう少し奥にあるカリンの木です」と牛山さん。
 


のど飴とかでよくお世話になっております


もともと街づくりを本業としてきた牛山さんは「メタセコイア」の伐採をとても前向きにとらえてらっしゃる印象だった。

これからのイセザキ・モールについては「イセザキ・モールにしかない、お店や商品がある商店街にしたいです。そのためにも、若い方々が自分のやりたいお店を出しやすいような環境にするために、日々動き続けています」とのこと。

古くからあるものをなくすのってネガティブなイメージにとらえられがちだが、牛山さんは商店街の現状と、これからのことを静かに考え行動されていて、しかもお話も専門的なのに分かりやすくてとっても刺激的な時間を過ごさせていただきました。
 


事務所のお向かいのパチンコ屋の社長さんから毎年贈られてくる備前焼の干支の置物
 


情と信頼をかんじちゃった


ちなみにメタセコイアが植えてあった場所にチェーンがしてあるのは、まだ地面が盛り上がっていて危険なため。もう少し時間が経つと地中の空洞がつぶれて平らになるそう。



現場でうろうろ



近くのお店の方々はどう思っているのだろうか「めりけんはとば」さんへお話をお伺いした。
 


「え、あの木ってスギじゃなったの?」


とびっくりしたお顔のお兄さん。「メタセコイア」については「大きな木だったし、落ち葉がすごかったね」とのことで、「切られてからは見通しが良くなった」とおっしゃっていた。

ちなみに、伊勢佐木町3丁目のシンボルツリーはカリンの木なのをご存じですか? と聞いてみると「知らない」とのご返答。そうですか、たこ焼き一つください。
 


大きなたこ焼き(360円)はタコも大きくてやわらかでおいし
 

で、こちらがシンボルツリーのカリンの木
 

にょきにょき


古くから営業していらっしゃる近くの眼鏡屋さんに、カリンの木のあれこれをお伺いしたが、何故シンボルツリーになったのかはご存じではなく、植えられた詳しい年も分からないとのことだった。

「カリンの木も手入れが大変です。大きな実をつけるため、落ちて通行人に当たったら大変。毎年10月には剪定を兼ねて実も落としてしまいます」とのこと。やはり木も生き物。一緒に生きていくには手がかかるんですね。



取材を終えて



街からあれだけ大きな木が無くなるのって、結構な事件だなと思って取り掛かった取材だった。そこにあり続けると、いろいろな方がそれぞれの想いを託したり馳せたりするんだろうけど、街は、やはりどうしても変わっていく。今回の取材では、それをしゅっと受け止めることが初めてできたのでは、と思った。
 
 
―終わり―
 

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  • いきなり黙って切らないで、「長い間3丁目を守ってくれたメタセコイアですが、切ることになりました。」とか看板だして、なぜ切らないといけないのか事情を書いて貼り付けるとか、なんかもっと商店街の都合ばかりじゃなくて利用者のことも考えて欲しかったなー。伐採がわかってたらその前に写真撮ったりできたのに。残念だな。

  • 福三さん、4本あったのですか?元々2本だけで、2本とも伐採されたようですよ。

  • 結局、昔から植えられている街路樹が一番良いということだと思う。銀杏などの。それが日本の気候、風土に合っているということだと思う。

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