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昭和のノスタルジーを感じさせる横浜の酒場めぐり。絶品鳥料理をいただける、西横浜「やまと」編

ココがキニナル!

以前のレポートの「市民酒場」のように、ノスタルジーを感じさせる居酒屋が西横浜にあります。店名は「やまと」です。レポートをお願いします!(はるちゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

1958年開業の鳥料理「やまと」はおしどり夫婦が伝統の方法でさばいた鳥を素材の味を活かした塩味でいただける。いるだけで幸せな気分になれる居酒屋

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ライター:山崎 島

鳥がこんなにおいしいなんて



やまとのこだわり、それはなんといっても「ごまかさない鮮度」。同店の使用する鳥は、九州・岩手・福島(伊達)の3つの地域から、ニワトリそのものを仕入れている。

「家は前日にしめた鶏肉しか出さないんです。鶏肉を仕入れると、どうしても3日ぐらいはかかっちゃうでしょ。衛生的なこともあって、しめるのは工場なんだけど、さばくのは全部ここでやります。だから、ほかのお店では食べられない部位をお出しできるんです」。

同店の鳥のさばき方は、先代が編み出した独自の方法で、某大手チェーン居酒屋の料理人さんが技術を学ぼうと見に来たが「僕にはとても真似できません」と帰って行ったというほど難しいのだそう。
 


また、同店の料理は9割が塩味

 
鮮度の低い鶏肉には臭みが付き、それを消すためにスパイスを多用するところもあるそうだが、やまとでは一切ごまかしがきかない塩味のみでの提供。「鳥そのものの美味しさを味わうには、塩が一番です。これも先代の教えの1つ」と墓前さん。

新鮮な鶏肉をやまとにしかない方法で、じっくりと手間をかけて調理したお料理の数々。心していただきたいと思います。

ではまず初めにいただいたのは・・・
 


生皮揚げ(750円)

 
見るからにパリパリッと良い音たてそうなトリカワの揚げ物。ここへ来たらひとまずこちらと・・・
 


ビール(大びん・670円)で

 
いろいろ整えたいものです。生皮揚げは丁寧に脂をそぎ落とした鳥の首の皮を、たくさんの油でさっと挙げ、塩で味付けした何ともシンプルなメニュー。首の皮はこりこりとした食感で、焼くよりも揚げるのに適しているのだとか。
 


こちらが揚げる前の首の皮

 
薄いピンク色で素人の山崎にも分かるほど丁寧に下処理がされている。これは・・・
 


美味しいに決まってる

 
食感といい、素材を活かした塩加減といい、絶品。噛めば噛むほど鳥の旨味が感じられ、ただただ無言でぱりぱりぱりぱり。これは絶対山崎宅では作れないし、ほかのお店でもこんなにおいしい物はたべたことがない。

「ほかの店にあるようなものはだめ。ここにしかないものを作れ、と先代から言われています」。シンプルながら、ほかにはない、やまとならではの昔からの一品。これは必食です。

最初の一撃で大分唸らされた私たち。最後には腰が立たなくなっているのでは・・・と逆に不安になる。が、次のお料理は・・・
 


焼き鳥の数々
 

焼き場は多恵子さん担当

 
多恵子さんは私たちとお話しながらも、程よい焼き加減で串をひっくり返していく。その手さばきは的確で鮮やかだった。
 


まず背肝(せぎも・110円)から

 
背肝、って私初めてきいた。こちらは鳥を1羽丸ごと捌かないと取れない部位で、鳥の「腎臓」。一日4~5本ほどしか出せないレアな1串。

口に入れた瞬間、ほろりととろける。濃厚な肝の風味に我を忘れそうになるが、臭みがなく、食べやすい。え、これが110円て、良いんでしょうか。
 


こんにちは、白レバー(110円)です

 
カリっフワという絶妙な食感に焼き上げられている。香ばしくまろやかな味わいに加速する食欲。それから飲欲も。鮮度の良い鳥、というのが納得できるなあ。
 


で、こちらはせせり(80円)なんですが、

 
こんなに柔らかい物だったのねえ。せせりって割と淡白で硬めで筋張った部位だと思っていたけど、これは瑞々しくモチトロ。鳥の旨味がふわっと鼻に抜けていって、幸せな気分。
 


みんな大好きトリカワ(80円)

 
鳥皮串には首よりもやわらかな体の皮を、2時間ほど煮込んでから使用している。「皮は実は硬くて、煮込まないと串をさせないんだよ」とのこと。何気なく、たくさんいただいちゃう鳥皮串に、そんなに手がかけられているなんて・・・お味は噛めば噛むほど旨味がしみ出して、下手したら家に帰るまで噛んでいたくなってしまうほど美味。
 


透き通った味わいのハツ(110円)
 

やはりしっかりとおいしいハラミ(80円)

 
いただきながら、身近な人たちのことを思い出しちゃった。ちょっと恥ずかしいですが、おいしい物をいただくと、あのひとこれ食べたら喜ぶだろうなあ、とか考えるんだなあ。おいしい物の力は偉大だあ。

と、完膚なきまでに墓前さんの腕前にうっとりさせられたのだが、なんとこれからまだまだいろいろいただいた。しかも全部完食したという・・・
 


好きです、砂肝揚げ(700円)

 
サクサクでじゅん、となる砂肝揚げ。砂肝揚げって、油っぽくないのかしら、とおもったけどそんなことございません。意外とあっさり塩味で、鼻血が出るまで食べたくなる。
 


ちょっと休憩、皮ポン酢和え(550円)

 
もっちもちの鳥皮にネギとみょうがと大葉をたっぷりかけ、ポン酢でさっぱりといただける、箸休めにぴったりな一品。暑さにやられてバテバテたこの夏、これに出会ってたら毎日通ってたなあ。
 


やさしい味わいの団子揚げ(550円)


「うーんお腹いっぱい・・・」と言いながらしっかりと完食させていただいた。一見脂っこいかな、と心配だったが、ふわっふわで優しい。お母さんとか、お布団とか、そんな感じ。
 


お隣さんもおすすめのピリ辛ネギ和え(550円)
 

お隣の常連さんもおすすめ。やまと歴8年、豊さんとは同級生なんだそう

 
ビールによく合うピリ辛ネギ和え。ささみや皮がもりもり入っていて、食べ応えがある。もちろん、お酒が苦手な方もおいしくいただけるはず。

そして最後は同店の花形メニュー。
 


鳥を1羽まるっと揚げた
 

丸揚げ(3100円)

 
うっひょー、インパクトあっるー! 選りすぐりの鳥を丁寧に下処理して、長年の技術でこんがり上げた贅沢な一品。
 


上の写真は撮影用で、通常は4つに切り分け、出してくれる
 

 
すさまじい美味しさ。ちょこっと前歯でかじっただけでも、鳥の旨味がじゅわっと広がる。最後の最後でもう一度実感。鳥ってこんなにおいしかったんだ。こちらは「もも」と「体」の2つの部位に分けていただける。体の部分は油少なめでほくほく、ももは瑞々しく柔らかい。ほんとうに、本当においしい。
 


丸揚げを注文するとついてくる、カリカリ食感が楽しい胸骨揚げ
 

ふと気が付くと常連さんたちがカウンターを囲んでいる

 
皆さん、和気藹々と一杯やりながら談笑している。墓前さんご夫婦は一人ひとりに声をかけながらてきぱきと料理を作っていた。店内はとてもあたたかな良い雰囲気。

「うちにはたまに有名人の方もいらっしゃるんですが、僕たちは騒いだり、特別に何かしたりはしていません。たくさん飲んでいかれる方も、毎日一杯だけ呑んでいく方にも、みんな同じように接しています。お客さんはみんな大切なお客さんですから」と、墓前さんはおっしゃっていて、なるほど、だからこそこんなに和やかな時間を過ごせるんだなあ、と納得。

お料理もおいしいけど、雰囲気もおいしい鳥料理・焼き鳥「やまと」。これは大切な人をつれてこなければ。
 


10月~3月までは1日1組限定の鳥鍋コースもある(要予約)

 
大変勉強になる、良い時間をすごさせていただきました。墓前さんご夫婦、どうもありがとうございました。



取材を終えて



本当に良いお店だった。料理人さんて偉大だなあ、としみじみ思った。良いお店の良さをもっと伝えられるように、やはり勉強しなくては。

―終わり―
 

取材協力

やまと
住所/横浜市西区浜松町2-4
電話/045-231-4702
営業時間/17:00~23:00ごろ
定休日/不定休
 

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  • こういうノスタルジックな深みのある店を「時代遅れ」とレッテル貼り、女性受けするタワマンやAEONに姿を変える街、それが今の横浜。

  • わあ、やまとだ。でてほしくなかったなぁここは。実はクドーちゃんもここ好きらしいね。しびれるくらいおいしいお店ですよ。

  • 今度行って見よ

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