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エフヨコDJ光邦がタイムスリップ、江戸時代から150年、老舗料亭「田中家」を通して知る神奈川宿の歴史とは? 後編

ココがキニナル!

龍馬の妻おりょうさんが働いていた事で有名な老舗料亭「田中家」の歴史を通じて現在の神奈川周辺と「田中家」の店内の調査を(浜っ子さん、カレー南蛮さん、ポスポスさん、やじやじさん、ピラフランチさん)

はまれぽ調査結果!

明治・大正時代、宿場町の役目を終えた神奈川は横浜の奥座敷として花柳界を形成。戦後までその面影はあり、現在の田中家にも受け継がれている。

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ライター:ほしば あずみ

幻のオリンピックと田中家(つづき)
 


東京の舞踊「東(あずま)をどり」にならって「神奈川をどり」を企画

 
1953(昭和28)年に3代目当主富長の発案した「神奈川をどり」は、のちに「濱をどり」と改称された。神奈川だけでなく関内や日本橋(現在の吉野町)、磯子、掃部山、鶴見といった花柳界から芸妓を集め、1958(昭和33)年には「横浜開港百年記念みなと祭」で披露され横浜名物となった。
 


田中家は神奈川料亭組合をはじめ複数の業界団体の中心だった
 

1964(昭和39)年の田中家(赤部分)周辺

 
紫部分は地図上で確認できた料亭である。まだ戦前からの花柳界の風情が残っていた様子がうかがえる。

1946(昭和21)年生まれの5代目女将は、人力車で送迎される芸妓たちを目の当たりにして育った。

「高校生のころ(昭和40年代)だって、芸妓さんたちの三味線のお稽古の音がうるさくて勉強に集中できなかったのよ」と語る女将。
 


五十の手習いではじめた三味線で、今ではお客を出迎える

 
ただ、女将は料亭を継ぐつもりはまったくなかったという。結婚と同時に海外勤務の夫と共に日本を離れ、その後は長く海外暮らしを続けており、料亭経営にはまったく関わっていなかった。



料亭冬の時代と転機



高度経済成長が終わり、オイル・ショックやバブル崩壊など、昭和の終わりから平成に変わるころには料亭を切り盛りするには厳しい風が吹きはじめていた。経営難や相続税の支払いで田中家のまわりにあった料亭は次々にのれんを下ろし、跡地にはマンションが林立した。

1992(平成4)年に帰国し5代目として女将が田中家を継いだ時は、まさにそんな「料亭冬の時代」だった。
 


女将が後を継いだころの田中家平面図

 
渡り廊下でつながる平面図の左半分の建物は、赤字解消のために取り壊され、マンションへ変わった。現在の田中家は全盛期の半分にも満たない規模に縮小されている。女将は言う。

「取り壊した新館にも震災や戦災で残った歴史的にも貴重な建具がいっぱいあったし、思い出もたくさんあった。どうにか、一部でも移築、保存できないか横浜市にも掛け合ったけど、どうすることもできなくて、歴史はトラック8台分のごみになりました。悔しいし悲しかったけど、それに執着はしません。怒ると嫌な顔になるから。田中家を守るのは行政ではない、私しかいないんです」
 


「高級そうで入りづらい」という料亭のイメージを変え、改革を断行した女将

 
「女将なんて向いてないとずっと思っていました。でも、私はここで生まれ育ったんです。ご先祖が守ってきたものをここで途絶えさせてしまってはいけない、ここには先祖やお客、従業員がもたらしてくれた運気のようなものがあると信じて、その運気を引き寄せて、まずはやってみようと決意しました」と語る女将。

結婚してから25年専業主婦だった女将は、料亭の経営は分からない、着物も自分では着られない素人だったという。利用客が激減してお化け屋敷のようになっていた田中家で下足番からこなし、経営を立て直した。
 


蔵から出した資料で歴史を語るのも女将ならではのサービス
 

もちろん料亭の基本は料理。こちらは9月の会席の一例(1万5000円)
 

参考:前編で登場した、明治時代の献立を再現したメニュー(5500円)

 
創業以来の「和洋料理」の精神は現在の献立にも受け継がれており、たとえば葉山牛が素材の持ち味を生かした日本料理ならではの繊細さで味わえる。
 


「これで一人分? おなか一杯で食べきれないんじゃ・・・」と光邦さん

 
女将によると「一度に全部並ぶわけではなく、様子をみながらお出しするので、意外とみなさん召し上がりますよ。お酒と一緒に少しずつごゆっくりお楽しみください」とのこと。
 


器を愛で、季節を味わって過ごす料亭の時間
 

日常を離れ、江戸からの歴史に思いを馳せながら・・・
 

でも光邦さん、そろそろスタジオ入りのお時間です

 


取材を終えて



今回の締めくくりは、キニナルハンターとして我々をナビゲートしてくれた光邦さんの言葉をご紹介します。

創業152年。開港からの発展、戦後の復興のもと、暮らしが豊かになるにつれ真に大切なことに背を向けていた時流の中。

「良いものは良い!」と、女将さんのその小さな双肩には先代のこだわりと、田中家を訪れた日本のために奔走した偉人たちの知恵や誇りを護る覚悟を感じました。

それはまさに「使命」。

きっと人それぞれに異なる“命の使い方”があるんだな。
と思った次第です。

さて、自分の使命は・・・。モヤッとしながらも何かが視える様でしたよ。

「人は人に助けられる」
「運はつかみとるものだ」

女将さんの言霊が響きます。

僕にとって料亭デビューとなった田中家さん。お料理も、佇まいも、おもてなしも何から何まで心配りの行き届いた文字通りこれぞ老舗。

皆でまもるべき日本の文化遺産でした。

分不相応とかしこまらず、まずは気軽に訪れてみてください。

きっとあなたも田中家で何かをつかむでしょう。
 


それではまたお会いしましょう
 

光邦さん、ありがとうございました!
 

バッコーン!

 

―終わり―
 

参考文献
『浮世道中膝栗毛1』/十返舎一九 著/諧文堂/1882(明治15)
『横浜姓名録』/加藤大三郎 編/横浜姓名録発行所/1898(明治31)
『江戸名所図会1』/斎藤幸雄 編/有朋堂書店/1922(大正11)
『金川砂子』/煙管亭喜荘 著/武相考古会/1930(昭和5)
『東海道分間絵図』/遠近道印 [著] 菱川師宣 [画] 正宗敦夫 編・校/日本古典全集刊行会/1934(昭和9)
『神奈川区誌』横浜市神奈川区役所 編/横浜市神奈川区役所/1937(昭和12)
『三代目晝間富長の回想録』/晝間富長 著/1959(昭和34)
『神奈川宿のABC 神奈川区歴史散歩シリーズ』/神奈川区役所 編/横浜市神奈川区役所/1985(昭和59)
『神奈川宿歴史の道』[改訂]/神奈川区役所 企画/神奈川区役所/1990(平成2)
『東海道と神奈川宿』/横浜市歴史博物館 編/横浜市ふるさと歴史財団/1996(平成8)
『横浜繁昌記 復刻版』/横浜新報社著作部 著、横浜郷土研究会 編/横浜郷土研究会/1997(平成9)
『ハマの「田中家」奮戦記 よみがえった老舗料亭』/神奈川新聞社出版部 編/神奈川新聞社発行/2006(平成18)
『史料が語る坂本龍馬の妻お龍』/鈴木かほる 著/新人物往来社/2007(平成19)
『神奈川の近代~宿から町、そして区へ~』/神奈川宿遊学セミナー、横浜開港資料館 編/神奈川宿遊学セミナー/2008(平成20)
『わが夫 坂本龍馬 おりょう聞書き』/一坂太郎 著/朝日新聞出版/2009(平成21)
 

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  • ちょっと前に石塚さんと振分親方が出演していた番組でもチョコットだけ、勝俣と三人でおとずれていたのだが、番組の趣旨の影響で料理をじっくり見せてくれなかったので、今回は美味しそうな品々がじっくり見れて嬉しいです。

  • 「人は人に助けられる」「運はつかみとるものだ」田中家の女将の言霊(ことだま)がココロに響きました。女将さん!頑張ってください。光邦さんの「人それぞれに異なる命の使い方がある。」これを使命…。光邦さん、心憎い! バッコーン!

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