みなとみらいのごみは地下システムで一気に収集されるって本当?
ココがキニナル!
みなとみらい地区では、各施設から出たゴミを地下の管路(共同溝)を通して一箇所に集めているようです。どういう仕組みなのか気になる!また数年内に廃止するという話も・・・調査お願いします。(幸人さん)
はまれぽ調査結果!
ごみ収集システム「みなとみらい21管路収集システム」は、リサイクル法施行後、ごみ回収量が減少し老朽化もあるため2017年度末で運用終了
ライター:すがた もえ子
リサイクル法施行により状況が一変
しかし、2000(平成12)年4月から各種リサイクル法が施行され、ごみの資源化が進められ、段階的にごみの量が減った。そのため、この事業の収入も減少。きめ細かな分別ができない管路収集システムは現代のごみ事情にはなじまず、システムの老朽化などの理由とともに廃止の方向となっていく。
ごみの分別の細分化
リサイクル法が施行されるまでは、家庭から出るごみの容積比6割がペットボトルやプラスチック製などの「容器包装廃棄物」だった。これらを資源として回収・有効利用することでごみの減量化を図る各種リサイクル法が施行された。以降、分別が進み、管路収集システムでまとめて収集を行うことができなくなり、収集できるごみの種類が限られるようになった。
リサイクル法施行後はごみの量は減少
リサイクル法の施行はごみ収集の周辺事情を大きく変化させた。1997(平成9)年の年間約4500トンの収集量をピークに、現在では約800トンまで減少。
また、1991(平成3)年当時、みなとみらい21地区の施設は「管路収集システムの利用」を条件として建てられたが、2006(平成18)年以降、新たに建設される施設はごみの収集方法をシステムを利用するか、ごみ収集車で収集を行うか選択できるようなった。
クリーンセンターは年金の積み立て金の還元融資を受けて完成
管路収集システムの耐用年数は25~30年と考えられており、運用開始から25年が経った今、設備もだいぶ老朽化が進んだ。改修には莫大な費用が必要になるという。ごみ収集にかかる手数料で設備を更新できると考えられていたが、リサイクル法施行後の影響もあり、これらの状況を見極めて、管路収集システムは2017年度末で廃止することとなった。
「廃止はすでに決定しています」と月本施設係長は話される。
管路収集システムの廃止が決まったみなとみらい地区
現在、管路収集システムを利用している施設のごみ回収方法は、今後通常のごみ収集車へと変わっていくとのこと。それでは景観が損なわれるのではと心配したが、施設ごとにごみの収集場所を室内に設ける形で管理されているようだ。
では、実際に使われている施設を見せていただくことにした。
現役の「管路収集システム」の見学
まずは中央監視室から
ここは「管路収集システム」すべてを監視している場所で、常に3人の係員が常駐している。
「ごみの収集からコンテナの移動指示まで全部ここで行います」と金沢施設係長。
監視室からコンテナを監視している
「コンテナ車にコンテナを乗せるのは、運転手さんが自らリモコンで操作します」という。
それ以外は中央監視室からの指令ですべて運行されている。
まずは送風機を見学
収集時間に施設側の吸気口が開かれ、この送風機により輸送管内に空気の流れが作り出される。ごみは輸送管内を毎秒20~30メートルの速さの空気に流されクリーンセンターへ運ばれてくる。
分離機でごみと分けられた空気は除じん機へ移動
ごみと分離された空気は、除じん機、脱臭装置を通り、大気中へと放出される。
ごみ圧縮機で圧縮したごみはコンテナに詰め込まれる
ごみが詰め込まれたコンテナ
現在は8台のコンテナが保管されている。
廃止後は、管路収集システムやクリーンセンターはどうなるのかを伺ってみた。すると、クリーンセンターのビル自体は、一部横浜市市民局などが使用しているため、引き続き別用途で使用されるだろうという。輸送管を含む管路システムはしばらくの間は共同溝の中に残っているであろうが、詳しいことはまだ未定とのことだった。
取材を終えて
直径50cmほどでの輸送管を輪切りしたものがあった
近未来のシステムに思えた「管路収集システム」が、ごみを取り巻く環境の変化や老朽化によって姿を消していってしまうのはなんだか残念だ。
施設の一般見学の申し込みも受け付けているので、興味がある方は、2017年度末の廃止前にぜひ見学に行ってもらいたい。
―終わり―
取材協力
みなとみらい21・クリーンセンター
住所/横浜市中区桜木町1-1-56
電話/045-223-2010(※施設見学の申し込みもこちら)
幸人さん
2016年08月15日 01時28分
みなとみらい地区を含めてこのようなシステムが導入されている新しい街の開発は、日本の景気がよかった頃に行われたものですが、その後の環境問題を含めた社会の意識の変化がかつての先進的なシステムを時代に合わない無用の長物してしまったのでしょうね。もったいないことですが、当時はこのような社会の変化を予測することはできなかったのでしょうし、現在ではシステムを更新するにしてもコスト的にも全く見合わないのでしょう。取り壊すよりも何らかの形で残して、うまく活用(転用)してもらいたいと思います。
Nicksさん
2016年05月07日 04時11分
みなとみらい着工時の1980年代から近未来の最先端システムとして世界的に注目されてきたシステムだったし、将来的に今の下水処理インフラのように海外に提供できる日本の技術として育成するものと思っていました。今回の廃止は法制度が変更なったこともありますが残念です。何らかの形で次世代に引き継げる技術やインフラとして設備は温存してほしいと思います。
NKD45さん
2016年04月30日 23時55分
実家がみなとみらいのタワーマンションですがゴミを各フロアの収集室に出すだけで済むので便利です。廃止になるとは知りませんでした。高齢の両親が15階から1階までゴミを捨てに行かねばならなくなるのが不憫ですし、みなとみらいの近未来都市的なシステムが失われてしまうのが残念です。