横浜「1000ぶら」商店街探訪vol.52 歴史ある街道「横浜道」の平沼商店街で「よこはまみち」を購入?
ココがキニナル!
横浜「1000ぶら」商店街探訪vol.52 歴史ある街道「横浜道」の平沼商店街で「よこはまみち」を購入?
はまれぽ調査結果!
すぐ近くでボルダリングもできる平沼商店街は関内と東海道をつなぐ横浜道なので「よこはまみち」の頭文字で始まるものを買って往時に思いを馳せた
ライター:永田 ミナミ
1000ぶら開始
などと言ってたらついに雨が止んできたので1000ぶら開始
1000ぶらは何かテーマを決めて歩かなければならないので
横浜道という歴史的商店街へのリスペクトを込めて「よこはまみち」のそれぞれの頭文字で始まるものを買うことに。と言っても予算は1000円。ちょっとしたランチでも楽しもうものならそれでゲームオーバーである。
それを考えてさっき雨の中歩いたときに見当はつけておいたのだった
1900(明治33)年創業の「菓子匠 寿々喜家」である。116年の歴史の重みと深み
特製の横浜銘菓「平沼そだち」といきたいところだが自縄自縛で買えない
羊かんも1本580円と1000ぶら貨幣価値においては高級品。ここは季節菓子の「水無月(140円)」と「マーブルケーキ(110円)」を購入することに。
鈴木さんに「このお店から見た通りの向こうは海だったんですよね」と聞いてみた
すると「そうだったみたいです。おじいさんのころは海だったと聞きましたよ。昔はお店もたくさんありました」と教えてくださった。
昔は店から海を眺めることができたんだな、と想像を膨らませながら鈴木さんにお礼を言い、店を出た。
次はここ。やきとり材料専門店「仁尾商事(におしょうじ)」である
卸売店だが、1本100円のやきとりコーナーもあるので、ハツを注文
こちらもここに店を構えてまもなく58年という、国産の鶏肉のみを扱う老舗である。やきとりコーナーは焼き置きをはせず、すべて注文が入ってから焼くのでいつでも焼きたてが味わえるのだ。
と言っているうちに焼きあがったハツ(塩)。この大きさで100円とは
おおお、この弾力。ジューシーで香ばしくてもう最高
今日は雨だがふだんは夕方になると行列ができるので注文票を用意しているとのこと
思わず「ビール飲みたいな」とつぶやくと、実際ビール片手に並んでいる人もいると聞き納得。べき論でいえば完全にそうすべきである。それにしても何とかしてもう1本食べたい。下見の段階で「よ」は羊羹という高級品しか見つかっていない。よし、こうなったら。
「あの、よく焼くと美味しいのって、どれかありますか?」「そうだねえ、つくねだと焦げちゃうし。このハツナンコツかな。ナンコツがカリッとして美味しくなるからよく焼くわね」とのこと。
しかもハツのまわりについたナンコツごと提供している店はめったにないという。そんな希少部位なのにこれも100円。
「ぜひそれお願いします」と「よく焼いたハツナンコツ」で「よ」をクリア
串で肉を突いてよく火が通るようにしながら焼くというハツナンコツ
「よく焼いた」はあながち強引なとんち頓智でもないのだった。
そして焼きたてをパクリ。おお、ハツの弾力にナンコツの食感のアクセント
ゆっくり座って食べていくといいよ、と言われて味わう雨上がりの午後
ごちそうさまでした。とても美味しかったです
ちょくちょく通るので絶対また来ます、と200円を支払い残金550円
さて残るは「こ」と「ち」である。やきとりの美味しさに味を占めたので、筋肉疲労にはタンパク質だなとさっき見かけた美味しいそうな「チャーシュー」に狙いを定めた。ところが訪ねてみると基本的に取材は受けない店であった。一応店主に確認してくださるということなのでしばし待つことに。
そして商店街を何往復かしているうちに思いついた。ちょっと髪切ってきます
ぼさぼさで嫌だなと2週間くらい思っていたのだった。というわけで1000ぶらを抜け出して髪を切る、ヘアカット1000で時間を有効活用することにした。
1000ぶら再開
当日突然訪れてしまったということもあり、やはり取材は無理だった。そもそも本来の商品名が「やきぶた」であったのを、美味しそうな肉食べたさにチャーシューに引き寄せようとした罰が当たったのかもしれない。反省し、改めて「こ」と「ち」を探しに。
するとある店の前で目を引くものを発見
「梅こんぶ茶」330円。隣にはノーマル「こんぶ茶」もある
500円のほうは手が届かないが、330円なら何とかなりそうな範囲である。
お店の方が出てきてくれたので、取材内容と懐事情を話すと
「あ、これですね。はい、いいですよ」と言ってくださった
購入後「ここでお店をやられてもう長いんですか」と聞いてみた
この「茶問屋 平沼園」は、戦後間もない1947(昭和22)年に本牧からここ平沼に移ってきたという。以来、平沼の地で70年、本牧でも30年ほど店を営んでいたので約100年の歴史を持つ老舗である。
「諸官庁御用達商」の木札にもその歴史が現れている
平沼商店街は、かつては毎月3と7がつく日には縁日が出るほどの賑にぎわいだったという。上田さんが幼少期を過ごした昭和30年代には劇場もあり、午前7時から7時30分と午後4時から~6時に、三菱ドックで働く人たちで通りは埋め尽くされた。
京急の平沼駅が戦中まであり、相鉄線の平沼橋駅は現在よりも50メートルほど商店街寄りでにあり、さらに国道1号線には市電の5系統も走っていた。そうした駅を利用する人にとって、ここは船渠(せんきょ)への近道だったのである。
その後、1983(昭和58)年に三菱ドックが本牧に移転したため人通りが少なくなり、次第に店も減っていった。跡地にはマンションが多く建ったが、ただそれによって最近若い人が増えたので、少し活気が戻って嬉しいとのこと。
ここもまた時代の変化を見てきた店であった。素敵なお話をありがとうございました
さて、こんぶ茶(税込356円)を買って残金は194円
そうなると頼れる店はあそこしかない
寿々喜家さんには「チョコココナッツ(130円)」があるのだ
たびたびすみません、と店内に入りチョコココナッツをお願いすると「いえいえ、ありがとうございます。ご苦労様」と言ってくださり、心温まる。
そして最後の「ち」を手に入れることができた
残金は64円。この金額で買えるものはもうない
というわけで、募金してきました。終了です
買ったものはこんな感じです。
「よ」く焼いたハツナンコツ
「こ」んぶ茶
「は」ツ
「ま」―ブル
「み」なづき
「ち」ョコココナッツ
散歩を終えて
人間が生活した時間は、その場所に堆積するのではないかと前から思っていた。平沼橋商店街は今は静かだが、歩くたびにそうした生活の堆積が感じられる場所のひとつだった。今回、かつてのにぎわいを知ることができ、感慨深かった。
そして、平沼園で聞いた平沼橋駅の移動の話と、元平沼橋完成予想図にあった幻の踏切は、ひょっとしたら関連性があるのかな、と思いながら平沼商店街をあとにした。
全部美味しくいただきました。水無月、大好きです
こんぶ茶は現在、自宅のキッチンで隠し味として力を発揮してくれている。
―終わり―
店舗情報
B-PUMP2 YOKOHAMA 横浜店
住所/横浜市西区平沼1-8-1
電話/045-313-3672
営業時間/11:00~23:00(平日)、11:00~22:00(土曜・祝祭日)、10:00~21:00(日曜)
※年末年始のみ休業、それ以外は無休
あぷりこっと‗CX630さん
2016年07月09日 07時19分
平沼商店街というと揚八のから揚げもオリジナリティがあっておススメですが、今は単品での販売はしてないんですよね(弁当のみ)。現在41歳の私が平小に通っていた当時からお世辞にも賑やかとはいえない商店街でしたが、少数精鋭ということで、贔屓にしている店舗もあります。今後も末永く頑張って欲しいです。
yoshi05YBさん
2016年07月02日 01時50分
平沼橋周辺のマンションに住んでたんですけど10年以上前は踏切でしたよ。案の定、開かずの踏切で電車が来ないタイミングで遮断機が下りてるのに渡る人が多すぎたから撤去されたとか
リョー☆サンさん
2016年07月01日 12時36分
あそこは過去踏切じゃなかったけ?