綱島街道、雑草だらけで巨大パイプのある謎の三角スペースの正体は?
ココがキニナル!
綱島街道の菖蒲園前交差点の北東角の歩道に謎の三角地があります。 雑草伸び放題のうえに巨大な銀色のパイプが逆U字に生えています。歩道では無く車道扱いの模様。 一体何のための場所なのか(シャム猫さん)
はまれぽ調査結果!
菖蒲園前交差点にある三角地帯は、諸説あるが道路拡張の計画が変更になり、交差点の形が変わったことで出来た三角スペースの可能性が有力。
ライター:小方 サダオ
港北土木事務所を訪れる
続いて前回の「綱島街道の歩道上にある三角スペース」の際も協力をしてくれた、港北土木事務所を訪れた。
港北土木事務所
話を聞いたのは、港北土木事務所の桑山孝仁(くわやま・たかひと)さん。まずはパイプに関して伺うと「三角地帯の地下には大きな雨水管が通っています。大量の雨水が流れた際、空気の圧力でマンホールや下水管が破損しないように、空気を抜くためのパイプです。2006(平成18)年度に、港北土木事務所が設置しました」とのこと。
雨水管内の空気を抜くためのパイプだった
同区内にある大曽根公園
大曽根公園内にもエア抜きのパイプがあった
「菖蒲園前交差点のあたりは下水管が合流する地点になり、三角地帯のスペースが空いていたため、あの場所にパイプを作ったのかもしれません」
地下で下水管が合流する。投稿の場所(青矢印)
地下の下水管は樽町ポンプ場とつながっている
三角地帯に関して伺うと「エア抜きのパイプを設置する以前から三角地はあったようですが、三角地が出来た時期は不明です」という。
また道路拡張時の用地となる可能性に関して伺うと「行政地図情報によると、その三角地は都市計画道路と関係していないようです」とのこと。
投稿の場所(青矢印)は都市計画道路にはかかっていない
最後にキニナッた「樽町交差点の丸みある交差点」に関して伺うと「交通量が多い道路であるため、曲がりやすくするために交差点が丸くなっています。ちなみに、交通量の少ない道路は曲線の角が急になります」と答えてくれた。
パイプに関しては分かったが、三角地帯に関しては正体は不明だった。しかし川崎駅や鶴見駅方面とつながる樽町交差点のような大きな道路は、交差点の角を丸くする決まりがあることが分かった。
道路の変化を古地図から調べる
投稿では「グーグルMAPで見ると歩道では無く車道扱い」とあったので確かめると、この三角地帯は車道になっていた。
投稿の場所(青矢印)(Googlemapより)
航空写真でみた投稿の三角形のスペース(青矢印)(Googlemapより)
重ねると三角形のスペースは車道として表示されている(Googlemapより)
また1964(昭和39)年の地図上では投稿のスペースの場所には、バス停があったようだ。
東急市営菖蒲園バス停(『中区明細地図 昭和39年版』)
続いて古地図を調べていると、菖蒲園前交差点の道路とその北側にある樽町交差点に繋がる県道140号線を比較すると興味深いことが分かった。
まず1940(昭和15)年の地図では、県道140号線になる前の道は曲がりくねった細い道路で、菖蒲園前交差点の道路と比較すると狭かった。
1940(昭和15)年の地図。県道140号線となる前の道(赤矢印)と投稿の場所の道路(青枠)(『横浜市三千分一地形図』)
次に1959(昭和34)年の地図を見ると、県道140号線の道路は出来ていて角が角ばっている。対して、菖蒲園前交差点の道路は角が丸まっている。
投稿の場所の道路の角(青矢印)が、樽町交差点(赤矢印)より丸くなっている(『中区明細地図 昭和34年版』)
つまり、港北土木事務所の方のコメントから考察すると、交通量が多くなったなどの理由で、菖蒲園前交差点の道路を拡張しようとしたのではないだろうか。昔からある比較的大きな道路を拡張する計画だったのかもしれない。
しかし1964(昭和39)年の地図では、県道140号線も一緒に大きくしようとしたのか、角が丸みを持っている。
県道140号線(赤枠)の道路の交差点が丸みを持っている(『中区明細地図 昭和39年版』)
そして現在は県道140号線のほうが交通量の多い道路になり、菖蒲園前交差点の道路のほうが狭くなった
三角地帯は、一度は菖蒲園前交差点の道路を拡張しようとしたため角を丸めたが、県道140号線のほうを大きくする変更を行い、菖蒲園前交差点の道路を大きくする必要がなくなった。そのため交差点の角を戻し、その余ったスペースが三角地帯となったのではないだろうか。
拡張予定の計画が中止になったために生まれたのが三角形のスペースなのかもしれない(Googlemapより)