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【横浜の名建築】三溪園 旧東慶寺仏殿と横笛庵

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第16回は三溪園にある『旧東慶寺仏殿』と『横笛庵』。女性を救い、縁結びのご利益があるとされた建物はどちらも繊細で女性らしい風情を感じさせる。

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ライター:吉澤 由美子

縁切寺だった東慶寺の仏殿 (続き)
 


仏殿の中はかなり暗いので、目がなれるまで少し待たないと細部がわからない

 

 

扉上部の欄間のまっすぐな格子


法輪の意匠がついている須弥壇(しゅみだん)はあとから原三溪が手に入れたもの。原三溪は内部に、定朝作の薬師坐像を、その左右に長安伝来の宝慶寺石仏を安置していたと伝えられている。
 


真ん中に3つの法輪がある。船の舵に似ている
 

塗りが落ちてしまっているが、残された色使いは女性的


縁切寺として数多くの女性を救ってきた東慶寺の仏殿。
今でも悪縁を遠ざけてくれるような、静謐で力強く、どこか優しい風情を持つ建物だ。
 


堂の中に入ると、時間がゆっくり過ぎていくような気持ちになる




悲恋の伝説をまとう横笛庵

晩秋には紅葉に囲まれ華やかな顔を見せる横笛庵。
田舎風にしつらえられた茶亭は、中に横笛の像を安置していたことからその名前がついた。
 


木々の中に埋もれているような、ひっそりした横笛庵


横笛とは平重盛の従者・斉藤時頼(滝口入道)との悲恋で知られた女性。
平家物語にその悲しい恋の顛末がうたわれている。

平家全盛の時代、最高権力者であった平清盛は、西八条殿で花見の宴を開催する。高倉天皇の中宮・建礼門院に仕えていた横笛がその宴で舞を披露し、その美しさに斉藤時頼がひとめぼれしてしまう。

幾多の男性から求婚されていた横笛は、斉藤時頼から来る文にあふれる愛情に心打たれ、ふたりは相思相愛に。ところが、時頼の父は身分違いのこの恋を許さず、時頼は傷心のあまり出家し、姿を隠してしまう。

会いたい一心で時頼を探し歩き、やっと訪ねあてた先で修行の妨げになるから会えないと追い返され、横笛は悲しみのあまり入水したとも、落飾して出家したとも伝わっている。

横笛の像は、時頼からきた千もの恋文で作ったとされる紙子像で、他の女性が自分のような悲恋を味わうことがないようにという願いを込めて横笛が自ら作ったものとされている。

しかし残念ながら、横笛の像は第二次大戦中に被害を受け失われてしまった。
 


横笛庵前にある「三溪園昔むかし」という説明プレートに、横笛の像の写真がある


細長い手指まで繊細に作られ、うつむいた横笛の像は、いとしい相手からの文を幾度も読み返しているよう。

この横笛の像は、縁結びにご利益があると信じられ、戦前は横笛庵を詣でる女性が多かった。