借りにくくなる? 横浜市立図書館が結んだ相互利用協定は市民にとって得?
ココがキニナル!
2017年3月から横浜市民でも川崎・鎌倉・藤沢・大和の各市の図書館での本の貸出が可能になりました。この結果、人気本の貸し出し状況がどのように変化するのか気になります。(boyoさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市民の読書環境の利便性向上を目的に導入。他市市民はリクエストや取り寄せができず人気本の貸出に影響はない上、他市にも魅力的な図書館多数
ライター:松崎 辰彦
古都鎌倉市に集まる個性派図書館
鎌倉市:玉縄図書館
かつて玉縄城が存在し、北条一族の活動の舞台となった玉縄に図書館を構えているのが玉縄図書館。
玉縄図書館がある玉縄行政センター
建設地や館名の通りその歴史を記録した研究書が多く所蔵されているのが特徴である。また、フラワーセンターも近くにあり、大船観音寺など、最寄駅である大船駅からの道中で鎌倉ならではの風光を楽しむこともできる。
近くには大船観音や県立フラワーセンター(現在はリニューアルのため休館)
鎌倉市:中央図書館
続いて、2年前の2015(平成27)年、SNS上で話題になった鎌倉市図書館。
中央図書館
鎌倉市図書館のTwitter
このように鎌倉市図書館が行う日々のツイートは、“今日は何の日?”というテーマで読書への関心を拡げる情報の発信や鎌倉のイベント紹介など多彩である。
鎌倉駅から歩いて数分、街の喧騒から離れ落ち着いた場所にある同館は古い資料も充実しており、さすが古都鎌倉の図書館といったところ。
利便性抜群! 駅直結型と神奈川県内一の最新図書館
川崎市:中原図書館
前述の「中原図書館」は、JR線・東横線武蔵小杉駅に直結の複合型ビル内にありアクセス抜群の図書館だ。
はまれぽの過去記事でも紹介している。機能的にも国内有数の図書館
“国内最高レベルの図書館”ともいわれる同館は、蔵書の貸し出し機能が職員の手を通さず、ユーザーのみで完結するシステムになっている。そのほか、スタイリッシュな明るい館内は何時間でも滞在したいと思わせるほど居心地がよい。
さらに、ショッピングセンター「武蔵小杉東急スクエア」の5~6階に位置しているため、図書館の利用だけでなく買い物や食事などのついでに立ち寄れ、平日は午後9時まで開館している。
大和市文化創造拠点シリウス内大和市立図書館
シリウス概観(提供:株式会社エスエス 加藤俊彦)
大和駅近く、ひときわ大きくそびえるガラス張りの建造物は人々の目を引きつける
昨年2016(平成28)年11月、大和市に誕生した「大和市文化創造拠点シリウス」は図書館、芸術文化ホール、生涯学習センター、屋内こども広場といった子どもから大人まで多くの人が集える複合型施設となっている。
左から1階メインホール、3階屋内こども広場、6階市民交流スペース
(提供:株式会社エスエス 加藤俊彦)
蔵書数38万5000冊(2017〈平成29〉年3月31日現在)と数多くの書籍がそろっており、特に注目したいのは6階建ての施設内であればどこでも本の閲覧が可能になっている点(図書館のメイン機能は3、4、5階)。
4階健康コーナー健康テラス(左)。右写真は図書の閲覧席
(提供:株式会社エスエス 加藤俊彦)
開放的な館内には多くの読書スペースが完備されている。
2階には有料のラウンジ(2時間100円)があり、落ち着いた空間で学習ができるスペースもある。また、施設内1階にはスターバックスコーヒー、3階には楽器の練習ができるスタジオ、そのほか6階には会議室や講習室、調理室などもあり、さまざまな用途での利用が可能。オープンから1年で来館者数が300万人を超えたとのこと。
横浜市外での本の借り方は?
それでは横浜市民として隣接市の図書館で本を借りてみよう。
川崎市中原図書館にて、横浜在住の編集部・広瀬にお願いした。
横浜市民が他4市図書館で本を借りる場合、各図書館に赴いてカードを作る必要がある。必要なものは住所を確認できる公的書類。免許証や保険証、パスポートが有効である。書類記入をすればその場でカードが発行され、図書を借りることができる。
備えつけのパソコンに必要事項を入力して窓口に持っていけばOKである。
パソコンに自分の情報を入力する
カードが出てくる
出てきたカードと保険証を窓口に持参すると・・・
図書カードが発行された
そして広瀬が借りたのは『おいしい川崎』(タウンニュース社)
「必要書類を持参すればすぐに借りることができます」と広瀬。
今回は川崎市であったが、他図書館でも同様に、自分のカードを作ることで横浜市民も借りることができるようになる。詳細は各ホームページなどを参照のこと。
取材を終えて
今回の措置は横浜市立図書館の所蔵する膨大な蔵書が、多くの内外市民に開放されるということで大きな意味を持つと思われる。
横浜市民にとっては、たとえば中央図書館でしか借りないという人には、読みたい本が借りにくくなる事態も当然あり得るわけで、メリットは感じないだろう。しかし市境に居住し、隣の市の図書館の本を借りたいという人には、朗報である。
それでは早速、藤沢市在住の記者も横浜市立図書館のカードを作り、書籍を借りるとしよう。
保険証を出して氏名などを書類に記入。職員の方がその場で発行してくれる。
保険証があれば作成できる
発行されたばかりの広域用の図書館カード
左が横浜市在住・在勤者用カード。デザインが同じで色が違う
記念すべき最初の図書はどれがよいか。
横浜の図書館で借りるのがふさわしい書籍。横浜ならではの内容、テーマを盛り込んだもの。横浜の出版社がいい。迷ったすえに、一冊を選んだ。
『空が落ちてくる 横浜大空襲』上坂高生・作(有隣堂発行)
今後、このカードを使い続けることになるだろう。
─終わり─
取材協力
横浜市立図書館
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/
川崎市立図書館
https://www.library.city.kawasaki.jp/riyou_libmap/libinfo_06.html
鎌倉市立図書館
https://lib.city.kamakura.kanagawa.jp/
大和市文化創造拠点シリウス(HP)
http://yamato-bunka.jp/
参考
川崎市立図書館及び横浜市立図書館の相互利用に関する協定(PDF)
https://www.library.city.kawasaki.jp/pdf/regulations/yokohama.pdf
横浜市と図書館相互利用に関する協定を締結 - 大和市
http://www.city.yamato.lg.jp/web/kouhou/n20170221.html
よこよこちゃんさん
2018年04月22日 02時50分
港北区なんて人口すごく多いのに菊名(港北区の南東の方)にしかないのが不便。東横線沿線の人は川崎市さんにお世話になったほうが便利なのではというレベルである。川崎市民の方に少し申し訳ないが、ありがたく活用させて頂きます。そして武蔵小杉で買い物して帰ってきます。横浜市は相乗効果とか考えていないんだろう。だから菊名なんだろう。本当にわかっていないと思う。
tenruさん
2018年01月12日 18時33分
横浜市の図書事情はひどかったな…。とにかく人が多すぎで本が少なすぎ。何の仕事をしてるのかわからないような人でいっぱいだし。
烏龍茶さん
2017年11月24日 11時15分
横浜市民にもメリットがあるのだから、他市民にメリットがあるのは当然のこと。そして横浜市民が借りてない本を他市民が借りるのなら、他市民のメリットであってあっても横浜市民のデメリットではない。人気本が競合になるのは仕方のないことだし、そこはひたすら予約の順番がまわってくるのを待つしかない。私は歓迎する。