不良はゴールがないと突っ走れないんで解散に悔いはなかった

−−TAKUさんは、嵐さんとの出会いでついていこうという決め手はなんだったんですか？

（T）最初に出会ったときは、高校を卒業するくらいのころだったんですよ。学校の友達は本気でプロになる気がないんで、気が合わなかったんですね。それで『Player』って音楽雑誌でメンバーを募集したんです。当時はネットもない時代なんで、本気でプロを目指す人たちはよく音楽雑誌のメンバー募集欄にハガキを出していたんですよ。
それである日、嵐さんが本屋でたまたま『Player』を立ち読みして、僕の募集記事を見つけて電話をくれたんです。

　

嵐さんとのドラマティックな出会い
　

僕は当時、永ちゃんの『成りあがり』を赤線を引きながら読んでいたほど、彼が好きだったんですね。そのとき僕はビル清掃のバイトをしていて、もう家を出ないと行けないタイミングで電話がかかってきたんですね。そしたら今から会おうと言われて、「今から！？」とびっくりしたんですけど、JR大森駅で待ち合わせすることにして。
そのときは横浜で噂のすげぇ人に会うってことで、永ちゃんも横浜から出て来てバンドメンバー探して成り上がったんで、もう俺の永ちゃんから電話がかかってきたような気持ちだったんですよ（笑）

　

「俺の永ちゃん」
　

それで大森駅に着いて周りを探しても、俺の永ちゃんがいないんですよ（笑）そのときに、「おうっ」て声をかけられたんで振り向いたら、嵐さんが立ってて。この風貌なんで、自分の中のギャップにたじろきながら話してたら、すごい勢いで「お前を男にしてやるよ」って言われてついていくことに決めて、その日からかれこれ40年ですよ。

−−嵐さんは、そのサングラスと帽子はいつからトレードマークなんですか？

（R）もともとアポロキャップが好きで、アマチュア時代から時々被っていて。初期のアーティスト写真は、みんなと同じリーゼントにサングラスでしたね。それでデビューしてすぐに、キングレコードが宣伝用に作ってくれたんですよ。バンド名が入ってるから、被っているだけで宣伝になるしね。それからずっとですね。で、今回用に「40th」って入れてもらったんですよ（笑）

　

現在の帽子には「40th」のロゴが
　

−−デビューするときにもう期限付きって決めていたんですよね。成功してから、もっとやろうとか話しはなかったんですか？

（S）デビュー前にキングレコードと話しをしたときに、2年間で完全燃焼してシングル1位、アルバム1位、日本武道館満タンを果たして解散するって決めてたんですよ。結果的に1年3ヶ月延長して全部果たして解散しました。不良ってゴールがないと突っ走れないんで、悔いはないですね。俺はそもそもデビューできなかったら料理人を目指していたし。

　

突っ走って悔いのない3年3ヶ月
　

銀蝿ファミリーとは今でも連絡を取っていますよ

−−解散後も氣志團（きしだん）はじめ、なめ猫や『男の勲章』のリバイバル、『ROOKIES（ルーキーズ）』『今日から俺は！！』などのツッパリドラマのブームと、その度に横浜銀蝿の存在が取り上げられてきた現象をどう感じていましたか？

（T）ドメスティックなツッパリ文化は、もはや言ってみれば時代劇と同じだと思っています。誇張やパロディやイメージが先行していて、リアルにその時代を生きてきた身からすると、おいおいそんなわけないだろ的な部分も多いので、エンタメとして楽しめました。

−−嶋大輔（しま・だいすけ）さんや杉本哲太（すぎもと・てった）さんなど今でも第一線で活躍されていますが、かつての銀蝿ファミリーの皆さんとは連絡を取られていますか？

（R）全員、忘れない程度に適当に連絡は取り合っていますよ。皆、がんばってるよな。

（S）嶋大輔はもちろんのこと、紅麗威甦（ぐりーす）やBLACK SATANのみんな、現在は役者で活躍している森一馬（もり・かずま）、ライブハウスもやっている矢吹薫（やぶき・かおる）とは、今でも連絡を取っていますよ。お互い忙しいからたまにですけどね。

（T）弟のMitz（元・紅麗威甦）は家族なのでもちろんですが、矢吹薫も地元の後輩なので、用事があるときには連絡を取っています。

　

銀蝿一家はまさにファミリー
　

−−「仏恥義理（ぶっちぎり）」「羯徒毘璐薫’狼琉（かっとびロックンロール）」など、独特な漢字の当て字タイトルが有名ですが、「夜露死苦（よろしく）」とかツッパリはなぜ当て字が好きなんですか？

（R）いつごろから流行り出したかはわからんけど、俺たち不良ってバカだから、逆に難しい漢字を使うのが好きなんだよ。

（S）当時、「東京連合　䥝（みなごろし）」って暴走族グループがあって、誰も読めない漢字なんだよね。それを背中に刺繍を入れてると、かっこいーなーって思うのね。意味もある難しい当て字を使うことがかっこいいんですよ。

　

漢字タイトルへの憧れ