横浜市営地下鉄「北山田駅」「東山田駅」、なぜ「やまた」と読む?
ココがキニナル!
横浜市営地下鉄グリーンラインの「北山田」「東山田」駅名は「きたやまだ」「ひがしやまだ」ではなく「きたやまた」「ひがしやまた」になっていますが、なぜ「やまた」なのでしょう?(kimjunさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
駅が建設された町名が、もともと「きたやまた」と「ひがしやまた」でした。近くにある桜の名所も江戸時代から濁らなかったようです。
ライター:河野 哲弥
もろもろ含め、現地でヒアリングしてみた
おもしろいお話を頂いたところで、「北山田駅」と「東山田駅」の読み方、そしてリニア方式で走っているという事実を知っているのかを、地元の方に確認してみた。
「きたやまた駅」に到着
バス停表記も、「きたやまた」となっている
話を伺えたのは10人。
そのうち「きたやまた」の正解率は、なんと100%であった。しかし、なぜ濁音とならないのかについては、皆さん「そういうものだと思っていた」とのお答え。
一方、リニアについて知っていた人は、たった1人だった。
では、いつ頃から「やまだ」ではなく、「やまた」と呼ばれるようになったのだろうか。
江戸時代から「やまた」と呼ばれていた証拠を発見
地名や区名の由来を調べる上で、大変参考になる史料が、横浜市市民局の発行する『横浜の町名』。
しかし、同書でも、町名の読みまでは言及していなかった。
そこで、近辺の史跡などを調べていたところ、北山田駅の近くに「山田富士公園」という場所があることが分かった。
地元の商店街連合会の会長にも聞いてみた
そこで、駅の近くで不動産業を営む、北山田商業振興会会長の鏑木鏑木(かぶらぎ)さんに伺ったところ、その公園とは江戸時代から続く「桜の名所」であるらしい。そしてその読みは、やはり「山田(やまた)富士公園」であった。
模擬店やフリーマーケットなどでにぎわう、同公園の「さくら祭り」の様子
同公園の中央には「山田富士」があり、その名前は「新編武蔵風土記」(1828年作)の中にも登場する。江戸時代、長生きを願う「不死」の願いは、同じ読みをする「富士信仰」となり、各地にこうした富士塚があったようだ。
従って、何か意図や目的があって「きたやまた駅」となっているのではなく、古い歴史を持つ町名が、そのまま今に残っていることが分かった。
ごくありきたりな名前であっても、漢字の読みは一通りでないことが多い。
今回のケースでは、こうした市営地下鉄側の、地元への配慮が伺えた。何気ない駅名の中にも、こうした経緯のあることが分かると、普段の通勤も少し楽しくなってくるのではないだろうか。
―終わり―
おとべえさん
2016年10月02日 01時14分
実家がここにあり、私も幼少の頃から長年暮らしていましたが、近隣の方々で「やまた」と発音する人はあまり居ないんじゃないか?と思います。もちろん正式名称が「やまた」である事は皆さんご存知なのですが、会話では「やまだ」と濁る方が多いです。北山田や東山田、南山田は港北ニュータウンの開発で外部から新たにやって来た人達で人口が増えて、新しい人達ほど駅などの表記を見て「やまた」と発音しているんじゃないかと思います。
ポンチさん
2014年05月06日 11時57分
地元のものですが、高田町については、たかだ小学校、たかだ中央病院、のように濁る読みで表記されている看板も多く見かけます。ですので地下鉄の駅名を見たときにとても違和感を感じました。それからヤマタノオロチって、頭が8つあるから八股、っていう表記になるのでは?
mimichanさん
2013年10月13日 09時35分
濁音かどうかというのは、難しい問題です。木曾の福島はフクジマであったそうですし、伊豆の大島もオオジマと読むのが正しいという説があります。逆に姓の谷川(たにがわ)さんなどは、すべてではないでしょうが、もともと、たにかわさんだという人がいます。江戸期の記録などでは、かな書きの文字に濁点をつけないことが多いのです。従って、濁音かどうか判別はできません。山田がやまたであってもちっとも不思議ではありません。長崎県の佐世保が、させほかさせぼかで論争になったことがあります。駅名と市名の読みが違うというのです。慶應の教授の池田弥三郎さんが、「させほもさせぼも、ほぼ同じ」と言ったそうです。