【横浜の名建築】重要文化財 外交官の家・旧内田定槌邸
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第11回は、イタリア山庭園にある『外交官の家・旧内田定槌邸』 。華やかで重厚なイメージと、繊細でやさしい気持ちのこもった建物でした。
ライター:吉澤 由美子
2階は暮らしやすそうなプライベート空間
(続き)
廊下の書斎と寝室の間には、天井に仕掛けがある。
この部分は、滑車を使った屋根裏収納が可能
公使ともなれば、赴任地で正式な晩餐会に招かれることも多く、そのため外交官夫人はたくさんのドレスを持っていた。
ドレスを吊るしたまま収納できる船用トランクなどの大きなものも、ここから滑車を使って収納できる。
陽子夫人の意向をかなり取り入れた設計だと伝わっており、収納にもその感性が生かされている。
ゆったりとした寝室は、塔屋部分にあたるスペースとつながる。
場所ごとに趣が違う室内
横にあるベランダの先には天然スレート葺きの1階屋根も見える
屋根の天然スレートは、現在復元中の東京駅に使われているのと同じもの
陽子夫人が一番気に入っていた場所
この贅沢で美しい場所を寝室の奥にしたことからも、プライベートを大切に思っていたことがうかがえる。
寝室の隣にあるバスルームは、バスタブとトイレが1部屋の本格西洋式。
バスタブの猫足にも彫刻がほどこされている。
木製のトイレットシートやタンク、ミラーフレームがアクセント
賓客をもてなす重厚な1階に対し、プライベートな場所である2階は明るい雰囲気で、その対比も興味深い。
和洋が並ぶ意匠
南平台時代には和館を併設していたが、移築されたのは洋館部分のみ。
ただし、和建築部分が一部残されており、和洋が隣り合った部分を確認できる。
和洋の下見板張り。洋館の基礎はレンガ
見学する際の入口は喫茶コーナーのある付属棟に作られており、そこから洋館部分に向かう時、和館の名残部分を通って行く。
ホールの外側を和風の廊下がめぐっている
喫茶コーナーのテラス席は、眼下に庭園、背後に外交官の家という贅沢なビューポイント
取材を終えて
外交官の家・旧内田邸を寄贈した宮入氏は、移築のための運搬費用を負担されるなど、寄贈だけにとどまらない協力をされた。そして、この洋館が横浜山手で見事に復原されたことをとても喜んでおられるとか。
池に写る塔。左のメタセコイアは12月はじめに紅葉のみごろ
創建されて100年を越え、なお美しく保たれた外交官の家・旧内田邸。
そこには、外交官・内田定槌の賓客に対するもてなしの心と、よき家庭人としての姿、受け継がれた家族との思い出がいっぱい詰まっていた。
―終わり―
◆外交官の家〔 重要文化財〕
無料/9:30~17:00(7・8月は18:00まで)
お問い合わせ:TEL・FAX/045-662-8819
公式サイト
http://www2.yamate-seiyoukan.org/seiyoukan_details/Gaikoukan/
西洋館ウエディングは、外交官の家のほか、山手111番館、イギリス館、エリスマン邸、ベーリック・ホール、ブラフ18番館で行うことが可能です。詳しくは西洋館ウエディング公式サイトをご覧ください。
西洋館ウエディング
http://www2.yamate-seiyoukan.org/yamatewedding/