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【横浜の名建築】神奈川県立図書館・音楽堂

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第21回は、『神奈川県立図書館・音楽堂』モダニズム建築の第一人者が設計し、一流の腕を持つ職人たちが丁寧な仕事で仕上げた近代建築の傑作だった。

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ライター:吉澤 由美子

音楽堂の「木のホール」とホワイエ

(続き)

建築当時は、日本に公共施設の本格的な音楽専用ホールなどどこにもなかった時代。

世界最高の音響と名高かったロンドンのロイヤルフェスティバルホールの建築報告書を手に入れて研究し完成した設計だ。
 


「ホール自体がひとつの楽器のようだ」と絶賛する演奏家も

 
ホワイエと呼ばれる吹き抜けの広いスペースも大きな魅力を持っている。
 


ホワイエの天井勾配はホール客席の段差そのまま
 

ペンダントライトも創建当時のもの

 
長円形の断面を持つ大きな柱と円形のベンチ、大きな窓側には長方形のベンチが並び、低い段差の階段がゆるやかに2階ロビーへと導く。
 


職人が砕いた石をはめ込み、手で磨いてなめらかにしたもの

 
「当時は戦後の窮乏時代で、職人の手作業で建築が行われました。でも、その頃は第一級の腕を持った職人が大勢いて、それぞれが自分の持ち場で素晴らしい仕事をしたんです」
 


この天井も手塗り

 
館長さんは近くにある階段の手すりを、「このカーブは前川先生が図面を引いて、職人が作り上げています。指物師の仕事ですね」と説明してくれた。
 


繊細で美しいカーブ
 

コンクリートを流し込んだ枠木材の年輪や木目が残る

 
※特別な許可をいただいて撮影しております。




取材を終えて


 

 

建築当時、未来を象徴していた機能的な近代建築が第一級の建築家によって設計され、過去の技の集積である手作業で丁寧な仕事を行う大勢の職人によって実現した。それがこの図書館と音楽堂だ。

これは、2つの全く違う価値観を持つ時代の過渡期にだけ起こる、幸運なカップリングが生んだものなのかもしれない。
 

 

― 終わり―


神奈川県立図書館 公式サイト
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/yokohama/index.html

神奈川県の名建築を紹介する展示コーナー(2012年2月8日まで)
県立図書館と音楽堂の図面を見ることができます

図書館大公開 ツアー&お宝紹介
定期的に行われているイベント。書庫など普段入れない場所も見学できます
参加募集中のツアーは2011年1月14日開催のもので、募集締切は12月20日です



神奈川県立音楽堂 公式サイト
http://www.kanagawa-ongakudo.com/

2012年2月1日(水) 音楽堂建築見学会
(2012年9月にも予定されています)
レクチャー、見学、木のホール体験ミニコンサート
詳しくは公式サイトをご覧ください
 

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  • 県立図書館の閲覧室では、富士山がよく見えました。古いけど雰囲気が良い建物と思っていましたが、この記事を読んで建築家の思いが伝わってきました。いい取材有難うございました。

  • 桜木町には中央図書館もある上に、市立図書館の検索にもヒットしないので、県立図書館の存在をしらない市民もいるような感じがします。僕は一度しか利用したことがありませんが、ディテールがかなり古びている割には、モダンな建物だなあと思っていました。きっと名のある建築家の作品だろうと思っていたら、やっぱりですね。補修をしつつ、文化遺産として残して行ってほしいですね。

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