横浜市の高齢化対策はどうなっているの?
ココがキニナル!
横浜は古い町が多くて一部の町では高齢化が進んでいると聞きます。実際のところどうなのか、どんな対策をしているのかを調べてきてください。(Ichiさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
10年前に比べ、老年人口は5.4%上昇。横浜市は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「ヨコハマいきいきポイント」等の仕組みで高齢者を支えている。
ライター:松崎 辰彦
高齢化にどう対処するか
高齢化の波は日本の大きな問題である。横浜市も例外ではない。
横浜市の老年人口(65歳以上)は平成24年1月1日現在で75万4059人で、横浜市の人口(369万1240人)全体の20.4%を占める(日本全体の老年人口は23.4%)。5人に一人が、高齢者である。
ちなみに、10年前の平成14年10月1日現在では、横浜市の総人口は349万6927人、老年人口は52万5973人で、全体の15.0%であった(当時の日本全体の老年人口は18.5%)。10年前にくらべ、老年人口の割合が5.4%増加したのである。
健康や経済面など、高齢者が直面する問題は深刻であり、社会全体で対応する必要がある。
高齢者に対する横浜市の福祉政策はどのようなものであるか? 横浜市健康福祉局高齢健康福祉部の松浦淳氏と中山真一氏にうかがった。
松浦氏と中山氏
「2005年の介護保険法改正で、日本では全国的に高齢者をケアする機関として各市町村に『地域包括支援センター』を設置して、高齢者への対応をすることになりました。しかし横浜市では、それ以前から、『地域ケアプラザ』という障害者や高齢者に向けた施設を運営していて、高齢者本人とその家族の方々を支援してきました。こうしたケアプラザが横浜市全体で128カ所あります」
ケアプラザの一つ 横浜市いずみ中央地域ケアプラザ
横浜市の場合は、このように地域ケアプラザを拠点として、高齢者の福祉を推進している。具体的にはさまざまな相談への対応やデイサービスなどを行い、高齢者とその家族を支援している。
地域ケアプラザの“地域”とは、およそ「中学校の学区ほどの範囲」であるという。そ
うした地域の中で高齢者を支えていくのが、横浜市の高齢者対策の基本であるようだ。
高齢者の孤立化を防ぐ
年をとって不安なのは、やはり健康面である。
現在、横浜市には13万2000人の一人暮らしの高齢者がいるとされる(平成22年度国勢調査)。最近は独居老人の孤独死が問題になっているが、高齢者の社会的な孤立を防ぐことが、福祉の面からも重要だ。
横浜市では、把握できている一人暮らしの高齢者に対しては民生委員に安否確認をお願いしている。“最近○○さん、どうしている?”“このところ××さん、見ないね”といった形で普段から注意を配ることで、本人の状況を把握することが大切、ということである。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護がスタートした
高齢になり、病気にかかれば当然ながら入院の必要が出てくるが、中には在宅のまま長く暮らしたいという人もいるし、また病人の数に対して病院のキャパシティが追いつかないという事情もある。病院や老人ホームを増やすことも大切だが、一方で在宅での療養を可能にするシステムも必要となってきている。
高齢者の在宅医療を可能とするために、横浜市では平成24年4月1日から定期巡回・随時対応型訪問介護看護がスタートした。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の仕組み
(図版提供・横浜市健康福祉局高齢健康福祉部)
オペレーターを置いて24時間対応できるシステムであり、在宅医療の強い味方になりそうである。訪問介護・訪問看護といったこれからの地域社会で不可欠になるであろう医療形態を取り入れたこの仕組みは、これから発展するものと思われる。成功を期待したい。
「ヨコハマいきいきポイント」で利益と生きがいを
横浜市には、高齢者が介護保険施設等でボランティア活動を行った場合に、「ポイント」が得られ、たまった「ポイント」に応じて換金できる仕組みがある。
正式名称は「介護支援ボランティアポイント事業」、通称“ヨコハマいきいきポイント”というこの仕組みは、平成21年10月からスタートした。
「介護支援ボランティアポイント事業」(通称・ヨコハマいきいきポイント)の仕組み
(図版提供・横浜市健康福祉局高齢健康福祉部)
一回の活動(30分以上)で200ポイント獲得し、1000ポイントになれば換金できるという仕組みである。1ポイント=1円。65歳以上の元気な高齢者が、老人ホームなどでボランティアをすることで、自身の健康増進や生きがいづくりに役立つというこのシステムは現在、登録者が6000人を超えている。
どの都市でも懸案となっている高齢化問題に、横浜市も多くの労力を割いていることがわかった。ではもっと市民に近い、区レベルではどうなのか。