栄区上郷地区の開発計画、その後の動きはどうなった?(後編)
ココがキニナル!
栄区上郷にて大規模な都市開発計画があるそうです。自然が豊かな地区であるだけに、住民の反対も強いようです。現状について調査頂けないでしょうか(洩矢諏訪子の兄さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
今年6月に予定されていた東急建設からの事業提案が、間もなく行われる予定。緑地保護の観点から横浜市の積極的な参画が重要なポイントになるか。
ライター:河野 哲弥
【前編】のダイジェスト
「上郷開発」で問題となっているのは、「港南台5丁目-神奈中車庫前」の両交差点間を中心とした、緑が豊富に残っている地区である。(前編記事はこちら→『栄区上郷地区の開発計画、その後の動きはどうなった?(前編)』)
同地区を横断する道路の様子
現在ここには、「舞岡上郷線」の一部が通っている。地元の要望が強かったため、横浜市道路局が、1987(昭和62)年に着工した。しかし横浜市は、それ以前の1985(昭和60)年ごろから、東急建設などの開発業者へ、道路整備に向けた協力を呼びかけていたことが分かった。
横浜市から事業者へ通知された内容
しかし市は最終的に、東急建設に対して、開発許可を出さなかった。全く同じことは、2002(平成14)年にも起こった。市から整備を通知していながら、東急建設の事業計画を否決したのである。
現在、市街化調整区域の見直しがある2015(平成27)年まで、原則として開発はできないことになっている。このような状況を、市や東急建設、そしていわゆる反対派は、どう捉えているのだろうか。
まずは、「『蛍のふるさと』瀬上地区の開発計画ってどうなってるの?」でお世話になった、「上郷開発から緑地を守る署名の会」を再訪してみることにした。
開発には必ずしも反対ではない「反対派」
「上郷開発から緑地を守る署名の会」とは、2007(平成19)年に、上郷・瀬上の緑地保全を求めて、約9万2000人分の署名を集めた団体である。
待ち合わせに指定された「さかえ区民活動センター」に到着すると、そこに現れたのは、同会の代表を務める山仲さんほか、合計5人のメンバーだった。
右下の座っている男性が山仲代表
まずは、その署名運動について確認してみよう。誰からの署名なのか皆さんに尋ねたところ、港南台駅などの利用客や、ホタル観賞などのイベントに参加した来場客から集めたものであるらしい。中には横浜市議も含まれるらしいが、必ずしも地元の意見だけを反映している訳ではなさそうだ。
また、その署名数については、一定数以上集まると何かしらの効力を持つような性質のものではないのだとか。単に、「これだけ反対している人がいます」という意思表示にしかならないことになる。
署名活動に使われた資料
そんな山仲さんらだが、「自然を守るには、ある程度人間の手を入れていくことが必要だ」と言う。そうしないと、土地は荒れ地の状態になってしまい、山仲さんらが掲げる「緑地の保全」の目標と相反する結果になってしまう。
また、何もしないままでいると、地権者が個人で駐車場にしたり、スーパーなどの企業に売却したりするケースが想定されるという。
そもそも、彼らは何に対して反対しているのだろうか。また、同会が理想とする着地点はどこにあるのだろうか。山仲さんによれば、
① 深田遺跡などの文化保護
② 自然の保全
③ 生物多様性の維持
④ 人口減少により宅地整備が必要ではなくなったこと
などを理由とし、横浜市が管理・運営することを望んでいるとのこと。例えば、市が該当地区を購入し、自然保護林のような形で開発整備することには、むしろ賛成なのだとか。
「現状では、市街化調整区域の見直しの件もあり、2015(平成27)年までは開発の手が伸びないはず。引き続き署名活動をしていきたい」と、山仲さんは話す。
そうなると、今度は東急建設に話を聞きたくなってくる。そこで、取材を申し込んでみた。