田園都市線・藤が丘駅前の目立つ噴水ってどういう経緯でできたの?
ココがキニナル!
青葉区の藤が丘駅前のバス停付近に、昔から噴水がありますが、作者、建設経緯など是非取材してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1966(昭和41)年に路線の延伸を記念して、志水晴児氏によって作られた作品だった。残念ながら現在は噴水としては稼働しておらず、再開の予定もない
ライター:田中 大輔
東急田園都市線の藤が丘駅は、各駅停車の電車のみが停まる駅。
駅前はロータリーになっていて、バス停やタクシーがずらりと並んでいる。
今回は、そのロータリーの中心にある噴水についてのキニナルを調査した。
“昔からある”とのことだが、いつごろからあるのか。また、どういった経緯で作られたのか。
横浜市? 民間企業? 誰の噴水?
その噴水自体は、藤が丘駅に行けばすぐに見つかるほどに目立つ存在。
駅の正面口を出てすぐに目に飛び込んでくる位置に作られているのだ。
これが話題の噴水。3つの石のモニュメントが池に建てられている
まずキニナルのは、この噴水を管理しているのが誰かということ。
「横浜市内の噴水は撤去が進んでる!? 噴水を取り巻く事情を調査!」でお世話になった環境創造局の金澤さんや、藤が丘駅のある青葉区の土木事務所に問い合わせてみたところ、「市や区でやっているものではありません」という回答。
「おそらく東急さんじゃないでしょうか」とのことだったので、今度は東急電鉄の広報部に取材を試みた。
はたして東急の所有物なのだろうか
すると、やはり東急で管理している噴水だそうで、電話での取材に応じてもらえることとなった。
著名な芸術家の作品だった!
さっそく噴水についての基本的な情報について聞いてみた。
あの噴水は「掌の家族(たなごころのかぞく)」という題名の作品で、彫刻家・志水晴児(しみずせいじ)さんの作だという。
実は作品脇には題名と作者の名を刻んだ碑も建てられている
志水晴児さんは1928(昭和3)年に東京で生まれ、1954(昭和29)年に東京芸術大学彫刻科を卒業。2005(平成17)年に亡くなるまで彫刻家として活動し、特に石の彫刻で知られた人物だそうだ。
全国彫刻コンクールの大賞や現代日本美術展の最優秀賞など、多くの賞にも輝いている。
そんな著名な芸術家の作品が、どういった経緯で藤が丘駅前に設置されたのだろうか。
駅の開業記念に作られた!?
作られたのは、写真の石碑にもあるように1966(昭和41)年のこと。
実は、この年は藤が丘駅開業の年でもある。もっと正確に言えば、田園都市線が延伸されて溝の口駅から長津田駅までの13駅が開通した年ということになる。
あの噴水「掌の家族」は溝の口-長津田間の延伸を記念して作られた施設とのことで、4月1日の駅開業に先がけ3月には完成していたんだそうだ。
ココから
ココまで一気に路線が伸びた。それが噴水のできた年のこと
ちなみに、当時の田園都市線は大井町駅から二子玉川駅を経て溝の口駅へ向かう路線で、現在の田園都市線とは少し違ったそうだ。二子玉川駅から渋谷駅へ向かう路線は、1977(昭和52)年の新玉川線開通まで待つことになる。
駅ができたそのときから、この場所にあった噴水
この記念事業は、宮前平駅、たまプラーザ駅、青葉台駅でも行われていて、全部で4つの芸術作品が駅前に設置されたとのこと。
これらは「掌の家族」の志水晴児氏同様に、それぞれ広井力氏、篠田守男氏、向井良吉氏と著名な芸術家の手による作品なのだそうだ。
この事業は、都市美に貢献し地域住民の憩いを与えることを目的に、当時の社長であった五島昇氏の発案で企画されたものということだった。