「日本ナポリタン学会」は、どんな活動をしているの?
ココがキニナル!
日本ナポリタン学会の活動内容や認定店舗のレポートをお願いします(nobaxさん、HIDE.PDさんのキニナル)/年会費が正会員3,000円。何に使うんだろう(とうさんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
ナポリタンを横浜の名物として定着させるべく、飲食店や商品の認定、各種イベントなどを行っている有志の団体。設立のきっかけは、ナポリタン対決?
ライター:河野 哲弥
いざ、日本ナポリタン学会へ
横浜発祥といわれる「スパゲッティ・ナポリタン」だが、実際には諸説あるようだ。「はまれぽ」でも、トマトソースを使った「ホテルニューグランド」や、ケチャップを使って今風にアレンジした野毛の「センターグリル」を特集したことがある。
発祥とされる、ホテルニューグランドのナポリタン
そんなナポリタンを研究する「学会」があるという。一体どんな活動をしているのだろう。取材を申し込んでみることにした。
そうだ、ナポリタンを食べに横浜へ行こう
お話を伺ったのは、設立のキーマンともいえる、同学会副会長の岩室さん。本業はミュージシャンとのことだが、都筑区のまちづくりに関するNPO「I Love つづき」の理事長もされているそうで、その事務所を訪問させていただくことになった。
「日本ナポリタン学会」副会長の岩室さん
岩室さんによれば、同会を立ち上げたきっかけは、開港博「Y150」にあったらしい。
「横浜のグルメというと、誰でも最初に思い浮かべるのが中華街。でも、せっかく発祥グルメがあるのだから、『ナポリタンを食べに横浜へ行こう』というムーブメントがあってもいいのでは」と考えたそうだ。
設立経緯が書かれた同会資料(オレンジの枠は以下同)
しかし、お話を伺っていくと、誕生秘話ともいうべき「事情」もあったようだ。その舞台となったのは、岩室さんが参加していた、横浜に関する地域SNS「ハマっち!SNS」というサイト。
「ハマっち!SNS」のトップページ
同サイトには、Y150に向けて150食の麺を食べ続けていた、「ハマの麺食い男」こと田中健介氏も参加していた。ある日、田中さんとナポリタン論議を重ねていた岩室さん。名古屋出身ということもあり、「名古屋にも独特のナポリタンがある。横浜とどっちがおいしいか、勝負しよう」と対決を仕掛けたそうだ。
名古屋では通称「イタリアン」、鉄板の上に卵焼きが乗っているのが特徴
この様子を見ていた「ハマっち!SNS」のメンバー、「自分たちも参加したい」と盛り上がり、最終的には横浜市内のカフェを貸し切った200人規模のイベントを行うことになった。
さらには、中区から一部費用の助成を受けるなど、事態は次第にエスカレートしていったらしい。こうして、Y150イヤーとなる2009(平成21)年の2月、ナポリタン頂上対決イベントが行われることになった。横浜代表は田中さん、名古屋代表は岩室さんだ。
会場では、学会が調理したものを実食して判定することに
その結果、中区長をはじめとする審査員10人により、見事横浜のナポリタンが勝者に選ばれた。敗れた岩室さんは、この盛り上がりを良い方向にクロージングするという、ある種の罰ゲームを負うことになったそうだ。こうして誕生したのが、今回の投稿にあった、「日本ナポリタン学会」という訳だ。
「ナポリタンマップ」の充実を目指して
同会のメンバーは現在約40人。「麺食力」の著者でもある田中健介会長を筆頭に、「横浜ナポリタンあられ」の生みの親「美濃屋あられ製造本舗」の小森健太郎氏や、市内でナポリタンを提供する飲食店主など、そうそうたる顔ぶれがそろっている。
本場ナポリにも遠征、中央の人物はナポリ市長
投稿にあった年会費(3000円)についても伺ってみた。すると、岩室さんいわく「会長も多忙で、実際には初回しか集めていないんです。実質入会費のようなもの」とのこと。したがって、同学会が行う各種イベントの運営費、鉄板、食材、おそろいのエプロン、名刺ほか、活動費用は持ち出しというケースがほとんど。もちろん、ナポリへの旅費も自腹だ。
基本的に面識のある人が会員の対象。一般のグルメ投稿サイトのように、たまたまその日だけだったかもしれない飲食店のマイナス点などを書かれても困るので、ブログにも制限を設けているそうだ。「もし入会を希望する方がいたら、一度メールなどで問い合わせの上学会の例会に参加してから、会員になってください」とのこと。
そんな同学会の主な活動は、「認定店」の普及、それに基づいた「ナポリタンマップ」の充実、イベントやワークショップの開催など。引き続き、「認定店」のプロセスや実際の様子などを、伺ってみることにしよう。