横浜にある昔ながらの立ち飲み「角打ち店」のある場所を教えて!鶴見編
ココがキニナル!
横浜にある昔ながらの角打ち店が気になります。安善のほてい屋酒店、横浜橋近くの浅見本店などが有名ですが、他にどんなお店があるのでしょうか。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜で50年以上続く、角打ち店(立ち飲みできる酒店)を紹介。今回は鶴見仲通、本町通り、安善の計3店を紹介。
ライター:ほしば あずみ
「角打ち(かくうち)」とは、酒販店に立ち飲みコーナーが併設され、買ったお酒をその場で飲むことができる営業形態。簡単なおつまみも売っているがあくまで飲食店ではなく、支払いは原則キャッシュオンデリバリー(商品を購入しつど支払う)形式であることが多い。
中村橋周辺を中心に紹介した前回に続いて、今回は鶴見周辺の角打ちができる昔ながらの酒店をめぐってみたい。前回同様、「昔ながら」ということで、いずれも50年以上続くお店である。
飲まない常連も通う店
まずは、鶴見区仲通にある「上州屋酒店」。「鶴見の沖縄度合いはどれくらい?」でも紹介したように、周辺は沖縄出身者や海外出身者が多く住んでいることで知られている。JR鶴見駅から徒歩20分ほど、JR鶴見線「弁天橋」駅や「浅野」駅を利用しても徒歩15分程度。
外観。立ち飲みスペースは左側の扉
「高度経済成長の時代は、この先の日本鋼管(現:JFEエンジニアリング、JFEスチール)や旭硝子が景気良かったからね。そこで夜通し働く人たちが、帰宅する前に1杯飲みたいとなっても朝から酒場はないから、便宜上、酒店が提供したの。今はその名残ね」と語る、店主の深澤初枝(はつえ)さん。
常連のお客さんたちからは「はっちゃん」と慕われている初枝さん
角打ちを始めたのは昭和30年代、当時は、同様の理由で他ほかの町でもあちこちで角打ちの光景が見られた(参考:立ち飲みスペースが藤棚商店街に多い理由とは?)。元はご主人の祖父が始めた酒販で、創業からは「88年くらい経っているのでは」とのこと。初枝さんご夫妻で3代目。
「上州屋」という屋号は、初代が群馬県出身だったことに由来する
「昔は厳しくて、飲むのは5分以内とかだった」と語る初枝さん。「今も労働者のお客さんは多いけど、ネットで見て来たという若いお客さんも見えますね。みんな和気あいあいと飲んでる。でも、女性の酔っ払いは、まず絡むわね」
女性の酔っ払いは絡む・・・身に覚えはないが、心に留めておきたい言葉である。
レジ横で「八海山」の一合瓶を発見
「ほたて塩焼き」をつまみに選んで、さっそく、角打ちスペースへ移動。
細長い角打ちスペース。奥行は深い
午前中(平日)の自然光がまぶしい
一合瓶というものは手酌用であろう
繰り返すが取材当時は平日の午前中。にもかかわらず、お客さんはいるのだ。たとえば、顔は出せないが常連の山川さん。1955(昭和30)年生まれで、20代のころから通っているというから、常連歴はざっと40年近いことになる。
取材中、終始気を遣ってくれた山川さん
実は彼は20年前に体を壊して以来、お酒は飲まないのだという。けれど、ほぼ毎日顔を出すそうだ。
「だって家が近いしさ、ここに来ると友だちが誰かしらいるだもん」
前回に引き続き、「角打ちは大人の駄菓子屋説」を提唱しておきたい。と思っているところに、ほかの常連さんからさりげなく差し入れをいただく。
仕事中であることを気遣い、ノンアルコール飲料をくださった
また、別の常連客「キンさん」からも、飲んでいたお酒をおすそわけしてもらう
山形県出身のキンさんも、長年通い続けている1人。どの常連さんも、「はっちゃん」を慕い、また友だちと店で顔を合わせるのを楽しみに通っているのが伝わってくる。「角打ちの取材なの? 今はだいぶ減ったけどこのあたりはまだ多いよね。豊嶋屋さんは行った?行ってごらんよ」
初枝さんや常連のみなさんに薦められ、次のお店は上州屋から歩いて5分ほど、本町通りにある「豊嶋屋酒店」へ。