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150年の伝統をもつ「横浜クラシック家具」について教えて!

ココがキニナル!

横浜クラシック家具というものを最近知りました。職人の手作りによる上質で気品ある横浜の工芸品らしいです。横浜にブランド家具があるなんて知らなかったのでとても気になります。(だいさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜クラシック家具とは横浜に伝えられた伝統的な洋家具のこと。現代に継承する代表的な企業に株式会社ダニエルがある。

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ライター:松崎 辰彦

横浜クラシック家具とは



横浜クラシック家具とは、横浜発祥の椅子やテーブルなど洋家具を指すブランド名のこと。機械によって大量生産される安価な商品ではなく、それなりの価格はするが、たしかな技術を持った職人の手による堅牢(けんろう)で、幾世代もの使用に耐える家具である。
 


 

横浜クラシック家具。何代にもわたり受け継がれていく
(画像提供:株式会社ダニエル)


特定企業が商標登録しているわけではなく、この名称を使用している企業は複数あるようだが、今回は横浜市中区にある「横浜クラシック家具&インテリア設計・施工株式会社ダニエル」を訪問し、お話を伺った。

幕末の開国時に発祥を持つ横浜クラシック家具。その歴史を探ることは、私たちの生活、そして文化の根底を考えることにつながるのである。



幕末に誕生した横浜クラシック家具



横浜駅を出て、かつて東急ハンズのあった方向に歩くこと15分から20分程度。平沼高校を抜け、岡野中学校に行き当たってさらに進むと新田間川に行き当たる。川沿いを歩くと見えてくるのが株式会社ダニエル横浜工場。
 


ダニエル横浜工場


ダニエル創業者の咲寿(さくじゅ)武道氏の養子であり、現社長の高橋保一氏の実子である専務取締役・咲寿義輝氏が取材に応じてくれた。
 


咲寿義輝氏


「1863(文久3)年、イギリスのゴールドマンという人物が横浜に住む馬具職人・原保造(はらやすぞう)に椅子の修理を依頼しました。その完成度に感心したゴールドマンは、次に本格的な洋家具製作を注文したのです。これが横浜クラシック家具の発祥とされています」

幕末から開国にかけて、日本には多くの外国人がきたが、彼らはもちろん本国の生活様式を日本でも維持しようとした。しかし、当時の日本の一般庶民の生活には、椅子もなければテーブルもない。

そこで日本の指物師(家具職人)や船大工、あるいは馬具職人らに必要とするものを説明し、おそらく現物も見せて理解させ、その製造を依頼した。日本の優秀な職人は彼らの期待に応え、優れた家具を製作し、依頼主である外国人から高い評価を得た。こうして日本で洋家具の生産が開始されたのだった。

「明治維新後、欧米の家具が大量に入ってきました。彼らの家具は直線なら直線、曲線なら曲線といったものが多いのですが、日本の職人は直線と曲線を組み合わせたデザインを造形化するなど、欧米にはない発想で家具を作りました。それが外国人には非常に好評でした」

パリ万博にも家具を出品するなど、高い評価を得たのであった。



本物の家具を目指して──「ダニエル」誕生 



開国後、横浜の洋家具製作は確固たる産業となったようである。
「外国人の多い横浜は洋家具の盛んな地域となりました。元町には長屋のように家具の工場が並び、店頭で家具の注文を受けて、裏側で製作を請け負った親方衆が仕事をしました。それで今でも元町の裏側はクラフトマン(職人)ストリートと呼ばれています」
 


 

元町にあるダニエル直営店


こうして発展した横浜の家具業界だが、関東大震災や太平洋戦争といった受難の季節も経験する。
高度経済成長の大量生産大量消費の風潮に、伝統ある家具職人の技術が居場所を失いそうになったこともあったが、そうした中で“本物”の家具造りを行うメーカーを目指し、1973(昭和48)年に株式会社ダニエルが誕生した。
「ダニエルとは旧約聖書の登場人物で、預言者です。家具を通じて家庭の絆を強めようという考えから、この名を採用しました」
 


ダニエルのロゴ(画像提供:株式会社ダニエル)


ちなみに前年の1972(昭和47)年には協業組合「ヨコハマクラシツク家具グループ」が設立され、“横浜クラシック家具”というブランド名が知られるようになった。