150年の伝統をもつ「横浜クラシック家具」について教えて!
ココがキニナル!
横浜クラシック家具というものを最近知りました。職人の手作りによる上質で気品ある横浜の工芸品らしいです。横浜にブランド家具があるなんて知らなかったのでとても気になります。(だいさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜クラシック家具とは横浜に伝えられた伝統的な洋家具のこと。現代に継承する代表的な企業に株式会社ダニエルがある。
ライター:松崎 辰彦
コンドルの末裔が横浜クラシック家具を受け継いでいる
そもそもダニエルの源泉をたどれば、日本建築界の父と呼ばれ、鹿鳴館(ろくめいかん)を設計したことでも有名なジョサイア・コンドルという人物に行き当たる。
1877(明治10)年、明治政府に招かれて来日した24歳のイギリス人建築家コンドルは、工部大学校造形学科(後の東京大学建築学科)の初代教授に就任し、日本の学生に製図構造、建築歴史、施工方法など、建築に関する一通りのことをマスターさせた。
ジョサイア・コンドル。日本建築界の父
(画像提供:株式会社ダニエル)
コンドルの日本における子孫と、コンドルの執事であった高橋道保の妹・咲寿きくの子孫が、若干複雑に入り組んで、現在のダニエルが成り立っている。
コンドルと高橋家、咲寿家の関係(画像提供:株式会社ダニエル)
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咲寿義輝氏は現社長の高橋保一氏の息子さんだが、「『咲寿』という珍しい、そして縁起のよい姓を残すため、ダニエル創業者の咲寿の名を継いで現在仕事をしています」とのことである。
高橋保一氏(左)と咲寿武道氏。ダニエル創業のころ
(画像提供:株式会社ダニエル)
高橋保一家。後列中央が咲寿(高橋)武道
(画像提供:株式会社ダニエル)
家具には思い出がこめられている
それでは肝心の、ダニエルの家具──横浜クラシック家具とはいかなるものなのであろう。カタログを見ても椅子・テーブル・机・ベッド・キャビネット・チェストなど、およそあらゆる家具が作られている。
「ダニエルの家具は大量生産ができません。職人が自分の技術を活かして手作りしている商品です」
工房を見せてもらった。椅子張りの部署だが、機械ではなく、職人一人ひとりが木のフレームに、工具を使って布を張っている。
職人が技術を使って仕事をする
「これらはお客様から修理を依頼された製品です。ダニエルの商品は壊れても修理できます。最初は高いと思われても、結局は適正な価格であることが、長い年月を経ておわかりいただけると思います」
ちなみにダニエルの椅子は最低で10万円、高いもので40万円ほど。それなりのお値段ではあるが、一方でダニエルの家具は修理が可能であり、一度買えば何十年にもわたって使用することができる。現在、修理部門の「家具の病院」では自社製品のみならず、他社製品の修理も受け付けており、最近は非常に修理依頼が多いという。
「家具の病院」のロゴ(画像提供:株式会社ダニエル)
おのおの分担の仕事をする
「最初は、お預かりした家具を新品同様にきれいにして、お客様にお返ししたのですが、なぜかあまり喜ばれないのです。不思議に思っていたら、『これ本当に私の家具? 新品なんじゃない?』とか『せっかく思い出がつまっていて、いい感じだったのに!』などといわれ、多くの方が古い家具に思い入れをもっておられることがわかりました。それで現在ではただ綺麗にするのではなく、お客様のそうした要望にキチンとお応えできるよう、家具の病院としてカルテを用いて一つひとつの修理に対応しています」
家具にはさまざまな思い出が付随していることを、お客様との対応で思い知らされましたとのこと。