野毛山動物園にゾウがいないのはなぜ?以前はいたの?
ココがキニナル!
野毛山動物園にはなぜ象がいないのでしょうか。動物園の華といえば象なのに。過去、象がいたことや、導入を検討したことはあるのでしょうか。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
開園から2003年までは「はま子」というゾウが飼育されていた。繁殖を踏まえた十分な敷地面積や設備などを確保することが困難なため、新たにゾウを飼う予定はたてられていない
ライター:田中 大輔
ライオンにキリン、それにゾウ。
3歳の甥っ子に動物園でなにが見たいか聞いてみると、この辺が挙がってくる。動物園の花形スターといったところだろう。
もちろん大人にとっても、日常生活では見ることのない大きな動物というのはワクワクするものだ。
ところが、野毛山動物園にはライオンもキリンもいるが(展示場工事のため、現在非展示。ライオンは5月ごろ、キリンは3月下旬から再開予定)ゾウの姿はなし。
過去にいたことはあるのか、今後やって来る予定はあるのか。野毛山動物園のゾウ事情に迫った。
野毛山動物園にもゾウがいた
ご存じの通り、野毛山動物園も含め横浜市内には市立動物園が3つある。
そして、兄弟分のズーラシアや金沢動物園では、それぞれアジアゾウが飼育されている。
こちらはズーラシアで飼育されているゾウ
3園の中で一番の老舗である野毛山動物園にだけゾウがいないというのが現状なわけだ。
その代わり、と言ってはなんだが、野毛山動物園にはこんなものが飾られている。
銅ゾウ。台座には「はま子」と書かれている
この写真は、入園して真っ直ぐと管理事務所側に下っていった右側に設置された銅像。
また、現在、仮設爬虫類館のあるひだまり広場には、こんなレリーフもある。
ここにもモノクロの写真とともに「はま子」の文字
いずれも「はま子」という名前が刻まれ、その歴史が紹介されている。
そう、野毛山動物園にもかつてはゾウがいたのだ。
はま子の思い出
はま子が野毛山動物園にいたのは、1951(昭和26)年から2003(平成15)年に死亡するまでの53年間。
ピンと来た方もいるかもしれないが、1951年、つまり野毛山動物園開園当初からあそこで暮らしていたメスのゾウであり、野毛山動物園の歴史を語る上では欠かせない存在なのだ。
10年以上前に亡くなったはま子だが、同園には彼女をよく知る職員がいる。
それが、はま子の飼育を担当した飼育員の金子富治(かねことみはる)さんだ。
もうすぐ飼育員歴40年を迎えるという大ベテランの金子さん
1981(昭和56)年から20年以上に渡りゾウを担当した金子さんは、「私とはま子の出会いは小学1年生のとき。遠足で訪れ記念写真を撮りました」と笑う。
はま子と記念写真を撮るのが当時の遠足のお決まりだったようで、金子さんも飼育員になるはるか前にはま子に出会っていたというわけだ。
こんな感じで記念撮影するのがお決まり。もう一頭のゾウについては後ほど
(画像提供:野毛山動物園)
本来は別のゾウが来園するはずだったが、船での輸送中に死亡。代わりにやってきたのがはま子だったそうだ。
当時の新聞でも取り上げられ、名前も3564通の公募から決められたという。
そんなはま子について金子さんは「分別のある頭のいい子でした」と振り返る。
プライドが高くエサではつられないし、自分の中で序列をつけて下に見た飼育員の言う事には聞く耳を持たない。でも、一転して子どもには決して手を出したりしない。
人を見るのも好きだったようで、休園日が嫌いな珍しい動物だったそうだ。
入園後初めての子どもの日には5万人もの人出があったそうだ
(画像提供:野毛山動物園)