亀屋万年堂の横浜工場に潜入! 銘菓「ナボナ」の隠れた秘話とは?
ココがキニナル!
都筑区の亀屋万年堂さんの工場を紹介してください。工場の一般見学はあるのでしょうか?(ぽぽ1さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
品質管理の観点から、地元小学校の社会科見学など一部例外を除いて、一般見学は行っていない!併設された直売店では発売当初の「ナボナ」を売っていた
ライター:河野 哲弥
ロングセラー、「ナボナ」の秘密に迫る
「ナボナはお菓子のホームラン王です」
今から約50年前、元読売巨人軍の王貞治選手がそう言った瞬間、「ナボナ」はお菓子のホームラン王になった。
横浜市都筑区折本町にある、横浜工場外観
当時の王選手といえば、今では比肩(ひけん)する者がいないほどの国民的ヒーローであり、「王」というよりも、むしろ「神」に近い存在。その神が、お菓子を統(す)べる王は「ナボナ」だと言ったのだ。子ども心に、疑う余地などみじんもなかった。そのぐらい、王選手の存在は偉大であった。
以来、約半世紀の年月が流れた。
不思議なのは、現代の技術なら、模造品を作ることはそんなに難しくないであろうということ。にもかかわらず、ロングセラーとして不動の地位を築いているのは、どうしてなのだろう。
その謎に迫るべく、投稿にあった亀屋万年堂(資本金2600万円、従業員数250名)の横浜工場を訪ねてみた。
1秒あたり約2個の「ナボナ」が作られている
話を伺ったのは、同社生産部の中島一三(なかじまかずみ)副部長と、商品戦略部の有山政栄(ありやままさはる)チーフ。
まず、中島さんに工場を案内していただいた後、有山さんに沿革などについて訪ねることにしよう。ちなみに、専用の見学コースを整備していないので、一般応募の見学は行っていないそうだ。
左から、中島さんと有山さん
中島さんによれば、この工場で生産される菓子類は約25種。テイストのバリエーションなどは含まず、商品名で1種と計算した場合の話になる。このうち最も多く生産されるのが「ナボナ」で、売上全体の4割強を占めるという。
小麦粉から生地を作っている様子
特殊な紙の上に、生地を絞り出していく
上からかけた粉砂糖が、「ナボナ」独特の模様を生み出す
このラインでは、1時間に約7500個の「ナボナ」を生産しているという。挟むクリームを入れ替えるときに40分程度の時間が必要なため、1日の生産量には若干の違いがあるそうだ。
約4分30秒かけて、生地が焼かれる
おなじみの姿で登場
焼きムラ(手前)や、大きさ違い(奥)などの製品が取り除かれる
写真にあるオーブンは、入口・真ん中・出口の3箇所で異なる温度に設定され、独特のふんわりした食感を生み出しているという。その後、機械による自動判別で、いわゆる規格外品を排除する。
「生地の中に大きな気泡があると、その上の部分は薄くなりますから、どうしても焦げやすくなってしまうのです」と、中島さん。黒いシミのようなものが見えるのはこのためで、健康面には影響しないものの、基準外のものは取り除くようにしているのだとか。
交互にひっくり返し、下になる部分にクリームを乗せる
上の部分をかぶせたら完成
ここで、昔からキニナっていた、あるウワサについて訪ねてみた。
「『ナボナ』って、以前より小さくなった気がするんですけど」
すると、驚きの回答が返ってきたのである。