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戸塚区汲沢町の「五霊神社」、正しい読み方は「ごれい」か「ごりょう」か?

ココがキニナル!

戸塚区汲沢の五霊神社。「ごれい」地元民もそう呼んでるし、バス停のアナウンスも「ごれいじんじゃまえ」ですが、正式には「ごりょう」という意見も。どちらが正しい?(ポタリんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

正しい読み方は「ごりょう」神社。五霊神社、御霊神社という社名の神社は多く、「ごりょう」読みが多いが、中には「ごれい」神社もある

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ライター:田中 大輔

「ごれい」神社か、はたまた「ごりょう」神社か。
外国由来の仏教寺に比べ、日本発祥の神道の施設である神社はわれわれ日本人にとって読みやすい名前表記であることが多いような気がする。

ところが、今回投稿のあった「五霊神社」は「ごれい」か「ごりょう」か、地元で2説が飛び交っているそうだ。

どちらにしても特別な読み方ではないので、例えば「弘明寺(ぐみょうじ)」のような難読というわけではないが、さてどちらが正しいのだろうか。



読み方の前に、「御霊」か「五霊」か



五霊神社があるのは戸塚区の汲沢町(ぐみざわちょう)。余談だが、所在地も難読地名として紹介したことのある場所だ。

神社へはJR戸塚駅からバスで10分ほど揺られた後、そのものずばりのバス停で下車することとなる。
 


神奈中バスの停留所。その読み方は・・・

 
ふりがなはないが、キニナルにもある通り停留所の名前は「ごれいじんじゃまえ」。
しっかり車内アナウンスを確認したので、こちらは間違いがない。となると、「ごれい」神社が正解なのではという気もしてくる。

実際、神社近辺で10代から70代までの男女12人に声をかけてみたが、今回調べた限りではすべての人が「ごれい」派。古くから近所に住む人たちからも「『ごれい』としか言わない」、「汲沢のは『ごれい』でしょ」と答えてくれた。
 


五霊神社の拝殿。林に囲まれた静かな場所だった

 
そんな五霊神社のご由緒をひも解いてみると、創建は室町時代末期の1571(元亀2)年。
当時の汲沢村は村岡郷に属していて、五霊神社は村岡郷五か村の総鎮守(=そうちんじゅ、その地域を鎮めて守る神社)であった宮前村の「御霊社」を勧請(=かんじょう、神仏の分身・分霊をほかの地に移して祀ること)して建てられたと書かれている。

この勧請元となった御霊社は、今も藤沢市宮前に存在している。
 


境内に建てられた、ご由緒を伝える石碑

 
気になるのは、「御霊」社から勧請した神社が「五霊」神社と表記を変えているところだ。
これについても、ご由緒に答えがある。

もともと、平安時代中期の武将・村岡平五郎良文(むらおかたいらごろうよしふみ)と村岡公致(きみとも)、村岡致成(ともなり)を御祭神とする「御霊神社」だったが、後に鎌倉景成(かげなり)、鎌倉権五郎景政(ごんごろうかげまさ)を合祀。御祭神が5柱になったことから「五霊神社」に改めたというちょっと面白い経緯があったのだ。

ちなみに、鎌倉市にも「権五郎神社」の通称で知られる御霊神社がある。
こちらは、汲沢町とは逆に、かつては関東平氏五家を祀る「五霊神社」だったのが、汲沢町と同じ鎌倉権五郎景政のみを祀るようになり「御霊神社」になったという説も残っていたりする。



御霊神社は100社以上ある!?



というわけで、御霊神社・五霊神社という神社は、汲沢町のものだけではないということが分かる。実は、同じ社名を持つ神社というのは日本中にたくさんあるのだ。
 


この名前の神社、意外と多い?

 
神社本庁によれば、旧字体使用の神社も含め、日本全国に御霊神社は113社、五霊神社は12社存在しているそうだ。この数字は神社本庁が包括している神社の数なので、実際はもっと多いかもしれない。

これらの神社には、いわゆる「御霊信仰」に基づくものもあるそうだ。
御霊信仰とは天災や疫病、戦乱などの世の中の混乱を非業の死をとげた人の怒りによるものと考え、その怒りを慰めるために祭を行い災いを鎮めようとした信仰のことだ。

時代や地域により様々な変遷はあるが、天神様として知られる菅原道真を祀る天神信仰や、京都の夏の風物詩である祇園祭なども、一部にこの御霊信仰に関連する性格が見られるようだ。

『深く歩く鎌倉史跡散策〈下〉』(かまくら春秋社)によれば、それ以外に子孫が先祖を祀った神社もあるという。
どちらの場合も神話に出て来る神様ではなく、実在の人物を御祭神にしている点で共通している。
 


五霊神社の石段。この先にお社がある

 
ただし、神社本庁に聞くと、日本神話に登場する神様だけを祀る御霊神社もあるそうだ。
つまり、全部が全部、御霊信仰だけに基づいているというわけではないし、必ずしも御霊神社と五霊神社が近しいとは一概には言いきれないそうなので、そこは注意が必要だ。