財布に優しくて家庭的? 曙町の「インスタントバー」ってどんなお店?
ココがキニナル!
昨日曙町あたりで、眼の隅に「即席亭」インスタントバーなる文字が入ってきました。気になる店名です/みち坊さんの投稿は「インスタントBar 即席家」ですね・・・キニナル。(みち坊さん、スさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「即席家」は世話好きの社長が作った明るいバーで、地元で働く人達の顔つなぎの場。約20~30種類の缶詰や即席麺などが食べられる
ライター:濱屋 亘
曙町にインスタントバーなるものがあるという。投稿にあった「即席家」は、一体どんな店なのだろうか。早速店舗に電話をかけてみると、「取材は社長に確認をとってから」とのこと。え。社長? 聞くと、この店は個人経営ではなく、会社が経営している店なのだと言う。フランチャイズなのだろうか? 首をひねりながら待つこと翌日、OKが出たと連絡がきた。すぐさま現地へと向った。
「即席家」に行ってみた
「即席家」へは横浜市営地下鉄ブルーライン「阪東橋」駅下車、徒歩約3分
午後6時、阪東橋エリア。ちょっと角を曲がると、怪しい雰囲気の店にバッタリ出くわすこの界わい。夕暮れともなると、街のあちこちで客を誘うネオンが瞬き、往来をゆく車のヘッドライトが飲み屋の赤提灯のように煌々と灯り始める街角に、その店はあった。
夕方の曙町三丁目南交差点付近の様子
交差点付近に、それらしき店の灯りを見つけた
近寄ってみると、「即席家」と書いた看板が。あったあった、ここだ
今回取材に快く応じてくださったのは、株式会社横浜セントラルビソー代表取締役社長、田中義弘さん。「株式会社横浜セントラルビソー」(以下「ビソー」と省略)は、1988(昭和63)年6月設立の、東京・横浜エリアでビルの窓ガラスや外壁清掃を中心に行っている会社。
長野生まれの社長が一代で興した会社で、現在従業員は45名ほど。「即席家」は、このビソーの飲食事業部(2011〈平成23〉年設立)が経営する店舗で、インスタントラーメンや缶詰など調理に手間がかからない即席の商品を提供するから「即席家」。3年前にオープンしたばかりの店で、飲食事業部が展開する店舗としては2件目なのだという。
ビソー飲食事業部が手掛けた第一号店、スナック「BISO(ビソ-)」は「即席家」の近所にある
ビソーの社長、田中さん
田中さんは某ファーストフード会社の元社員で、店舗開発経験者。30歳ごろに独立し今の会社を興したそうだ。
しかし清掃関係の会社がなぜ、飲食店を経営しているだろうか。しかも缶詰をはじめとする即席メニューで。聞くと、社長は笑って、「実はここで缶詰の店をやろう! というつもりは最初なかったんですよ。ここが空くと知って場所を先に買って、何をするかはそれから考えたんです」と田中さんは語る。ビル清掃は体力的にも厳しい仕事。社員が年齢や体力の制限なく働ける仕事は何か。考えあぐねて、思いついたのがインスタントバーだったのだという。
「缶詰を温めるくらいなら誰にでもできる。この店は厨房のスペースも限られているし、インスタントならパッケージの表示通りに調理すればいいだけだから、お客さんにも一定のクオリティを保った商品が提供できる」と田中さん。
写真左奥が店の入り口。店内は明るくて女性でも入りやすい印象
店は午後7時~午前4時までの営業で、月曜定休。入って左手がカウンターで、席は全8席。カウンターの後ろには棚があり、そこに商品が並べられている。その様子はどことなく、雑貨屋さんのようでもある。
通ってくるのは30代~50代の地元で働く人たちが中心。女性のお客さんも意外に多く、おしゃべりを楽しみにくる常連客も多いという。
店で食べられるのは20~30種類程の缶詰や即席麺、レトルト食品。商品は社長自らが物産展などに赴いて購入し、珍しくて実際においしかったものを仕入れている。
ところ狭しと並べられた商品の数々。食べたいものを指さして注文する
商品は値段毎に分けて置かれていて、400円、500円ほどのものが中心。缶詰は300円からで、なかには4000円もする「ズワイの脚肉」という高額商品も(取材時は売り切れ)。
即席麺は日本各地のご当地品を気ままにそろえており、パッケージのイメージを参考にネギやチャーシューといったトッピングもしてくれる。
写真は「長崎のあごだしラーメン」(400円)。見た目も味もこれが即席とは思えない!
ほか、カレーなどのレトルト食品を数種類用意。ウイスキーや生ビール、焼酎(各1杯500円)といったアルコール類も置いている。
「ぶり味付け煮」「もつ煮込」など商品は様々。選ぶ楽しみもある
こんな珍しい即席麺もある。黒胡椒を使用した黒いラーメン「富山ブラック」(500円)
卓上にはチーカマや茹で卵(各100円)など、ちょっとしたツマミも用意されている
基本的に、注文はキャッシュオン方式。目の前のガラス鉢にあらかじめ今日の予算を入れておける
お店の看板娘、通称“はるちゃん”。いつも笑顔を絶やさないおしゃべり上手
はるちゃんが切り盛りするお台所。限られたスペースで手際よく注文をさばいていく
卓上には調味料も置かれていて、お好みで調節できる。まるで自分の家のような居心地