中区の子育て支援NPO法人の元職員が720万円を横領! なぜ起きた!?
ココがキニナル!
子育てに関わる団体の支援を行うNPO法人「神奈川子ども未来ファンド」の元職員が720万円を横領。なぜ、このようなことが起きた!?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
ファンドは業務上横領容疑で元職員を刑事告訴した。通帳管理などを含めた管理体制の甘さを認め、改善できるまで業務を中止する
ライター:はまれぽ編集部
採用翌日から横領に着手
子育てに関わる団体に対して資金助成などを行う、認定NPO法人「神奈川子ども未来ファンド」(横浜市中区、山﨑美貴子理事長)の50代非常勤男性事務局員が同ファンドの口座から現金計約720万円を不正に引き出していたことが分かった。
現金は同ファンドの趣旨に賛同した個人や企業からの寄付金で、事務局員は不正が発覚した2014(平成26)年に解雇されている。
ワールドポーターズ内にファンドの事務所がある
同ファンドは子どもや若者、子育てに関わる人を支える仕組みを作ることを目的に2003(平成15)年に設立。2014年度は約350万円の寄付金があり、10団体に287万5600円の助成を行った。
同ファンドの仕組み(『神奈川子ども未来ファンド10周年記念誌』より)
元職員はファンド設立時から携わり、それ以前もボランティアで会計システムの入力業務を行っていたが通帳などに触れる機会はなかったという。
元職員は別の事務局員の退職に伴い、2013(平成25)年6月5日から事務局員としてファンドで勤務を開始。これまでの入力業務のほか、通帳記帳などの業務に当たっていた。
元職員が勤務していた同ファンド事務局
元職員は同じフロアにある別のNPO法人「A(仮名)」でも経理担当をしていたが、2014(平成26)年10月3日に「A」の職員から「(元職員が)こちら(=「A」)の資金を横領している疑いがある」とファンドに申告。
フロアでは複数のNPO法人が活動している
これを受けて同ファンドの事務局員が念のため自分たちの通帳を確認しようとしたところ、10通あった通帳がなくなっていることが発覚。翌10月4日にファンドの理事の一人が元職員に電話したところ「(NPO法人「A」で)横領のようなことをしてしまった」と告白。
5日に再度電話した際には「ファンドについては大丈夫」「天地神明に誓って手を付けていない」などと説明していたという。
しかしファンドが口座を確認した際、2013年6月10日時点で723万4925円あった残高が、2014年10月の時点で971円まで減っていた。現金は元職員が勤務を開始した翌日の6月6日から1年4ヶ月の間で計70回にわたって引き出されていた。
市民の善意が日常的に横領されていた(写真はイメージ。フリー素材より)
ファンドの調べに対して、元職員は「投資話に乗った」などと横領を認めており「決裁を経ずに勝手に融資したことについては申し訳ない」と述べているが、寄付者に対する謝罪という意味合いではないそうだ。
今年度の助成金約287万円については審査で選ばれた10団体に滞りなく振り込まれており、元職員は「自腹で支払った」と話している。
ファンドは同年10月18日に臨時理事会を開き、同日付けで元職員を解雇。12月11日には除名処分とした。
元職員は同月3日、弁護士同席で行われたファンドとの面談で横領の事実を認め、同月20日までに返済する旨の公正証書も作成したが、いまだに返済されていない。これらを総合的に判断し、ファンドは2015(平成27)1月8日に業務上横領事件として刑事告訴した。