無償で配布している横浜のイメージを書体で表現した「ヨコハマフォント」って何?
ココがキニナル!
横浜市観光局が無償で配布しているヨコハマフォントが気になります。どんな経緯で無料配布されているのか、取材してください。(もぎゃさん/横浜の棒人間さん/yakisabazushiさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
ヨコハマフォントは横浜のイメージを集約してできたフォント。文章には向かないが、ワンポイントで使うといい。普及を考えて、無料にしている。
ライター:松崎 辰彦
ヨコハマフォントをご存じか
「ヨコハマフォント」をご存じだろうか?
横浜市が2009(平成21)年に開港150周年を企画した「イマジン・ヨコハマ」の一環として制作し、一般への広範な普及を期して無料配付しているフォント(字体)である。
入手するには、横浜市文化観光局のホームページからダウンロードできる。
イマジン・ヨコハマの一環だった「ワールドカフェ」(画像提供:横浜市文化観光局)
「イマジン・ヨコハマ」とは横浜の魅力を自覚し、市民の誇りや愛着心を高め、対外的な発信力を強化するために横浜市が主導して、市民を巻き込んで行われたプロジェクトである。
その一環としてあったのが「イメージコレクターズ」という、横浜にまつわる“なんとなく”のイメージを市内外の方から収集して明確にするために行われたプロジェクトで、一般の人にアンケート調査などが行われた。
横浜のイメージが集約された(画像提供:横浜市文化観光局)
イマジン・ヨコハマでは横浜のロゴが作られ、話題を集めたが、ヨコハマフォントはロゴ制作に付随する形で誕生した。ロゴには制作費930万円が投入されるも、ヨコハマフォントはその流れの中で、別枠の制作費を要することなく生み出された。
イマジン・ヨコハマで誕生した横浜のロゴマーク
横浜市文化観光局の永井由香さんはいう。
「ヨコハマフォントは、イメージコレクターズの一環として生まれました。横浜をイメージする書体としてはどのようなものがふさわしいですか、というアンケートを行い、作成したものです。この事業は広告代理店の博報堂さんと協同して行いました」
横浜を書体で表す、という何とも斬新なプロジェクトだったようである。
イマジネーションの集約がヨコハマフォント
それでは、ヨコハマフォントを企画・制作した博報堂に話を伺おう。取材に応じてくださったのは同社広報室。
「博報堂は、開港150周年事業のお手伝いをしていく中で“横浜らしさ”を市民の皆さんと発見していく地域ブランディングの仕事として、イマジン・ヨコハマ全体をお手伝いさせていただきました。ヨコハマフォントはその一環です」
博報堂は過去においてもユニバーサルデザイン(誰もが生活しやすい、使用しやすい環境や機器)の思想に基づいたフォントである「つたわるフォント」を制作している。
「つたわるフォント」で書かれた『吾輩は猫である』(画像提供:博報堂)
ヨコハマフォント制作事業は博報堂からの自主的な提案として行われ、実際にデザインしたのは同社の佐藤益大(ますひろ)デザイナーであり、さらに外部から書体デザインなどを手がけている字游工房(じゆうこうぼう)も協力したとのこと。基本となったのは市民アンケートの結果で、それをもとに創りました、と広報室はいう。
また、イマジン・ヨコハマには民間ボランティアも参加し、彼らから「未来の横浜にふさわしい文字体」が備えるべきイメージを募ったところ・・・
「さらさら+しっかり」
「(人の)つながり」
「リズム+躍動感」
「おしゃれ スマート」
「インターナショナル」
「おしゃれ感」
「ベクトル感」
「街の風景を連想させる」
「流れを感じさせる」
といった意見が寄せられた。
このようにさまざまな横浜市民のイマジネーションを集約し、誕生したのがヨコハマフォントなのである。
イマジン・ヨコハマの活動から(画像提供:横浜市文化観光局)