突然の死から1年。野毛山動物園で開かれた世界最高齢のフタコブラクダ「ツガルさん」を偲ぶ会の様子をレポート!
ココがキニナル!
野毛山動物園で去年亡くなったツガルさんの一周忌の5月23日に、フタコブラクダ「ツガル」さんを偲ぶ会があるようなので、ぜひ取材してみてください(こっしーさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
全国から多くのファンが足を運び、ツガルさんの死を悼んだ。今なお多くのファンを魅了し続け、絵本になってみんなのもとに帰ってきた!
ライター:田中 大輔
2014(平成26)年から野毛山動物園にとって5月23日は特別な日となった。
この日は、世界最高齢のフタコブラクダとして知られた「ツガル」さんが、推定38年の生涯を終え、静かに天国へと旅立った日だからだ。
ツガルさんの遺影。彼女の死から1年が経った
園の顔として、ときには西区や横浜市の顔としても活躍したツガルさん。
彼女が32年を過ごした展示場は、今でも当時の面影を残したままだ。多くの人が展示場を訪れ、彼女の一生に触れる。そして、その死を悼む。そんな場所としてあり続けてきた。
突然のお別れから1年。その展示場で、「ツガルさんを偲ぶ会」が催された。
今も愛されるツガルさん
この日は、開園時にツガルさんにまつわる記念誌がプレゼントされることになっていたが、あっという間に予定していた500冊がなくなってしまったという。
左が記念誌。そのほか、ポストカードやクリアファイルも配られた
亡くなって1年が過ぎても変わらぬツガルさんの人気。午後2時からの「偲ぶ会」にも開会前から多くの人が展示場前に列を作った。
「偲ぶ会」開始30分前にはこれだけの人が集まっていた
彼女の死から2ヶ月後の2014(平成26)年6月に行われた追悼イベント「お別れ会」のときと同様に、遠方から駆けつけたファンの姿もあった。
列の先頭に並んだ男性もその一人で、「今日は大阪から泊まりがけで来ました」と話す。
5年ほど前からツガルさんのファンで、何度か野毛山動物園にも足を運んだという男性は「ツガルさんは声に反応したり、お客さんの期待に応えてくれた」と往時を振り返り「天国でものんびり暮らしてほしい。またいつか会えればうれしい」と続けてくれた。
晩年のツガルさん。今でも日本中にファンが
「ツガルさんを偲ぶ会」は鈴木園長のあいさつで始まり、続いて6年間ツガルさんの飼育を担当した櫻堂さんがマイクを握った。
「ツガルさんが亡くなって1年経ったというのが信じられない。つい先日のことだったような気がする」と話す櫻堂さん。
第10代(!)ツガルさん担当飼育員だった櫻堂さん
ツガルさんの死後、ファンがメッセージを託すために用意された『ツガルさんありがとうノート』に触れ、「1年間で40冊を超えた。何万人もの人が温かいメッセージを残してくれた」と、改めてツガルさんの人気に驚かされるエピソードを紹介してくれた。
ツガルさんに会ったことのないファンも
その後、櫻堂さんら関係者に続き、お客さんたちにもカーネーションが手渡され、遺影前の献花台に手向けられた。
関係者の献花に続いて、お客さんたちも花を手に遺影に向かった
中には自ら花束を持参したファンや、ツガルさんの好物だったリンゴを持ってきた人などの姿も。
性別や年代を超え、多くの人がツガルさんに手を合わせた
1年が過ぎた今でも、彼女の写真を前に涙を流す人も少なくなく、変わらぬ人気の高さを感じさせるツガルさん。
市内から訪れた宇野さんは「実は、私は生前のツガルさんには会ったことがないんです」と言う。ツガルさんの死後、広報誌に掲載されたツガルさんと飼育員さんの写真を見て「すごく笑顔が素敵だった」と心を打たれたそうだ。
ツガルさんの死後、彼女のファンになったという宇野さん
それがきっかけで数十年振りに動物園に出かけ、ツガルさんの過ごした展示場に足を運んだそうだ。今日も「偲ぶ会」に参加するために野毛山を訪れたとのことで「ぜひ亡くなる前に会いたかった」と話してくれた。
死後もファンが減らないどころか、ファンを増やしていたツガルさん。
櫻堂さんも「死んでしまってから1年経っても、これだけの人を集められる動物はまずいない」と誇らしげだった。