横浜市で食中毒が過去最多ペースって本当!?
ココがキニナル!
横浜市の食中毒発生件数が過去最多だった2014年を上回るペース。特徴や横浜市の対策は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
過熱が不十分な鶏肉に含まれるカンピロバクターと魚の寄生虫であるアニサキスで全体の約7割。市は飲食店などに注意を呼びかけている
ライター:はまれぽ編集部
過去最多ペース
横浜市で食中毒の発生が増加している。過去最多となる51件の食中毒が発生した2014(平成26)年を上回りそうなペースで、横浜市などは注意を呼び掛けている。
過去7年間の食中毒発生件数(2015〈平成27〉年は速報値。クリックして拡大)
横浜市健康福祉局食品衛生課の泉俊明(いずみ・としあき)課長によると、2015(平成27)年1月1日から最後に食中毒が発生した7月13日までの件数は28件で、前年同期比4件増。死亡者はいないが、過去最多を上回る勢いで推移している。
通常、食中毒は夏から冬にかけて増える傾向にあることから、横浜市などは市役所でポスターやチラシを配ったり、市内28大学などと協力して啓発活動を行うなど、食中毒防止緊急対策を実施している。
市全体で食中毒の注意喚起に力を入れている
また、神奈川県も2014(平成26)年と同じ7月23日に「食中毒警報」を発令し、飲食店や食肉・魚介類加工業者に対する指導監視を強化している。
神奈川県内の食中毒警報発令期間と期間中の発生件数
横浜市内で特徴的なのは「カンピロバクター」と「アニサキス」。
「カンピロバクター」は鶏や牛・豚の腸内に存在する食中毒菌で、過熱不十分のまま食べると2~7日程度の潜伏期間を経て、腹痛や下痢、発熱などの症状を引き起こす。
カンピロバクター(フリー素材より)
横浜市内では鶏の刺身やタタキ、白レバーといった過熱が不十分な鶏料理が原因と思われる事例が多く発生。
市が2010(平成22)年度から2014(平成26)年度まで、市内で流通している鶏肉の抜き取り検査を行った結果、650検体中53.2%に当たる346検体からカンピロバクターが検出された。
不十分な加熱が原因(フリー素材より)
また、同期間内に発生した146件の食中毒のうち、カンピロバクターが原因のものは44件。このうち、27件が鶏肉を扱う飲食店が発生場所だった。
カンピロバクターは特に若い世代の感染が多く、市の統計では、2005(平成17)年から2014(平成26)年までの過去10年間で40歳未満の感染率は約81%だった。
「仕事帰りの焼き鳥」をたしなむ世代に多い?(写真はイメージ)
泉課長によると、飲食店で使用する鶏肉も市販されている鶏肉も汚染率はほぼ同じで「飲食店の鶏肉は新鮮だと思うことは間違い」と呼びかけている。
同時に、カンピロバクターは75度以上で1分以上加熱することで予防可能だといい、飲食店だけでなく家庭でも十分に加熱するようにと話している。