今後市内に増えていく? 50年以上残る旭区白根の謎の環状交差点「ラウンドアバウト」の正体は?
ココがキニナル!
ラウンドアバウト(環状交差点)が、旭区白根の住宅街に存在します。交通量もない合流点ですが、どうして設置されたの?横浜市内で新規導入などある?(ポタリんさん/神絆会さん/町田県民さん/ほっけさん)
はまれぽ調査結果!
5差路の交差点の真中に防火水槽の上部が出ているため、それを中心点にロータリー交差点として使用されている。横浜アリーナの裏にもできる予定。
ライター:小方 サダオ
ラウンドアバウトとは、ヨーロッパ諸国等でよく見かける交差点だ。キニナル投稿のように、国内の交通量の少ない住宅街に設置されているのだとしたら、特別な理由があるからなのだろうか? その謎を探るために現地へ向かった。
投稿にあった写真
住宅地の真中にある珍しいロータリー交差点
保土ケ谷~鶴ヶ峰を結ぶ国道16号線を、白根交差点で北上し、しばらくして右折し、住宅地の中に入る。
国道16号線を白根交差点で曲り、しばらくして右折する
白根交差点
白根交差点を北上する
しばらくして右折する
曲がりくねった住宅地内の道路
このあたりから上り坂になる
すると5つの道路が合流する交差点の真中に、突然ロータリー交差点が現れる。
ロータリー交差点を示す標識
交差点内の中央の島の周りには交通表示(ゼブラゾーン)が描かれている
島の周りには黄色い樽状のクッションが置かれている
一般的にロータリー交差点とは、中心にある円形の部分を用いて交通整理を行う交差点である。
交差点内の中央部の周囲は環状道路となっている。ここは日本のように左側通行の場合は右回りの一方通行となり、この区間を走行する車を優先させて交通整理を行う道路である。
公益財団法人国際交通安全学会のウェブサイトによると「ロータリー交差点・円形交差点の一種である、ラウンドアバウトが初めて導入されたのはイギリスで、1960年代のことである。円形の平面交差部の一方通行制御方式で、環道交通流に優先権がある。また交通は信号機や一時停止などにより中断されない。長所としては、交差点部における安全性向上や道路照明以外に信号などの電力を使わずに交差点を運用するためライフサイクルコストが少ないことなどが挙げられる」とある。
問題の交差点は、直前に「止まれ」の表示があり、交通は中断されるが、進入する道路より環道交通流に優先権を持たせているため、ラウンドアバウトに近い役割を果たしているといえる。
問題の交差点では、環状交通流を優先させて行きたい方向に曲がる
ところでヨーロッパの街などでは、何らかの記念的建築物が作られ、そこを中心に放射状に道路が伸びていることが多いため、ラウンドアバウトはきわめて日常的な存在である。
パリ凱旋門のある「シャルル・ド・ゴール広場」のラウンドアバウト(フリー画像より)
しかし日本においては異なるようである。
国土交通省のウェブサイトによると「ロータリー交差点は、1934(昭和9)年に日本で初めて東京都の和田倉門交差点に設置されて以来、各都市において都市計画と併せて整備されてきた。しかし高度成長期に入り、急速に自動車交通量が増えると『大型車の通行に支障がある場合がある』『信号交差点と比較して交通容量が小さい』などの理由で信号交差点に改良されていった」とある。
日本においては、国土が狭い、効率を重視する国柄、などの理由でロータリー交差点が減っていったようだ。
しかしなぜ問題の場所には、ロータリー交差点が残っているのだろうか?
中心の島には、柵で囲われた八角形のコンクリートの建築物が地面から突き出ていて、そこには防火水槽と記されている。
しばらく進むと左手に空き地がある
コンクリートが突き出ている
この防火水槽が交差点内にあることと、この場所がロータリー交差点となっていることは関連性があるかもしれない。